能登復興応援!

栃木から私たちができること…
〝ものづくり支援〟

益子陶器市でチャリティー


今回の地震で、石川県の伝統工芸も大きな打撃を受けました。その中で輪島塗と珠洲焼に特化した〝ものづくり支援〟として、4月27日~5月6日に開催された益子陶器市で「能登震災チャリティー販売」が行われました。
陶器市の会場内5カ所で実施されたチャリティーは、出店者のうち約500人に協力を呼びかけ、賛同する作家が1人10点まで日常使いの器を提供。半額から4分の1という値段は、500円単位で作家自身が付けました。また「募金甕(がめ)」も設置し、より多くの支援を呼びかけました。
益子陶器市実行委員会運営委員長の塚本倫行さん(62)は「東日本大震災で益子が被災した時、美濃焼の土岐市から窯の中で使う棚板を寄付してもらった経緯がある。同じ焼き物の産地として応援したい」と話します。
姉妹で訪れた茨城県五霞町の村上まさ子さん(58)は、花瓶4点(合計7500円)を購入。「今回は花瓶を買いたいと思って来ました。気に入ったものと出会えてうれしい。少しでも被災地の支援になれば」と笑顔を見せました。
チャリティーの売上金と募金の合計は、94万5922円。支援先の輪島漆器商工業協同組合と珠洲焼創炎会に寄付。
能登のいいもの
ネットで

思いをつなぐ神秘の炎
高澤ろうそく 七尾

大きくゆらゆらと揺れる神秘的な炎。伝統の「七尾和ろうそく」を唯一作り続けているのが、1892年創業の高澤ろうそく(石川県七尾市)です。国の登録有形文化財だった店舗は倒壊。再開はおおよそ2年先になり、現在は同市内の仮店舗で営業しています。
和ろうそくの特徴は芯と原料。筒状の和紙の上から灯芯を一本一本手巻きし、パームヤシやハゼなどの植物ろうを使用しています。菜種油から生まれた「菜の花ろうそく」や四季の花などを描いた「手描き絵ろうそく」、感謝を伝える「朱ろうそく」など、サイズもさまざま。
5代目の高澤久さん(51)は「江戸時代から続く伝統の品。この土地で作っていくことが大切だと思っています」と前を向きます。
(問)同店仮店舗☎0767・53・0406(営業所に転送されるため営業日でもつながらない場合あり。水・日曜休)。

オンラインショップ
https://takazawacandle.stores.jp/
メードイン能登の紅茶
上林金沢茶舗 金沢・七尾

1949年創業、加賀棒茶や煎茶、玉露などを販売する金沢市の上林(かんばやし)金沢茶舗が能登島で栽培する茶葉で作った和紅茶。甘い香りがふわっと広がります。ネーミングは、日本三大火祭で知られる能登島の伊夜比咩(いやひめ)神社から。
加賀の紅茶作りに携わったのをきっかけに「能登の紅茶もあったら」と、10年ほど前に能登島でお茶の栽培をスタート。50㌃の茶畑で「やぶきた」と「おくひかり」を育て、いやひめはその2種類の茶葉をブレンドしています。
同社の販路にも大きな打撃をもたらした地震。工場は無事でしたが、七尾店の地盤が15㌢ほど下がりました。それでも、5月から営業を再開。同社相談役の織田勉さん(74)は「前を向いていくしかないと思ったが、知人たちが『畑は大丈夫だったか』という声をかけてくれたのがうれしかった。これからも地元の活性化のために」と力強く語ります。
(問)同本店☎076・231・0390(第3日曜休)。


