遺構は語る

戦後80年。戦争体験者の多くが鬼籍に入り、戦禍の記憶は薄れつつあるが、人知れず立つ碑やひっそりと残る跡が、あの大戦を後世につないでいる。県内各地の痕跡を随時紹介する。
 

 

弾痕が語る農村の空襲

戦争末期に2度 死傷者も

 

 高根沢町歴史民俗資料館(同町石末)の倉庫の隅に、JR宝積寺駅の旧駅舎で使われていた品々が保管されている。その中に長さ約1メートル70センチ、幅16センチ、厚さ11・5センチの旧駅舎のかもいがある。白い塗料が塗られた木材の表面にあるのは1発の弾丸にえぐられた傷。同駅が空襲に遭った痕跡だ。

 

 

 

 高根沢町史によると、同駅は少なくとも2度の空襲に遭っている。

 

高根沢町歴史民俗資料館の倉庫に保管されている旧駅舎のかもい。1発の弾痕が空襲の記憶を語る=8月6日午後、高根沢町宝積寺、近藤文則撮影
高根沢町歴史民俗資料館の倉庫に保管されている旧駅舎のかもい。1発の弾痕が空襲の記憶を語る=8月6日午後、高根沢町宝積寺、近藤文則撮影