タッグを組んで強力なスプリント争いを

ゴールスプリント右端が優勝した宇都宮ブリッツエンの小野寺玲

―かつてチームのエーススプリンターだった大久保陣選手が帰ってきました。

 僕がチームに入った年に、1年間チームメートとして一緒に走りました。これからゴール勝負になるシーンにおいては、陣選手とタッグを組むことでより強力なスプリント争いができると楽しみにしています。

―スプリンターが2人になりますが、どのような役割分担になりそうですか。

 陣選手は、勝負シーンにおけるキャリアが長い分、ゴール前の位置取りや争いに長けています。そういう強気な走り方は、僕がまだ弱い部分なので、一緒に走りながら身に付けていきたいと思っています。自分は最近、総合力が上がってきていると思うので、厳しい局面になった後のスプリントシーンで勝負できるかなと考えています。ですからクリテリウムなどのゴールシーンは陣さんが担当し、ロードレースでの小集団のスプリントは僕が担当するといった場面に応じてスプリンターを担うことになるかなと考えています。

―それはオールラウンダーに求められる総合力として手応えを感じているということでしょうか。

 ファンの方々やメディアは、僕のことをスプリンターとして認知されていると思いますが、僕自身はスプリンターという自覚はあまり持っていません。今はスプリントに特化するのではなく、総合力を伸ばしていきたいと考えて練習していますので、そういう意味ではうまくはまってきているかなと思いますね。

―メンバー10人の顔ぶれを見てどのように感じていますか。

 

 総合力では確実に力強いと思います。JPTはまだ始まっていませんが、総合成績や厳しい局面でのロードレースなどでは連係をうまくとって戦っていけると思います。戦力が増したので、全日本選手権も射程圏内に収められるチーム編成ができていると思いますね。新たにどこを目指していくのかは、これからレースを走る段階で決まっていくのだと思います。ただ、全日本選手権はどのシーズンでも目指すものであり、選手の誰もがそこを意識して練習していると思います。

 

 宇都宮ブリッツェンからは、デルコ・マルセイユ・プロヴァンスに移籍した岡の前にも、18年シーズンまで在籍した雨澤毅明がUCIコンチネンタルチームの「リュブリャナ・グスト・ザウラム」に移籍しており、若手の海外への挑戦を積極的に応援する体制が整っている。小野寺は、チームメートだった2人と同じように海外挑戦を視野に入れているのだろうか。

選手以外でやりたいことある

―中長期的に目指しているレーサー像を教えてください。海外挑戦は考えていますか。

 正直に言いますと、海外にそこまで大きなモチベーションはありません。ただ、僕自身が選手を続ける「上限」を自分の中で設けているので、そこまでにどれだけ成長できるかの勝負と考えています。もちろん、その中でチャンスがめぐってくれば海外挑戦も考えますが、今はとりあえず自分への挑戦ということですね。

―上限というのは年齢の設定ですね。

 自分の中で設定しているものであり、周りにも言っていません。ですから言えませんが、自分が考えている年齢までにどれだけの選手になれているかです。そこで一番良い成績を残すことを思い描いています。僕は落ちぶれて選手をやめるようなスタイルは嫌なんです。もう走れなくなってやめるのではなく、例えば日本一をとった強い年に辞めたいんですよね。自分の中で最強の自分ができ上がった時にそれを終着点にしたいと考えています。

 もちろん僕自身、選手としてやりたいこともまだありますけど、逆に選手以外のことでやりたいこともありますから。そういった意味で、ある上限を最近設けたばかりなので、そこに向かって頑張ろうと思っています。選手生命ではなく、人生としてのビジョンを考えるようになった時、選手をずっと続けられるかどうかも分かりませんから、そうしたことも意識していかなければと考えるようになったということです。今はアスリートのセカンドキャリアが注目されていますが、僕自身も新たに挑戦するものがあってもいいのかなと思っています。

―ファンに向けてのメッセージをお願いいたします。

 各種レースが中止になってしまってファンの方も退屈な思いをされている方が多いと思います。われわれも目標が見えていない状況で大変ではありますが、それぞれ頑張っていきます。レースが始まるのを楽しみに待っていただき、始まったら今までのうっぷんを晴らすような力強い応援をぜひお願いいたします。

 

小野寺玲 おのでら れい 

1995年9月3日生まれ。鹿沼市出身。176㎝、67㎏。スプリンター。

(この記事はSPRIDE[スプライド] vol.36に掲載)