「慈覚大師円仁の真実」 天台宗参務教学部長 齊藤圓眞氏

 第117回しもつけ21フォーラム(下野新聞社主催)が26日、宇都宮市の宇都宮東武ホテルグランデで開かれ、天台宗参務教学部長の齊藤圓眞(さいとうえんしん)氏が「慈覚大師円仁の真実」と題して講演した。

 円仁の出生地は諸説あるが、岩舟町や壬生町とする説が有力。唐に渡って研さんを積み、天台宗を大成させた。ことしが没後1150年となる。

 齊藤氏は、朝鮮半島の先進技術がもたらされて発展しつつあった当時の下野国の状況、円仁の出生や修行の歩みなどを紹介。

 玄奘三蔵の「大唐西域記」、マルコ・ポーロの「東方見聞録」とともに世界三大旅行記とされる円仁の「入唐求法巡礼行記」については「自分で歩き、見て、行ったことを丹念に記録した東アジア史の第一級史料。慈覚大師の知能の高さ、視野の広さなども如実に表れている」と評価した。

 唐に滞在中は聖地巡礼のほか、世界的国際都市の長安でさまざまな国の人たちとの交流も深めた円仁。齊藤氏は「当時の日本人の中では、世界に最も近い男だったと思う」と述べ「円仁は栃木のスーパースター。巡礼行記は現代語訳もされているので、ぜひ読んでみてほしい」と呼び掛けた。

 齊藤氏は中央大大学院修了後、高校教諭、カナダ国有鉄道勤務などを経て1976年に出家した。大正大で天台学を学び、2006年に同大教授。09年12月から現職。龍泉寺(東京都文京区)住職。