スピード種目が加わり上がったモチベーション

――フィジカルばかりでなく、メンタルの部分も重要なスポーツですが、どのような努力をしていますか。

智亜 僕はメンタルコーチの方と、よく話をしています。特に鍛えるという感じでなく、自分が思っていること、本当にやりたいことなどを話しているうちに気持ちが整理されていくようになりました。

明智 僕は何だろうな。日記を書いてる事ぐらいかな。単純に、いま自分が何を思ってるんだろうとか、あんまり多くはないですけど書き続けています。

智亜 それは僕も書いていて、プロ選手になってから行動記録を付けています。メンタルコーチからのアドバイスでした。

 

――モチベーションという部分では、次の目標を掲げてチャレンジしていくことが大事だと思いますが。

智亜 モチベーションを常にいい状態に保つことは、やはり難しいですね。特に連戦になると疲れも出るし、目先の目標を達成してしまうと、逆にモチベーションが下がったりもしてしまいます。だから大会のタイトルを目標にして頑張るのではなく、ムーブの完成度とか、満足感を目標にしたほうがいいと思うようになりました。

明智 智くんの場合は、W杯の総合優勝も世界選手権も取っているからでしょうけど、僕の場合はまだ、タイトルですね。一つ一つの大会を目標にしてやっています。

智亜 五輪の追加種目に決まってからは、本当にモチベーションが上がりました。それにスピード種目が加わり、ルールがコンバインド(複合)に決まって、新鮮な気持ちにもなれたので助かっています。1種目だけを突き詰めていくのって、結構つらいんですよ。でも3つあると楽しいです。工夫する点が多かったり、クリアしなければならないことが多いので、逆に楽しいんです。

明智 気分転換できるよね。ボルダリングでクリアできない壁とかあると、メンタルに来るんですけど、そんな時はスピードを練習すると気持ちが切り換わるんです。

智亜 それに僕の場合、リードもボルダリングほど、やり込んでいなかったので、ボルダリング同様に考えるようになってからは、いろいろな発見があって楽しいです。

 

――いよいよ東京五輪が2年後に追っています。兄弟で五輪について話す機会はありますか。

2人 あるよね。

明智 まあ、智くんが出られなかったら、僕が出るから。

智亜 理想は2人そろって出場です。でももし、2人で対戦となったら僕の方が緊張しちゃいますね。「兄が勝って当然」みたいな感じになるじゃないですか。

明智 世間的に見ても、智くんが上だし、有名だし。僕はあまり緊張せずに済みます。

智亜 2人そろって出るのが理想ですけど、片方だけってことも、ありえなくないよね。

明智 だいぶありえるよね。でも、どっちも出られないっていうのだけは、やめておこうよ。

智亜 そうだな。僕の場合、今季は9月の世界選手権に照準を絞っています。もちろんW杯も頑張るけど、やはりクライミングの世界では世界選手権が一番の大会ですし、そこで優勝できたことが、すごく自信にもつながったし、さらに大きい五輪を目指して戦えることがすごく楽しみです。

明智 2年後ということですが、五輪どうこうよりも、自分の実力がどこまで伸びて、どのような位置にいるのか楽しみです。

 

――五輪での順位は、3種目の順位を掛け算した数字が小さい選手が勝者になると予想されますが、どれか一つでもトップになることが大事になりますね。

明智 そうです。だいぶ強いよね。

智亜 2種目で1位だったら、100%金メダル。

明智 それは無理でしょ。でも一つでも1位をとったら、表彰台は、ほぼ決まる。だけどスピードだけでは、ちょっと分かりませんね。ボルダリングかリードで1位を取れれば、確実だと思います。

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