オンラインショップ
https://kanbayashi-chaho.shop/
生鮮から加工品まで
能登スタイルストア 七尾

能登の風土から生み出された特産物や生活雑貨をお取り寄せできるオンラインショップ。サイトは、2007年の能登半島地震をきっかけに開設。今年の地震後は、困っている生産者や事業者の方の支援を第一に販売しています。
「買って応援、ありがとう 復興支援」では、紅茶、ろうそく、ワイン、日本酒、米など約70品を販売しています。人気は、「notonoフローズンヨーグルト・アイスミルク」(6個セット3600円)、「能登のあみ焼きセット」(8320円)、レトルトカレーなど(商品は随時入れ替えあり)。
お薦めは「能登の赤なまこ石けん」(1980円)。能登七尾産のコラーゲン豊富な赤なまこのエキスを抽出し配合し、保湿が期待できる高級洗顔石けんです。売り切れの商品も確保でき次第、再販するので、サイトで確認を。
webショップマネージャーの橋本亜弥さん(49)は「購入いただくことで、生産者や事業者の皆さんの支援につながります。時々能登を思い出して購入していただけると励みになります」と話します。
(問)同ストア☎0767・54・8850。



オンラインショップ
https://notostyle.shop-pro.jp
素材や技術にこだわり
能登デザイン室 七尾

能登半島にある能登島を拠点に活動しているデザイン事務所。能登で受け継がれてきた職人技術や自然素材、生活文化を、建築設計や製作デザインに取り入れています。約10年前に立ち上げたオンラインストアでは、自分たちがデザインした商品や、つながりのある人たちのこだわりの商品や食料品など約80点を販売しています。
県木のアテの木を利用して自家生産している「縄文の香り 能登のアテ 蒸留水」(1650円)は、消臭・除菌などの機能性が高く、リピーターも多い人気商品です。お薦めは「珪藻土の時計」(1万6500円)。特にピンク色は能登半島で採取される珪藻土を原料に、金沢の左官職人が「洗い出し仕上げ」で丁寧に手作業し、光の具合で陰影が変化します。
また「陶房 独歩炎」と共同で作った「炊飯鼓型土鍋」(1万6500円)は、ふっくらと炊き上がり、お米のおいしさを引き出してくれます。
代表の奈良雄一さん(46)は「能登島に来たり、暮らしたりすることと同様の空気感を、オンラインストアで感じていただけたらうれしいです」と話します。
(問)同室☎0767・84・1173。



オンラインストア
http://notodesign.shop-pro.jp
能登のいい味尽くし
実家ふぇ 烏兎色 七尾




昨年9月、能登島にオープンした「実家ふぇ 烏兎色(うといろ)」は「能登島の茶葉で作ったいやひめ紅茶」を提供しています。オーナーの秋元勇二さん(60)が妻の幸子さん(53)と営業。紅茶の味わいについて、「茎も入っていることで甘みが増す。お客さまも『甘いね』と香りと味を楽しんでいます」と話します。
秋元さん宅は、地震で大規模半壊に。当初は水と電気が使えた店で生活し、現在は仮設住宅で暮らします。観光客の姿はなく、4月に再開した店は週末営業。「ご近所さんしか来ないけれど、オープンしていないとね」と明るく話します。

能登の酒を止めるな!
被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクト
さくら市のせんきん
支援酒や醸造通し支援



さくら市の蔵元「せんきん」は、純米吟醸「Hope!(ホープ)」や「仙禽UA1st あか・あお」を販売し、支援酒として売上金の一部を石川県や石川県酒造組合連合会へ寄付しています。現在、「Hope!(ホープ)」は完売し、販売終了していますが、「仙禽UA1st あか・あお」は、販売特約店の一部で購入できます。
また、被災した蔵の酒造りや流通を支援する「能登の酒を止めるな! 被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクト」にも参画。石川県の「吉田酒造店」と、日本酒に関わるイベントなどを手掛ける「camo(カモ)」が事務局となり運営しているプロジェクト。設備が全壊などの被害を受けた5蔵に対し、全国の19蔵が協力蔵として参画しています。
11代目蔵元・専務取締役の薄井一樹さん(43)は「まだ共同醸造はしていませんが、受け入れ体制はできています」。東日本大震災や熊本地震などの際にも支援してきた「せんきん」。「酒造りを通じて被災地に何か届けたいと思っています。具体的な支援は決まっていませんが模索していけたら。支援をして終わりではなく、忘れてはいけない、風化させないことが大切です」と力強く話します。
願わずにはいられない
一日も早い復旧復興を
能登の今 観光客の姿はなくとも…



※被災地の写真はいずれもアスポ編集室撮影