「富士山から日本を変える」 アルピニスト 野口健氏

 しもつけ21フォーラム(下野新聞社主催)の2月例会が9日、宇都宮市内で開かれ、アルピニストの野口健(のぐちけん)氏(43)が「富士山から日本を変える」と題して講演した。

 野口氏は世界最高峰のエベレストや富士山などで清掃活動を続けている。25歳でエベレストに初登頂した際、ベースキャンプ周辺に日本語表記のごみが混じっていたため「外国の登山家から『日本人はエベレストを富士山にするのか』と言われた。当時は富士山が汚いとの認識もなかったが、悔しかった。それがエベレスト清掃の始まり」とのエピソードを披露した。

 26歳で始めた富士山清掃は当初、100人足らずの参加者だったが、現在は年間7千人ほどが参加する規模に。「環境問題の難しさは、問題の相手は人間社会だということ。自分にとっての正義でも、立場が変わると考えが異なる」と地域住民や行政などに理解を広げる苦労を吐露しつつ、「環境の『環』は輪の意味。人と人との輪をどれだけ広げられるかがこれからのテーマだ」と説いた。

 野口氏は米・ボストン生まれ。亜細亜大卒。高校時代に冒険家・植村直己(うえむらなおみ)氏の著書に感銘を受け登山を始めた。25歳でエベレスト登頂を果たし当時の7大陸最高峰登頂最年少記録を樹立。熊本地震の復興支援などにも取り組んでいる。