「クリミア後のプーチンの世界戦略と日本」 ジャーナリスト 小林和男氏

 第136回しもつけ21フォーラム9月例会(下野新聞社主催)が30日、宇都宮市本町の宇都宮東武ホテルグランデで開かれ、ジャーナリストで元NHKモスクワ支局長の小林和男(こばやしかずお)氏が「クリミア後のプーチンの世界戦略と日本」と題して講演した。

 ロシアは3月、ウクライナ南部クリミアの編入を強行。ウクライナ政府を支持する欧米各国と対立が続いている。

 ロシアを長年取材してきた小林氏は冒頭、プーチン大統領が世界で非難を浴びる一方で、国内では支持が高まっていると指摘。ロシアが領土にこだわる歴史的経緯として、後に金や石油が見つかるアラスカを米国に売却した失敗が「トラウマになっている」と説明した。

 ウクライナ問題の背景に、ウクライナ国民の生活水準低下への不満や、米国や北大西洋条約機構(NATO)の勢力拡大を挙げ、「プーチン大統領には好機だった」と解説。今後のプーチン大統領の狙いは「強いロシアをつくり、アメリカ一極支配の危険を脱すること」とし、中国との経済協力や北極海の開発などの動きを挙げた。

 北方領土問題については「プーチン大統領が譲るのは(歯舞群島、色丹島の)2島だけ」と指摘。「2島が返還され、ロシアと平和条約を結べば、日本は国際関係でも畏敬される国になる。2島は決して小さい獲得物ではない」と持論を展開した。

 小林氏は1940年、長野県生まれ。東京外国語大を卒業後、NHKに入局。モスクワ支局長、解説主幹などを歴任。作新学院大教授を経て、現在は下野新聞客員論説委員も務める。