自らの宿命に苦しみ、悩んだ時間 性的少数者 暗い心に差した光、見つかった居場所
夜に見つめる エピローグ「焦点」②
安堵(あんど)感は一生忘れない。4年前の秋。仕事帰りの午後8時過ぎ。県内在住、会社員工藤将希(くどうまさき)さん(51)=仮名=は、コンビニ駐車場の端に止めた車から電話をかけた。
約20分思いの丈をぶつけた。通話を終えると真っ暗な車内でむせび泣いた。電話口の女性がうなずきながら聞いてくれただけで十分だった。「とにかく温かくて、幸せで…」。暗い心に光が差した気がした。
体に違和感を覚えたのは中学生の時だった。男性だと思っていたが、ひげが生えてこない。声変わりが進まない。胸が膨らみだした。「なぜ自分だけ違うのだろう」。知る由もなかった。身体の発達が典型的でない「性分化疾患」と診断されるのは15年以上も後だ。
あの夜、他人には理解できないであろう苦しみを打ち明けた相手は、性的少数者の支援団体。人生の転機になった。
性分化疾患は、染色体や性器などが男女どちらかに統一されていないか、曖昧な先天的疾患の総称。身体的・生物学的な特徴だ。
昔から自分を男性だと信じて疑わなかった。恋愛対象は女性。思春期の体の異変だけが気掛かりだった。やや中性的な外見に、発達した胸。声の高さは、大学卒業後も変わらなかった。27歳のころ、初めて染色体検査を受けた。絶句した。
残り:約 1357文字/全文:2001文字
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