
那須の自然と命をつなぎ、
笑顔を未来へ
飲食課 主任
動物管理部 係長
好きな料理で環境保全活動を担う
調理師として園内のレストランで料理を提供するほか、施設内にある五つの飲食店を統括し、スタッフのスキルアップや働きやすい環境づくりをサポートしています。県内の調理師専門学校を卒業後、神奈川県でのレストラン勤務を経て、当園で働くご縁をいただきました。高校生のころから4年間アルバイトをして楽しかったこと、当園に対するSNSの反応を見て“もう一度ここで働きたい”と思ったことがきっかけでした。自然豊かな場所で、ゆっくりとした時間の流れや人の温かさを感じ、栃木に戻って良かったと改めて感じます。
厨房を任せられている「ヤマネコテラス」は、生物多様性・環境保全に関する普及啓発型のレストランでもあり、「ツシマヤマネコ米」を使用した白米を提供しています。たくさん食べていただくことで、国の天然記念物で、国内希少野生動植物種に指定されているツシマヤマネコの餌場の確保につながります。好きな料理の仕事における努力が、生態系の維持につながると思うと喜びも格別です。

笑顔と喜びの声が、新しい一歩の原動力
“休日は仕事のことを考えたくない”という人もいる思いますが、私の場合は料理のことを考えていることが好きで、逆に考えていないと落ち着きません。休みの日は包丁を研いだり、食べ歩いて季節メニューを楽しんだり、料理動画を見たりして過ごしています。お客さまの笑顔や「おいしかった」という声が、料理人にとって最大の喜びであり、働く原動力になります。当園には、子どもから高齢者まで、幅広い世代の方が訪れます。現在、見た目のかわいらしさや地産地消、彩りなどを意識したメニュー開発を行っていますが、今後はお客さまが料理を見た瞬間に「ワーッ」と声が上がるような“ 驚きのある一品”を考案したいです。
幼少期からの夢を叶え、念願の飼育員に
飼育員として、国の特別天然記念物であるニホンライチョウをはじめ、カピバラやスナネコなど、さまざまな動物の飼育・繁殖、研究などを行うほか、「ザ・キャッツ」というネコのパフォーマンスを担当しています。
小学1年生のとき犬を飼い始めたことを機に動物が大好きになり、将来は動物に関わる仕事に就きたいと思っていました。さまざまな大学のオープンキャンパスに参加する中で、宇都宮大学で聴講したカラスの授業が特に印象に残りました。動物の行動学や生態をもっと深く学びたいと思い、生まれ育った福島を離れ、宇都宮大学に進学しました。来園者に動物の解説を行うボランティアに参加したこと、「動物園学」の授業で元上野動物園園長の話に感銘を受けたことをきっかけに動物園への就職を決めました。

那須の自然に学び、森と命をつなぐ
休日は舞台鑑賞や温泉めぐりのほか、那須の山に出かけて野生動物の観察を楽しんでいます。四季折々の景色と野生動物の姿を見ると、心が穏やかになります。当園は、2017年から環境省が取り組む野生復帰事業の一環でライチョウの飼育を始めました。特にふ化後2週間は死亡率が高く、帰宅後もモニターでヒナを観察しました。いっときも目を離せないほど慎重に育てるため、放鳥できたときはヒナが成長した喜びと、重圧から解放された安堵感で胸が熱くなります。人間に個性があるように、動物にも個性があり、正解がないから面白い反面、命に向き合う責任の重さを日々感じています。現在は、ライチョウをはじめとする野生動物に関心を持ってもらえるよう、来園者への解説や出前講座などを実施しています。一人でも多くの方に環境保全や命の大切さを伝え、子どもたちに夢を与えられるような仕事をしたいです。

〒329-3223
栃木県那須郡那須町大島1042-1
TEL 0287-77-1110
http://www.nasu-oukoku.com/
雄大な那須高原の大自然の中で、人と動物との共生をテーマに動物のパフォーマンスや体験を通じより間近で命の温かさを体感していただける動物園。国と協力しライチョウの野生復帰事業をはじめ、野生動物や環境の保全・啓発に力をいれている。