今日で3月も終わり。桜も満開となり、入学式まで花が持たないかもしれません。「桜を楽しむ」をテーマに続けてきた今月のシリーズも最終回です。入学式といえば桜が満開の学校が思い浮かびます。今回は廃校後に新たな施設として生まれ変わった小学校を紹介します。校庭の桜は学校の歴史の〝証人〟ではないでしょうか。

     ────────── 廃校第二の人生 ──────────

校舎〝卒業〟今は・・・

 

 

茂木町・旧木幡小

ノスタルジー味わう

昭和ふるさと村

歳月を経て漂う木の香り。長さ75㍍の廊下

 1934(昭和9)年に建築され当時の姿を残す木造校舎。昭和30年代の学校を再現した教室や生活道具が並ぶ展示コーナーなど昭和を体感できる「昭和ふるさと館」と宿泊施設「こころ宿NAGOMI」として活用されています。

 正面玄関のマンサード(腰折れ屋根)、ゆがんだガラス、中村利美支配人が気に入ったという75㍍の長い廊下。今年2月に国有形文化財に指定されました。

 オープン12年目。コロナ禍以前は年間1万人強の宿泊者数がありました。「持っている宝物をいかに有効利用するか」と中村支配人。8人用のラージグランピングも完成。陶芸、おやき作りなどの体験や「昭和の給食」を楽しむこともできます。

「昭和の給食」(900円)
「こころ宿NAGOMI」の和洋室

茂木町木幡252
同施設
☎0285・64・3117

 

 

 

大田原市(旧黒羽町)・旧蜂須小

障害者の就労支援

Hikari no cafe 蜂巣小珈琲店

 

温もりのある木造校舎

 

 

 

 

 

 

 

 

  

当時の面影を残したレトロモダンな空間のカフェスペース

 1875(明治8)年に創設された蜂巣小はこれまで延べ2080人の卒業生を送り出し、2013年に閉校となりました。

 1932(昭和7)年に建てられた木造平屋建ての校舎をリノベーションし、障がい者就労支援の場として社会福祉法人エルム福祉会が運営する「ヒカリノカフェ蜂巣小珈琲店」となったのは5年前。

 スタッフは音楽室や家庭科室を利用したパンやスイーツ工房での生産活動、カフェでの接客対応などを学び、地域で活躍できるよう取り組んでいます。

 

思い出の染み込んだ番傘立ても趣のある雰囲気に

 職員室だった場所はノスタルジックな雰囲気、4年生の教室はモダンなイメージのカフェ空間に。当時の面影を残したままの机や番傘立て、ゆがみのあるガラスなどを通して思い出がよみがえります。

 

大田原市蜂巣295
同店☎0287・54・2255

 

 

 

佐野市(旧田沼町)・旧三好小

民俗資料など展示

市郷土資料保存三好館

 

市内に唯一残る明治期の校舎

 校舎は1911(明治44)年、三好尋常高等小の開校に合わせて、地域の人たちの寄付で新築されました。近くの山林の木材を使い、地元の大工の手によって建てられたといわれています。市内に唯一残る明治期に建設された校舎で、市指定有形文化財。   

 

消防組(消防団)で使われた道具

 1972(昭和47)年からは地元の民俗資料などを収集、展示する資料館として活用。運営を支えるのは三好地区の60、70代の10人の女性たち。「古い木造校舎を訪ねるのを趣味にしている人がよく訪れます。以前、中年の男性が大阪から夜通しバイクを運転してやって来たのには驚きました」と、向田元子さんと横塚敬子さん。

 開館日は第2・4日曜、入館無料。        

佐野市岩崎町1325の1
市郷土博物館
☎0283・22・5111

 

鹿沼市・旧西大芦小

地域に弁当を宅配

ふれあいレストラン

 

1973(昭和48)年に改築された3階建ての校舎。右の建物がランチルーム

 1874(明治7)年開校の草久小と草久西小学校を前身とした西大芦小は、2018(平成30)年3月、最後の児童4人の卒業をもって143年の歴史に幕を閉じました。その年の10月、西大芦地区ふるさとづくり協議会が「ふるさとレストラン運営委員会」を発足。自校給食だった同校のランチルームを利用して、地域の人たちに弁当を作り宅配サービスを行う施設に生まれ変わりました。

