広がる、深まる 地の輪

県内の市町で、最近の新たな流行や活動、イベントなど、その土地ならではの「旬の動き」を紹介する「わが街トレンディー」。今回は、県内でも豊かな農畜産物が魅力の高根沢町です。農畜産資源を生かした地産地消へのさまざまな取り組み、新たにイタリアンレストランがつなぐ生産者と飲食店、消費者の輪が広がり始めています。

 

1986年、北イタリアのピエモンテ州で起こった「スローフード」運動。ファストフードに対して高まった、その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動は世界各地で提唱され、あらためて食の大切さを考えるきっかけになりました。
全国に誇るイチゴやとちぎ和牛、野菜など農畜産物豊かな栃木県。その中で高根沢町も米や大豆をはじめトマト、ブドウなどの果樹まで気候や水の恵みを受けた農産物の宝庫です。
有機肥料「たんたんくん」を使った循環型農業や旬の農産物を直接農家から購入できる「農産物直売農家指定事業」、全国的にも珍しい「高根沢町ハートごはん条例」など、町の地産地消、食育への取り組みを土壌に生まれてきた高根沢のスローフード。
スローフード発祥の地で修業し、イタリア人の郷土料理への誇りに心を打たれた一人の料理人。その店を中心に、イタリア料理の素材として魅了された「高根沢の野菜」を手段にして、町内で新たな地産地消の輪が広がり始めています。

 

イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム パドローネ   照井康嗣さん(41)

 

都内から移住を決めた大きな理由の一つである高根沢の野菜のおいしさは、野菜を作るのに適している土地があり、プライドを感じるやる気のある農家さんがいることだと思います。また、トマトやイチゴなどを専門的に作っていることで安定して出荷できるのも高根沢の野菜の強みです。既に地元の農家と都内のレストランをつなげることも行っていますが、新たなチャレンジとして人と人をつなげる役割も果たしたいと思っています。
高根沢の野菜をどうイタリアンに生かしていくか、そして、移動販売をどう持続させていくかということを常に考えています。高根沢はちょうどいいサイズの町。いろいろ絡めてやれるのでは、と考えられるようになりました。この町でできることをこの町の中から発信していくのが自分にとって重要なこと。この場所をいつか〝栃木のリトルイタリア〟にできればいいですね。

 

農産物移動販売  ヴェッキオKトラム

 

町の特定創業支援制度の第1号として2016年9月にオープンしたイタリア食堂ヴェッキオ・トラム。季節と高根沢の食材を組み合わせた自家製生パスタをはじめ約12種類のサラダビュッフェ(ランチ、ディナー)が人気を呼んでいます。
同店が今年4月からスタートさせたのが、軽トラック「ヴェッキオKトラム」による農産物の移動販売です。休業日以外の毎日、町内外約20カ所の販売先を日替わりで巡回しているほか、イベントにも出店。当初は数軒の農家と始まりましたが「年間で20軒以上になってくると思います」と照井さんは話します。
移動販売を担当するのは、「くりりん」の愛称で親しまれている同店スタッフの粟野倫世さん(23)。元高根沢町地域おこし協力隊として「農」をキーワードに地域おこしを行ってきました。農家とのつながりがあり、「農家のために」という思いを持っている粟野さんに照井さんは将来の期待も込めています。

ヴェッキオ・トラム
高根沢町石末1785
☎028・680・3550
午前11時半~午後3時(OS午後2時)、午後5時半~同10時(OS午後9時)
日曜休(臨時休業あり)
※ヴェッキオKトラムの販売ルートや時間などの詳細は、同店フェイスブックを参照ください。

 

小池農園経営   小池英行さん

 

トマトをメインにトウモロコシなどの栽培に取り組む同町花岡の小池英行さん(39)。生産者の立場からスローフードの輪に加わります。祖父の代から続くトマトは、現在54㌃のハウスで「レディーファースト」「りんか」、ミニトマト「アイコ」などを栽培し、ヴェッキオ・トラムとKトラムに出品している一人です。
汗して育てたトマトが格別な一皿に。「素材のおいしさがダイレクトに伝わるイタリアンというのもいいんだと思います」と小池さんは話します。
また、これまでのジャムに加え昨年からはトマトジュースの加工販売もスタート。10月にも生産を予定しています。「その時期なりのおいしいトマトができれば」と小池さん。そして、Kトラムのこれからに、生産者とレストラン、一般消費者がよりつながっていくための新たな試みも考えています。

 

美味探訪! 直売・レストラン紹介マップ

 

町びれっじセンターが発行する「たかねざわ農産物直売屋MAP/地産地消推進店・農家レストラン」。農産物直売農家として指定を受けた生産者や地産地消を推進する飲食店などを掲載しています。
農産物直売屋は米、野菜、果物などと直売所を合わせて34カ所、推進店・農家レストランは8カ所を掲載。
本年度中にリニューアルの予定。マップを参考に高根沢の四季の恵みを味わってみては。掲載農家・飲食店のほか町役場などで配布。
(問)同センター☎028・676・8050。

 

和食レストラン麻希

 

 料理はもちろん、オーナーの加藤啓二さん(65)が力を入れるのは、高根沢の旬の果実と野菜のおいしさを詰め込んだ無添加の手作りジャムと「まるごとトマトのコンポート」。新作「なすのコンフィチュール」は、試行錯誤の末、完成した自信作です。
 ジャム作りを始めたのは6年ほど前。きっかけは、東日本大震災でした。非常事態で「直売所に出しても売れない農家さんの野菜を加工品にできたら」と、店の隣にジャム工房を作りました。
 ジャムは8種類あり、各500円。まるごとトマトのコンポートは800円、ミニトマトのコンポートは1000円。離乳食や料理の隠し味と

 

してお薦めの食べ方も提案しています。レストランのシェフが作る絶品ジャム。ぜひご堪能ください。

高根沢町光陽台4の5の2
☎028・675・5181
月・木・金曜午前11時~午後5時(水・土曜は午後9時まで、日曜は午後8時まで)
火曜休
 

 

JAしおのや農産物直売所 たんたんプラザ光陽台内 うまい屋

 

2004年4月にオープンした直売所内で、JAしおのや高根沢地区女性会の有志6人が立ち上げた総菜店。高根沢のおいしい野菜を使った手作りの総菜を味わってもらうことを目的に、店名には「うまいものを作ろう」という思いを込めました。
 現在は、代表の鈴木芳子さん(62)をはじめ7人のメンバーが直売所で販売される旬の野菜を使った天ぷらや煮物、町内産大豆を使った手作り豆腐の店「雪花菜(きらず)」(高根沢町元気あっぷむら内)のおからで作る卯の花やコロッケなど、「おふくろの味」と笑顔を提供しています。11月にはしもつかれも登場します。

高根沢町光陽台1の9の3
☎028・680・1910
午前9時~午後5時
1月1~4日休