秋も本番になりました。コロナ禍が続く中でも、少しずつ日常生活や活動が戻りつつあります。秋といえば「芸術の秋」。今回のとちぎを見るシリーズは、県内に数ある美術館のうち特徴のある外観や立地の6館を紹介しました。個性豊かな表情の美術館です。一日の感染者数は減ってきているとはいえ、お出掛けはコロナ対策を十分にしてください。

 

外観がすてきな美術館

もアート!

 

懐かしい学校がモチーフ

安藤勇寿「少年の日」 美術館
佐野

「少年の日」をテーマに色鉛筆で制作を続ける画家安藤勇寿さん(70)の個人美術館。2002年5月5日こどもの日に開館。およそ800点を所蔵し、年3回、4カ月ごとに展示替えを行いながら、テーマに沿った作品を約40点前後展示しています。12月25日まで「ふるさとの詩」展を開催。
 約1万平方㍍におよぶ広大な敷地に学校をイメージした延べ床面積約350平方㍍の建物。広大な庭もすべて安藤さんが設計。四季が感じられ、小鳥が寄って来るようにと花が咲き、実がつく樹木を中心に構成されています。
 安藤さんは「みんな自然の豊かさを命で感じ取っている。絵と共に庭の散策もゆっくりと楽しんでほしい」と話します。

登る子どももいるという色えんぴつのオブジェは人気の撮影スポット
庭に建つミニ図書館兼ギャラリーの「きょうだいの家」
テーブルやいす、ベンチも庭の各所に置かれている

佐野市御神楽町623の1 ☎0283・67・1080

 

 

 

 

 

文明開化をこよなく愛した川上澄生の世界観を感じる

「自身の作」がモデルの洋館

川上澄生美術館
鹿沼

 木版画家であり教師でもあった川上澄生の教え子、長谷川勝三郎氏からの約2000点の作品提供により1992年開館。明治洋館風の建物は川上の作品「日本越後國柏崎黒船館(1955年)」を元に設計されました。外壁には鹿沼産の深岩石、内装には随所に木が使用され、建物全体から川上の世界観を味わうことができます。
 次代を担う木版画家の発掘を目的に、全国公募展「木版画大賞」も2年ごとに開催。
 12月26日まで企画展「大貫芳一郎 モダン広重の描く昭和風景」を開催中。夭逝(ようせい)し埋もれていた版画家の貴重な作品を展示しています。

ステンドグラスは濱田庄司の息子である濱田能生作
2階へ上る階段には上皇ご夫妻が来館された際に敷かれたレッドカーペットが敷かれている

鹿沼市睦町287の14 ☎0289・62・8272

 

 

 

 

 

 

1969年に建設された草雲美術館。正面には草雲が自ら考えたという「月と太陽と星」の家紋がある(提供写真) 


回廊で中庭ながめ展示へ

草雲美術館
足利

 幕末から明治にかけて活躍した画家田崎草雲の作品およそ400点の収蔵、展示を行っています。
 美術館は1969年に足利市の医師、故鈴木栄太郎さんが建設、同市に寄贈しました。設計は今年閉館した足利市民会館も手掛けた東京の石本建築事務所が担当。エントランスから枯山水の中庭を囲む回廊を通り展示室に向かう動線が引かれています。
 庭園には、草雲が暮らした2階建て瓦葺(ぶ)き住宅の白石山房、画室と茶室が残っています。
 今月22~24日の3日間、足利初公開となる草雲円熟期の最高傑作「四季山水図 特別展示」を開催。午前10時~午後4時、期間中無料。

 

白石山房入口の門
枯山水の中庭を囲む回廊

足利市緑町2の3768 ☎0284・21・3808

 

 

 

 

 

緑豊かな場所。11月23日まで「春の院展 栃木展」を開催中

勝山城跡の自然に囲まれ

さくら市ミュージアムー荒井寛方記念館
さくら

 1993(平成5)年5月に開館した美術館・博物館です。自然、歴史、民俗(のこぎり)、美術、文学(詩人・野口雨情)と幅広い展示や活動を行い、市出身の日本画家、仏画の大家として有名な荒井寛方を紹介する記念室も常設しています。
 同館は勝山の森、勝山城跡の一角にある豊かな自然に囲まれた白壁の建物。桜の季節をはじめ四季それぞれの彩り、光、風が感じられ、勝山城本丸跡から望む鬼怒川の雄大な流れと日光、高原、那須の山並みは絶景です。
 ゆったりと時が流れるミュージアムで歴史や文化に親しむ時間、そして発見の時が楽しめます。 

大手口橋を渡り勝山城本丸跡へ
市出身で日本美術院を舞台に活躍した日本画家荒井寛方の作品や資料を展示する荒井寛方室

さくら市氏家1297 ☎028・682・7123

 

 

 

 

 

展示室やレストランは1階に配置されており、車椅子も利用しやすい造り

豊かな緑と調和デザイン

宇都宮美術館
宇都宮

 市制100周年を記念し、1997(平成9)年に開館しました。公園施設「うつのみや文化の森」内にあり、約26㌶の豊かな緑に囲まれています。収蔵品は2021年時点で6829点。現在、空調改修や照明などの工事で休館中。22(令和4)年の秋再開予定です。
 自然や景観を壊さないように配慮した「低層型」に設計。回廊路で四つの棟が森へ翼を伸ばす配置となっています。大谷石を使用し、周囲と調和するデザイン。同美術館総務学芸課長の伊藤伸子さんは「休館中ですが公園に遊びに来てください」と話します。公園で自然観察会などを開催、また学芸員を市内の学校に派遣する出張授業なども行っています。
 

丘陵地の自然を生かした「草の広場」。跳躍したウサギのブロンズ像が歓迎してくれます

宇都宮市長岡町1077 ☎028・643・0100

 

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八溝杉のルーバーに包まれるようなアプローチ

浮世絵世界を地元素材で

那珂川町
馬頭広重美術館

那珂川

 昨年、開館20周年を迎えた同美術館は、青木藤作さん(現さくら市出身)が寄贈した歌川広重の肉筆画や版画など約4500点を収蔵します。
 浮世絵の「雨」をイメージした、地元の八溝杉による屋根のルーバーが印象的な建物は、世界的建築家隈研吾さんの設計。春夏秋冬、天候や時間によっていろいろな表情を見せます。床は芦野石、館内の壁には烏山和紙が使われています。
 学芸員の山内れいさんは「作品を見た後に、オープンギャラリーでゆったりと建物や里山の風景を楽しめます」と話します。11月7日まで特別展「川村清雄その画業」を開催。その後、空調改修工事のため11月8日~1月13日は休館です。

那珂川の里山の風景に溶け込む建築。庭に植えられたキンメイモウソウチクの緑の葉がこれから金色に変わります

那珂川町馬頭116の9 ☎0287・92・1199