「栃木、日本、世界の経験をもとに新時代へのメッセージ」 地域医療機能推進機構(JCHO)理事長 尾身茂氏

 第135回しもつけ21フォーラム8月例会(下野新聞社主催)が21日、宇都宮市本町の宇都宮東武ホテルグランデで開かれ、地域医療機能推進機構(JCHO)理事長で、元自治医大教授の尾身茂(おみしげる)氏が「栃木、日本、世界の経験をもとに新時代へのメッセージ」と題して講演した。

 JCHOは全国の社会保険病院や厚生年金病院、船員保険病院の3グループを統括する組織として4月に発足。県内では同市南高砂町のJCHOうつのみや病院(旧宇都宮社会保険病院)を運営している。

 尾身氏は、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局時代に力を注いだポリオ(小児まひ)根絶への取り組みを紹介。2003年の新型肺炎(SARS)大流行では、中国・広東省や香港に出した渡航延期勧告について「中国に情報提供を要請していたが受け入れられず、経済的影響を考えれば苦渋の決断だった」と振り返った。

 高齢化社会を見据えて病院完結型から地域完結型医療への転換の必要性を指摘。設立主体の異なる医療施設の混在や、医療と介護・福祉の壁、ITを活用した情報の共有不足などを課題とした。

 「専門以外を診ることに躊躇(ちゅうちょ)する医師ばかり育てていること」を医師偏在の要因として挙げ、総合医育成の重要性も強調。危機管理のポイントとして「初期段階は情報が極めて限られる。最悪の場合の想定を」と訴えた。

 尾身氏は1949年、東京都生まれ。1期生として自治医大卒業後、伊豆七島の地域医療に従事。2014年4月から現職。