県内4牧場飲み比べ
1年を通して、身近な食材の牛乳。そんな牛乳に「四季」があるって知っていますか? 気温や湿度などによって、季節ごとに性質が変化。夏の暑さが落ち着く今の時季は、冬に向け乳脂肪分が高くなり、濃厚な味になる牛乳の〝ベストシーズン〟です。今回は県内4カ所の牧場をピックアップ。牧場ごとに特徴がある牛乳の味わいやこだわりをお楽しみください。
森林ノ牧場 那須

絞りたての風味で濃厚
2009(平成21)年7月にオープン。森林を活用した牧場で、ホルスタイン牛と比べ生産数が少ない「ジャージー牛」約25頭が、広大な自然の中でのびのびと過ごしています。
こだわりは「放牧」。牛たちが思うままに過ごせるよう、少ない頭数で育てています。搾乳量は「ホルスタイン牛」の約半分。63度で30分、じっくり低温殺菌することで熱による変性を抑え、より搾りたての生乳の風味を味わえます。また、秋は草の繊維分が高くなり、濃厚な味わいです。
一頭一頭、名前が付けられている同牧場の牛たち。スタッフの愛情が伝わってきます。

牛乳の味
牛乳の風味が強く、濃厚さがしっかりと感じられます。スーっと抜けるような後味でも、牛乳の香りはしばらく続きます。
90㍉㍑220円
500㍉㍑680円

お薦め商品

国内での生産が少ない「発酵バター(有塩・食塩不使用の2種)」(1620円)は、バターの香りが強く感じられる人気商品。「しぼるヨーグルト(加糖・砂糖不使用の2種)」(750円)もお薦めです。
酪農に懸ける思いインタビュー
森林ノ牧場代表
山川将弘さん(40)

国内の3分の2を占める森林。そのほとんどが放棄されているのが現実です。森林ノ牧場代表の山川将弘さんが牧場を始める際、森林を牧草地として生かすことで、自然資源をうまく活用したいという願いがありました。
放棄地生かし放牧の夢実現
「観光牧場を目指しているわけではないんです。牛の命を預かっているからこそ、牛の魅力を引き出し命の価値を高めていきたい」と話す山川さん。
放牧での牧場経営が夢だった山川さんは、新たな拠点を益子町に作りました。耕作放棄地であった場所を買い取り、少ない頭数で放牧しています。
「お客さんが『おいしい』と言ってくれたからこそ、益子町に牧場が作れました。もっと牧場を増やし、牛たちがいてくれてよかったと言ってもらえる牧場にしていきたいです」
那須町豊原乙627の114
☎0287・77・1340
午前10時~午後4時
㊡木曜 Ⓟあり
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南ケ丘牧場 那須

希少価値の高い乳牛
1948(昭和23)年11月に牧場として開拓。連日多くの観光客でにぎわう人気の観光牧場です。
同牧場の一番の特徴は「ガーンジィ牛」。創業者がさまざまな品種の牛乳を飲み比べ、その味にほれ込んだと言われています。
見た目は白と茶色の模様で、一般的なホルスタインと比べると一回り小さめ。搾乳量や国内で飼育している牧場が少ないことから、希少価値が高い乳牛です。
「ガーンジィゴールデンミルク」は75度で15分間、丁寧に低温殺菌。風味やおいしさを安全に残し、作られています。

牛乳の味

クセがなくさっぱりとした味わい。ゴクゴクと飲めるほど、後味もスッキリ。もちろん濃厚さも感じられます。冷やして飲むのがお勧め。
900㍉㍑1260円
お薦め商品

「ぬるチーズ」(各種600円)シリーズは、常温保存が可能。パンだけでなく、いろいろな料理にも使えます。「ガーンジィゴールデンヨーグルト」(690円)は無糖で濃厚な味わい。食べやすいヨーグルトとして受賞歴もあります。
那須町湯本579
☎0287・76・2150
午前8時~午後5時半(季節によって変動あり)
㊡なし Ⓟあり
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那須 千本松牧場 那須塩原

高鮮度 敷地内で製品
本州最大級の牧草地を保有。堆肥から牧草、生乳まで全て自家製。牛が自由に動き回れる「フリーストール牛舎」という牛舎で育てています。

「牛」と聞いて多くの人が連想する白黒模様の「ホルスタイン牛」を飼育。育成牛を含む約500頭を飼育し、1日の搾乳量は約8㌧に上ります。搾乳した生乳はすぐに牛乳工場へ。一般的な牛乳は、搾乳から製品になるまで5日ほどかかりますが、同牧場ではおおむね2日で製品になります。
生乳の風味を残しつつ、高鮮度にこだわった牛乳です。
牛乳の味
一口飲むと、口の中がまろやかな甘さでいっぱいに。ほんのり甘い後味で牛乳独特の臭みがなく、牛乳が苦手な人でも飲みやすい味わいです。

500㍉㍑550円
900㍉㍑850円
お薦め商品

人気商品の一つ「ミルクコーヒー」(1000㍉㍑、430円)は砂糖不使用。牛乳がもつ乳糖の甘さだけで作られています。また、カフェインレスのため、子どもや妊婦さんも安心して飲めます。他にも自社牧場の生乳を100%使ったヨーグルトやチーズなども人気です。
那須塩原市千本松799
☎0287・36・1025
午前10時~午後5時
㊡なし Ⓟあり
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日光霧降高原 大笹牧場 日光


臭みなくクリーミーで濃厚
標高1300㍍の高原に位置し、総面積は362㌶。東京ドーム約80個分の敷地で、約110頭の「ブラウンスイス牛」を育てています。
高原や山岳地が多いスイスが原産。国内では珍しい乳肉兼用種で、欧州では肉牛としても飼育。霧降高原の山地に適した牛を探していたことから、1989(平成元)年に米国から20頭を輸入したのが始まりです。現在、国内の飼育頭数は、5000頭弱と言われています。
寒くなると牛乳はより濃厚に。見た目も毛がモコモコになり、よりかわいらしく変化します。
牛乳の味

クリーミーでコクがあり、飲みごたえ十分。99度45秒の殺菌方法で処理し、牛乳の持つ本来の香りも感じられますが、臭みはなく濃厚。後味は爽やかです。
720㍉㍑850円
お薦め商品

かわいい見た目のパッケージ。「牛乳ワッフル」(1200円)は牛乳の優しい甘さを感じられ、柔らかくしっとり。「うしのバターサブレ プレーン&ココア」(1200円)はブラウンスイスバターを100%使用。バターの風味があふれるサブレです。
日光市瀬尾大笹原3405
☎0288・97・1116
午前8時45分~午後4時45分(レストランは同4時まで)季節によって変動あり
㊡水・木曜(1月4日~2月末)Ⓟあり