今季のアイスホッケーアジアリーグを7チーム中6位(15勝21敗)で終え、上位4チームによるプレーオフ(PO)進出を逃したH.C.栃木日光アイスバックス。シーズン前半はほぼ五分の勝敗でPO進出圏内につけていたが、アウエー戦が続く後半に失速してしまった。今季の戦いぶりを振り返る。

根津知広・文 高木翔子・写真

 ひと言で言えば「もったいない」シーズンだった。6位でシーズンを終えたアイスバックスだが、4位デミョンキラーホエールズ(韓国)との勝ち点差はわずか3。2月16日のホーム日光でのリーグ最終戦後の記者会見で、佐藤大翔主将は「自分たちのミスもあり勝てる試合を落とし、もったいなかった。持てる力を出し切ればPOに行けたと思う」と悔しさをにじませた。

 一番のポイントはやはり、11月下旬から1月下旬にかけてのアウエー15連戦を、4勝11敗と大きく負け越してしまったことだろう。その前までは8勝10敗で4位につけていただけに、アウエーで勝ち点を積み上げられなかったことが響いた格好だ。もしくはホームが続いた前半戦で、もう1、2勝の上積みがほしかったか。また1月17~19日の東北フリーブレイズとの3連戦は、アウエーとはいえ、その時点でリーグ戦1勝止まりで最下位の東北が相手とあって、最低でも2勝1敗としたいところだったが、1勝しか挙げることができなかった。その後のサハリン(ロシア)とのアウエー戦は3連敗を喫し、PO進出が一気に遠のいてしまった。

 
 チームごとの対戦成績を見ると、3位王子イーグルスには3勝3敗、4位デミョン、5位ひがし北海道クレインズ、7位東北にはいずれも4勝2敗と好成績を残した。一方で1位サハリン、2位アニャンハルラ(韓国)に対してはOT(オーバータイム、延長)負け、PSS(ペナルティ・ショット・シュートアウト)負けを含むものの、それぞれ6戦全敗に終わり、上位チームに対する弱さが際立ってしまった。藤澤悌史アシスタントコーチは取りたかった試合としてホームのサハリン戦、ハルラ戦を挙げ「勝つのが理想だが、POに行くには勝ち点1でも取るという積み重ねが大事。サハリン戦も1点差で負けた試合があったが、そこを60分で負けず、OTで負けても勝ち点1を取れる。またハルラ戦はOTで1敗したが、OTで勝てば勝ち点2なので全然違ってくる」と振り返った。ベテランの齊藤哲也は「目指すのはPOだけではなく、やはりアジアリーグ優勝。POに進んだとしても、その2強を崩さないと上には進めない」と指摘する。

 シーズン総得点は97点(1試合当たり2・69点)でリーグ4位だったのに対し、総失点は111点(同3・08点)で6位と、リーグワーストだった昨季に続き、守備の弱さが浮き彫りとなった。アリペッカ・シッキネン監督も「守りの成長が必要」と話した。

 
 ただ、PO進出ラインから大きく離されての7位(8チーム中)だった昨季に比べ、成長も実感できたシーズンでもあった。中でもシーズン21得点で、初の得点王まであと1点に迫った入団4年目、古橋真来の活躍は来季以降に一層期待を抱かせるものだった。最終節となったホームでの東北3連戦(2月14~16日)では8得点と気を吐いた。また3季ぶりにアイスバックスに復帰した鈴木雄大がポイントランキング(得点+アシスト)で11位、新加入の弟・健斗が同24位と健闘した。ヨーナス・アランネ、ヘンリ・ヨキエリッキラの両外国人選手もポイントランキングでそれぞれ12位、21位と存在感を発揮した。守備では大黒柱のGK福藤豊に加え、新加入の井上光明が2番手GKとして再三の好プレーを見せた。大学卒業後、今季が実質1年目の相馬秀斗、出口圭太、渡邉亮秀の3人はそれぞれ試合経験を重ね、今後の飛躍を感じさせるシーズンとなった。

 2季連続でPO進出を逃し、一足早いシーズン終了となったアイスバックス。選手の移籍、補強など来季の陣容はまだ流動的だが、課題の修正、戦力の底上げによる巻き返しを期待したい。