
第138回しもつけ21フォーラム11月例会(下野新聞社主催)が14日、宇都宮市上大曽町のホテル東日本宇都宮で開かれた。法政大学総長の田中優子(たなかゆうこ)氏が「これからの社会と大学」と題し、地球規模で高まる流動性に対応できる能力の重要性について講演した。
これからの大学・社会に必要なこととして挙げたのは、「グローバル化」「リーダーシップ教育」「日本学」の3点。
グローバル化については、技術力で独自の国づくりを行った江戸時代を「第1次」、ヨーロッパに準拠した明治維新を「第2次」、米国に準拠した敗戦後を「第3次」と定義。「第4次」の現在は「国内外の流動性が高まり、止められない状況」とした上で、「自主的に学び、変化に耐えうる力を付けなければならない」と繰り返した。
特に重要なのはリーダーシップだが、「これまでのようなエリート養成ではなく、協同的な方法で調整して判断できる人材が求められる」と強調した。
江戸文化が専門の田中氏は、和服や陶器などを例示しながら「海外の文化に学び、独自の文化に変化させた江戸時代に学ぶことは大きい」と評価。「他国をまねるのではなく、『日本の国土を使って何ができるか』という発想に立つべきだろう」と提起した。
田中氏は1952年、神奈川県生まれ。法政大大学院博士課程修了。同大教授を経て、2012年に社会学部長。今年4月から現職。