来春卒業予定の大学生らの就職活動が3月に解禁されて3カ月が経過した。「学業優先」として経団連が指針を変更し、解禁が3カ月繰り下げられたことしの就活。短期決戦で学生からは「卒論に集中できない」など効果に疑問の声も漏れる。

 5日、宇都宮市内で開かれた県など主催の「とちぎ求人企業合同説明会2016」。過去最多となる198社がブースを設けた。県労働政策課によると「キャンセル待ちでもいい。当日開けておくので連絡してほしい」と熱心に依頼する企業もあった。採用意欲は確実に高まっている。

 説明会に参加した食品製造業の採用担当者は「何人に内々定を出せばいいのか読めない」と打ち明ける。

 県内企業のほとんどは経団連に加盟していない。例年は大手の採用活動が一段落した後に採用を本格化させていたが、ことしは昨年より4カ月遅い8月から選考を始める大手に内々定者が流れてしまう可能性があるという。担当者は「ことしは大手の採用意欲が高い。どこまで(内定者を)持っていかれるか」と懸念する。

 小売業の担当者は「最低でも年内は採用活動を続ける必要があるのでは」と長期戦を覚悟する。

 一方、宇都宮大4年の女子学生(21)は「常に情報をチェックしていないと説明会が終わっていたりする。試験や面接、勉強など、一つのことに集中できない」と不安そうに話す。

 3月の解禁と同時に企業へのエントリーシートの提出が一斉に始まった。中には4月に面接を行い、5月に内々定を出した県内企業もある。宇大キャリア教育・就職支援センターは「8月までに7、8割の学生に内々定が出ているのでは」とみている。

 繰り下げは早期化する就活が学業への支障にならないように、と取られた措置。「3年生の授業で実験の予定を入れやすくなった」など、大学側の評価もある一方、「昨年までなら内々定が出ていた時期に、就活を終えられない」とこぼす学生もいる。

 宇大の別の女子学生(21)は公務員試験も受験する予定という。「企業の説明会があって、公務員試験の勉強時間が取れない。このままでは卒論もおろそかになってしまう」。県職員採用試験の場合、6月末に筆記試験、7、8月に2次試験が予定され、民間と重なることもあり得る。

 すでに卒論に取り掛かっているという宇大の女子学生(22)は「(繰り下げは)学業の充実につながっていないのでは」。指針変更がかえって学業に支障を来すのでは本末転倒で、学生や企業の声に耳を傾け、よりよい仕組みに改善されることが望まれる。