
下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」の8月例会が3日、宇都宮市内で開かれ、アサヒビール専務取締役兼専務執行役員マーケティング本部長の松山一雄(まつやまかずお)氏(61)が「Value経営への変革」と題して講演した。
アサヒビールは2020年に長期経営方針を定めた。松山氏は「おいしさに加えた価値を顧客に提供しようと取り組んでいる」と述べ、主力ブランドの価値向上や、新ジャンル開拓を進めていると説明した。
マーケティングで着目したのは「顧客の購買意欲に直結する隠れた心理『インサイト』」。おいしさに加え、「ビールのある良い人生」を提案するテレビCMを放映し、「若い世代や女性から高い支持を得た」。
自身が手がけた「スーパードライ 生ジョッキ缶」は想定以上の人気という。泡立ちの驚きや感動を顧客と共有し、「退屈と思っていた業界で一つの風を吹かせられた」と振り返る。
新たな取り組みを始める際には周囲からの否定的な声も少なくない。「1歩踏み出すために必要なのは勇気と覚悟。顧客を真ん中に据えて開き直れば悩みは消える」と強調した。
松山氏は東京都出身。サトーホールディングス社長兼最高経営責任者(CEO)から、18年にアサヒビール専務取締役に就いた。