世の中に星の数ほどある職業。身近なものから特殊な仕事まで、実際はどんなことをしているのだろう。そこで、アスポリポーターが仕事の一部を体験し、その仕事内容や大変さ、やりがいなどを紹介する新企画「お仕事体験シリーズ」。
第1弾は「自衛隊」。特別職国家公務員としての任務や訓練について知りたい! ということで、宇都宮市茂原の陸上自衛隊宇都宮駐屯地で、リポーターKが基本の訓練の一部を体験してきました。
人を平和を守る!

心を一つに日々訓練
事態に備え、いざ

写真:宇都宮駐屯地広報室提供
陸上自衛隊宇都宮駐屯地で体験
◆自衛隊とは
「国の防衛」「災害派遣」「国際平和協力」が主な任務。その任務を果たすための実力組織が陸上・海上・航空自衛隊です。陸上自衛隊では、14万人を超える隊員が日夜任務に励んでいます。
陸自宇都宮駐屯地ってどんなところ?
3隊、約800人が勤務
普通・情報科など16職種

まず、広報室長の塩田恵一3等陸尉(42)から自衛隊の組織、任務などについて説明を受けました。

宇都宮駐屯地の創設は1950(昭和25)年。現在、「東部方面特科連隊第2大隊」「中央即応連隊」「第307施設隊」が主要部隊として駐屯しており、約800人の隊員が勤務。敷地面積は83万平方㍍で、東京ディズニーランドのなんと1・6倍! 基地の中は生活ゾーン、訓練ゾーンなどに分かれています。
また、陸上自衛隊には地上戦闘の骨幹部隊である普通科をはじめ情報科、警務科、音楽科、会計科など16の職種があり、職種に応じた活躍の場が広がっているそうです。
例えば…
★東部方面特科連隊第2大隊…榴(りゅう)弾砲の長距離射撃により広大な地域を制圧し、第一線で戦う味方部隊を支援。また、県内の防衛・警備・災害派遣を担当する郷土部隊。
★中央即応連隊…近年の新たな脅威や多様な事態に対応するため誕生した陸上自衛隊唯一の国際任務専任部隊。国際平和協力活動に迅速に対応するほか、災害など国内における緊急事態にも適切に対処。
★第307施設隊…地雷原の処理をはじめバリケードや陣地構築をして味方部隊を支援。また、インフラ整備や技術の提供を行い災害派遣、国際貢献や演習場整備においても活躍。「土建屋さん」のイメージです。
隊員一日の生活
6:00 起床
6:15 点呼
6:20~7:10 朝食
8:15 国旗掲揚
8:15~12:00 午前課業
12:00~13:00 昼食・休憩
13:00~17:00 午後課業
17:00 国旗降下
17:15~18:00 夕食
17:15~20:30 入浴
22:40 点呼
23:00 消灯
17:00~22:40 余暇を利用しての外出時間
Q&A 井上雛子陸士長にインタビュー
〝終わり〟があるから頑張れる
認められた喜び 親の誇りにも

Q 運動が苦手でも入隊できますか
A 腕立て伏せ、腹筋がまったくできないという人でも、入隊後の教育期間のトレーニングで克服できます。
Q 隊員として大変なことは
A 何度も辞めたいと思ったことがあります。でも、「つらくても諦めない。厳しい訓練にもいずれ終わりがある!」と思えるようになりました。同期や先輩の励ましも力になりました。
Q 逆にやりがいやうれしかったことを教えてください
A 訓練や災害派遣を終えた時に、認められて褒賞を受けたことです。また、この仕事を両親が誇りに思ってくれていることです。
Q プライベートの時間はどう過ごしていますか
A 同じ部隊の後輩や友人、実家の家族と過ごしたり、好きなK‐POP音楽を聴いたりしています。
Q 昼食など勤務中の食事はどうしていますか
A 基地内に隊員食堂があります。水曜は麺、金曜はカレーが食べられます。
Q 厳しい規則や転勤も多いイメージがあります。恋愛はできるのでしょうか
A できます! 職場内恋愛もOKです。
訓練体験
本物の制服に緊張 身を守る術も鍛錬

いよいよ戦闘服に着替え、訓練体験へ。リアルな迷彩柄に感動と緊張の私。教官は中央即応連隊普通科の井出渕拓馬3等陸曹(32)。模範として東部方面特科連隊第2大隊野戦特科の井上雛子陸士長(22)が一緒に訓練を行います。
号令で行う集団行動「基本教練」
まずは、隊員として必要な「基本教練」。号令や指示で行動する訓練で、一般でも行われている集団行動のイメージです。

「気をつけ」「敬礼」「休め」のポーズと行進。腕の位置、足元の角度や開き方が決まっています。号令に合わせて力まずに行いますが、つい力が入ってしまいます。「シンプルなポーズに見えますが、難しい!」
戦闘行動の基礎8種「匍匐前進」
次は、戦闘行動の基礎となる「匍匐(ほふく)前進」。野原で凸凹している場所や有刺鉄線などを通り抜ける時に必要な戦法です。8種目あるという匍匐前進の中から5種目を体験しました。

第1から第5匍匐まで、敵陣へ進んでいくにつれ、段階的に体勢を低くして地面をはうように前進します。敵に見つかる的をできるだけ小さく、まさに、生存するための訓練。本来は鉄帽を装着、3・5㌔の小銃、弾や飲料水を含めると5~10㌔になります。時には10~20㌔の装備品を背負って匍匐するときも。
この日はたった5㍍の距離でしたが、体が重い…。自分の体だけなのに、思うように前進できません!
教官からのメッセージ
中央即応連隊普通科
井出渕拓馬3等陸曹

僕も貴重な体験をさせてもらいました。自衛隊がどんなことをやっているのか、皆さんに知ってほしい。Kさんは説明をよく聞いて実践してくれました。楽しくできてよかったと思います。
体験した感想
隊員の皆さんがいかにハードな訓練と体力づくりに取り組んでいるか。私たちの平和な日常のために、厳しい訓練の中で自分と闘っている人たちがいることを考えることができました。
とっておき情報
陸自宇都宮駐屯地73周年記念行事
5月13日午前8時~午後3時(午前8時開門)。観閲式をはじめ格闘演武や模擬戦、体験試乗(整理券配布)、16式機動戦闘車などの装備品展示。