厚生労働省によると、2020年の転職者は前年比32万人減の319万人と、10年ぶりの減少だった。直近で減少した10年はリーマン・ショックが響き、今回は新型コロナウイルス禍に伴う雇用情勢の厳しさを反映。従業員に支払った休業手当が一部補填(ほてん)される雇用調整助成金の活用により休業者が拡大したことも、転職者減につながったとみられる。

 毎月公表の総務省労働力調査のデータを基に、厚労省が調べた結果が、2021年版労働経済白書に掲載された。1年以内に離職経験がある就業者を転職者と定義。18年は329万人、19年には比較可能な02年以降で最多の351万まで増えていた。

 感染拡大が企業業績の悪化を招いており、20年に「人員整理・勧奨退職のため」を理由に挙げた人は前年比4万人増の12万人だった。

 政府は雇用調整助成金の上限額や助成率を大幅に引き上げた。従業員の解雇を避け休業させる対応を企業に促す政策を進めており、転職減の効果を生んだようだ。

 厚労省によると、離職の理由に「より良い条件の仕事を探すため」を挙げる人が少なくなると、転職者数が縮小する傾向があるという。20年はこの理由の人が前年から減り、前向きな転職が難しい状況をうかがわせた。