新型コロナウイルス感染拡大を避けるため、就職活動はウェブ面接が主流となり、例年とは異例の大詰めを迎えた。学生や企業は移動コスト抑制などの利点を実感するが、対面機会が限られるため画面越しに互いに手探りの状態でもどかしさも。採用の手控えで苦境に立つ学生もおり、影響拡大が懸念される。

孤 独

東京都内で実施されたウェブ形式の採用面接=1日

 秋田市のJR秋田駅前にあるオフィスビルの個室。県内大学4年の男子学生(21)が1人で、新潟県のメーカーのウェブ面接に挑んだ。

 筆記試験も含め約2時間の長丁場。男子学生は終了後「緊張したが、スムーズにやりとりできた。手間や時間がかからないのも良い」とほっとした表情。一方、他に受けているライバルが見えず「孤独を感じた」とも振り返った。

 例年、スーツ姿の学生が多く訪れる東京・丸の内の三菱商事。1日午前、面接開始時刻が近づいても受付に人影はなかった。「この時間に人がいないなんて」と広報担当者も目を丸くした。

 人材紹介大手「ジェイエイシーリクルートメント」(東京)の4月下旬の調査では、回答した336社の多くがウェブ面接を実施。「居住地にかかわらず多くの候補者と面接できる」と評価する一方、「学生の人となりがつかみづらい」「録画・録音され拡散されるリスクがあるため、やや保守的に発言している」と明かす企業もあった。

 今後の感染の影響が見通せないため、企業も学生も不安を深める。1日にウェブ形式で面接を始めた大手企業は、最終は対面で実施する方針。ただ、政府が18日まで北海道や首都圏1都3県との往来を控えるよう求めており、担当者は「移動制限の解除を待っていると優秀な学生を逃すかもしれない。一度も会わずに決めれば就職後のミスマッチや大量の内定辞退につながりかねない」と気をもむ。

 大手食品メーカーを志望する立教大4年の女子学生(21)は「一度は会ってアピールし、職場の雰囲気も確かめたい」と話すが、最終面接の形式は未定だという。

不 安

 昨年までは人手不足を背景に「売り手市場」が続いてきた就活。全国の緊急事態宣言で企業業績が急激に悪化し、航空大手のANAホールディングスや日本航空は2021年度入社の採用活動を中断した。就職情報会社「ディスコ」の5月下旬の調査では、1122社のうち17・6%が「採用計画を下方修正」、1・2%は「採用中止」。3月下旬時点の「下方修正」9・0%が広がった。

 関東の大学4年の女子学生(21)は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)運営会社の面接を3月に受けたが、5月末に「採用中止」と通知された。東洋大4年の男子学生(21)も「志望する映像制作会社の採用が中止に。別の制作会社の面接も大幅延期され、再開されるか分からない」と不安を訴えた。