 

ランチルーム内の給食室で作る弁当(大500円・小450円)

 運営委員会会長は同校最後のPTA会長石原逸子さん。毎週木曜日に仲間たちと地域の高齢者の見守りを兼ねて家庭の味の温かい弁当を作り届けています。また、数がまとまり市内であれば配達可能です。

 校庭では収穫祭や直売所などを定期的に開催し、地域内外の人たちの交流の場ともなっています。

鹿沼市草久960
同運営委員会
☎070・4438・6615

 

足利市・旧小俣第二小

地域の歴史を紹介

市ふるさと学習・資料館

 

豊かな自然に恵まれた山間に建つ資料館

 1997(平成9)年3月に閉校した校舎を活用し翌98年4月にオープン。地域の歴史や民俗の紹介、企画展の開催、市内の小学3年生の社会科見学、生涯学習の場として利用されています。

 1階は小俣地区出身の実業家で、現在のJR両毛線開通に尽力した木村半兵衛の常設展示。市西部地域を中心とする遺跡から出土した石器や土器などの展示。葉鹿熊野古墳から出土した「二人童女」の埴輪も見どころの一つ。 

 

トーションレースの国産第一号機

 織物生産の盛んだったことから、織機や糸車、足利銘仙の着物やポスター、特産品のトーションレースの国産第1号機なども並びます。

 

民俗資料が並ぶ2階

 2階は農工具、戦争に関する物品、昭和20、30年代に使用されていた生活用品など民俗資料が中心です。

足利市小俣町3306  
同施設
☎0284・62・0246

 

さくら市(旧喜連川町)・旧穂積小

木工体験楽しめる

喜連川丘陵の里 杉インテリア木工館

 

旧穂積小校舎とシンボルのアカマツ「穂積のマツ」

 「関東最後の里山の秘境」と言われる喜連川丘陵。その里山にあり、2010(平成22)年3月に廃校になった校舎を利用し、12年に杉とヒノキを活用してオーダーの家具やインテリアを制作する工房&木工塾&ショップがオープンしました。 

ゆったり快適な工作ルーム

 代表理事の薄井徹さんは「杉の香り、ぬくもり、軽さを知ってもらい多くの人が杉の製品を使えば、CO₂が削減され里山の改善や保全につながる。また雇用も創出でき、それがサイクルになれば持続可能な地域になっていく」と話します。

 

子どもも大人も夢中! 木工体験

 「いつでも」「誰でも」「手ぶらで」が売りの「簡単すぎ木工塾」は、マイペースで制作できます。ワークショップは、幼児から大人まで15種類のメニューが楽しめます。

さくら市穂積478
同施設
☎028・685・3841

 

那須町・旧朝日小

地場産品そろう店

那須まちづくり広場

 

壁に描かれ大きな太陽が出迎えてくれる校舎

 自然豊かな山里に囲まれ45年の歴史を経て2016(平成28)年に閉校しました。18年から一部教室を使い、誰でも気軽に利用できる日替わりカフェのほか、地元産の新鮮野菜や加工品、パンやスイーツ、自然食品、オーガニックコットン製品などがそろう店に。

月ごとでメニューが変わり、訪れる楽しみもあるカフェ「ここ」

     

 

また、主に地元の人が講師となり、書道教室や料理教室のワークショップ、コンサートなど幅広く主催して、地域の人と交流の輪を広げる「楽校(がっこう)」を週末中心に月替わりで開催しています。 

那須町産の野菜や自然食品を多く取り扱う「あや市場」

   「交流」を大切にしたいと始まった旧朝日小再生プランは、これからが本番。人と人が分け隔てなく生活できる場を作り、新たなコミュニティーを築き上げていきます。学校の良さを生かしつつ、複合的施設の拠点作りが始まります(5月から改装工事。期間中も利用可能)。

那須町豊原丙1340
同施設
☎0287・74・3434