近代化・文化遺産

新しい見、え…

 毎回一つのテーマで県内の風景などを写真で紹介する「とちぎを見る」シリーズ。今回は県内にある近代化遺産や文化財に指定されている歴史的な建造物です。県内には数多くの文化遺産に指定されている建造物があります。今回はそんな中から明治や大正など、いにしえの面影を強く残す建物7件を紹介しました。

 

6連ののこぎり屋根が特徴的な赤レンガ捺染工場
通りに面した赤レンガサラン工場。夜にはライトアップも
外壁に残る黒い迷彩模様は、戦争の歴史資料としても貴重なもの
汽罐室と併せて国登録有形文化財となったランカシャボイラー

地域とともに 今も現役

トチセン赤レンガ工場旧足利織物株式会社
足利

 大正初期に建造された大規模な赤レンガ工場建築群。外壁には戦時中に施された黒い迷彩模様が残ります。赤レンガの捺染(なっせん)工場とサラン工場、汽罐(きかん)室は国登録有形文化財。
 レンガは渋沢栄一が中心となって設立した「日本煉瓦製造」で生産されたもので、東京駅や迎賓館赤坂離宮と同じものが使用されています。
 トチセンは1913(大正2)年、「足利織物」として創業。工場は今も現役で、近年は映画やドラマのロケ地にも活用されています。同社の青山孝志専務取締役(68)は「より地域に開かれた近代化遺産として、環境を整えていきたい」と話します。
 通常非公開。例年11月に開催される「足利の文化財一斉公開」(昨年はコロナのため中止)で、社員がガイドを務め、約1時間の施設見学ツアーを行っています。
    
足利市福居町1143

 

 

 

 

 

 

「銅山」隆盛期の迎賓館

古河掛水倶楽部
日光

 江戸幕府直轄の銅山として栄えた足尾銅山。「古河掛水倶楽部」は、古河鉱業が足尾銅山の隆盛期の1899(明治32)年に迎賓館として建設し、貴賓客の接待や宿泊施設に使用していました。
 大正初期に改築され、外観は洋風、内部は和洋の2階建て建築です。鹿鳴館や古河庭園などを設計したイギリス人建築家ジョサイア・コンドルの影響を受けたといわれます。館内の撞球(どうきゅう)場には国産で最も古いとされるビリヤード台もあります。2006(平成18)年に国登録有形文化財に指定されました。
 開館は土・日曜、祝日午前10時〜午後3時半(午後2時45分受け付け終了)。冬期休館(11月下旬から4月上旬)。大人500円、小中学生300円。
    
日光市足尾町2281
古河機械金属足尾事業所
☎0288・93・3255(平日)、同館☎0288・93・2015(土・日曜、祝日)

 

 

 

 

 

 

石造で大正ロマンの趣

高木会館
那須塩原

 黒磯銀行本店として1918(大正7)年に建築された「高木会館」。2002(平成14)年に国登録有形文化財建造物に指定されました。
 建物上部に残された黒磯銀行の社章がシンボル。建物内部には、格調高い格天井や回り階段なども残されています。外観から見えるアーチ型の窓、正面には芦野石、大谷石を使った石造建築は全体的に大正ロマンを感じさせる趣になっています。
 黒磯駅近く、市内中心部に位置する同会館は現在も商業施設として活用されており、文化財をより身近に触れることができる建造物の一つ。当時の雰囲気が漂う「カフェ・ド・グランボア」ではカフェの利用が可。くつろぎの空間で、その時代に思いをはせるひとときが味わえます。
    
那須塩原市本町5の19

 

 

 

 

 

 

治場の情景に歴史あり

加登屋旅館
那須塩原

 那珂川の支流沿いにある「加登屋旅館」。深い緑に囲まれ、たっぷりのマイナスイオンが降り注がれる自然豊かな場所。
 古くからの湯治場温泉宿の情景が映し出される同館は2016(平成28年)に国登録有形文化財に指定されました。大正時代に建築された本館をはじめ、昭和初期には洋館建築の意匠を取り入れた別館と1952(昭和27)年に建築された切妻造の悠仙閣と合わせ3棟を繋いだ当時のままの形で残されています。
 全て木造建築。欄干付建具や入り母屋破風が用いられた外観、各館内部も、かつての状態で保存されている部分が多く、県内で文化財の宿泊利用ができる唯一の温泉旅館。これまで長い歴史を紡いできたお宿での体験もぜひ。
    
那須塩原市板室859
☎︎0287・69・0201

 

 

 

 

 

 

異国の雰囲気…美しく

日光真光教会
日光

 荘厳な石造りのゴシック様式とステンドグラスの彩り。1914(大正3)年に建築された「日光真光教会」は、アメリカ人の建築設計家、教育者、宣教師であるJ.M.ガーディナーが設計しました。外壁には近くの大谷川からとれた暗赤色の安山岩を使用しています。
 同教会礼拝堂は日本聖公会北関東教区に現存する礼拝堂の中で最も古く、礼拝堂内部の天井は屋根の流れに沿って細長い三角形の空間をつくり、アーチ型と三角形の木製の装飾が厳かな雰囲気を醸します。
 遺言により、ガーディナーは妻と共に礼拝堂の一部に埋葬され、永遠の眠りについています。
 見学自由。日曜日には礼拝を行っています。内部の見学は教会裏の管理棟へ。
    
日光市本町1の6
日光真光教会
☎0288・54・3464

 

 

 

 

 

 
倉庫背面に設けられたバットレス

アーチ状の小さな入り口

烏山通運石造り倉庫群
那須烏山

 JR烏山駅前にある3棟の大谷石造りの倉庫。1939(昭和14)年と40(同15)年に建造されました。「烏山通運」は地元の事業家新井萬吉によって1926(大正15)年に創業、現在に至ります。
 倉庫群の特徴は、建造当時に使用されていたアーチ状の小さな入り口。当時荷物を搬入する大八車の出入りには十分な大きさだったようです。また、倉庫背面など連続して設けられたバットレス(補強用の壁)は圧巻。
 重厚な倉庫群は、地域の産業を支えてきた拠点施設として当時の風情を今に伝えるとともに、現役として大きな役目を担っています。
 外観の見学、撮影は可(倉庫内の見学は不可)。
    
那須烏山市金井2の19の12

 

 

 

 

 

 
輸出絹織物の見本帳など織物関係の資料を展示

洋の骨組み 伝統の土蔵

旧木村輸出織物工場
足利

 足利市中心部の助戸公民館に隣接して建つ2棟。明治期に建てられた「旧木村輸出織物工場」の工場棟と事務所棟です。足利の近代化をけん引した初代・木村浅七が建設したもので、市内で最も古い近代工場の一つに挙げられます。
 工場は1892(明治25)年に建造。外観は伝統的な土蔵造りですが、構造は純洋式の洗練された骨組みを用いているのが大きな特徴です。
 事務所棟は、1911(明治44)年に建てられた木骨石造2階建ての本格的なルネサンス風の洋館。現在、工場棟は同公民館のホール、事務所棟は「足利織物記念館」として活用されています。いずれも県の有形文化財(建造物)に指定。
 足利織物記念館の見学希望者は、助戸公民館事務所へ。平日午前9時~午後4時。無料。資料保護のため雨天は閉館。
    
足利市助戸仲町453の2
足利市教育委員会事務局・文化課☎0284・20・2230