記憶の行方 語り継ぎの今 ⑧託す(下)

「炎の記憶」2代目に

 

 戦禍を伝える資料が並んだ県立博物館で今月上旬、展示を食い入るように見つめる2人の姿があった。

 宇都宮空襲の経験を約25年語ってきた宇都宮市在住の大野幹夫(おおのみきお)さん(93)と同市出身の武田千明(たけだちあき)さん(54)=東京都在住。

 

 「少し前はこうなるなんて想像していなかったな」。大野さんを乗せた車いすを押しながら、武田さんが優しい笑みを浮かべた。

 

大野さんが乗った車いすを押す武田さん。2人で県立博物館の特別企画展を訪れた=8日午後、県立博物館、近藤文則撮影
大野さんが乗った車いすを押す武田さん。2人で県立博物館の特別企画展を訪れた=8日午後、県立博物館、近藤文則撮影