「見えないものにこそ宝がある」 ゼンリン社長 原田康氏

下野新聞社などが主催する第二十回しもつけ21フォーラムが十日、宇都宮市内のホテルで開かれ、ゼンリンの原田康社長が「見えないものにこそ宝がある」と題し講演した。自身の体験を通した人材育成の方法や、社会インフラとしての住宅地図の役割を語った。

国内の99%近くを網羅する住宅地図は、事業の礎を築いた紙媒体から、パソコンで利用できる電子版へ広がっていると紹介。「カーナビゲーションソフトはほとんどの自動車メーカーの車種に採用され、シェアは八割を占める。街を立体の動画で表示するなど、時代は二次元から三次元に変わっている」と話した。

事業の大きなターニングポイントとなったデジタル化は、役員がすべて反対する中、先代社長が推進した。「今でこそ上場するまできたが、財政面で大変厳しかった。辞表覚悟で財務体質の改善に努めた」と振り返った。

地図の作製には延べ約三十万人の人員をかけている。「修正が必要な個所は三、四割で、ほとんどは変わっていないことを確認している。人の足で現場を見ることはすべての原点」と強調。

「過疎地の場合、採算が取れないこともあるが、住宅地図は利益目的だけでなく災害時の活用など社会的使命を果たすことが求められている。見えないところで役割を果たす、大げさに言えば社会のインフラ」と述べた。

原田氏は西日本相互銀行(現西日本シティ銀行)から一九八〇年、現在のゼンリンに入社。財務部長、経営企画室長、常務などを経て二〇〇一年から現職。