いよいよ春本番。宇都宮市の桜開花予想日まで1週間を切りました。桜を楽しむ今月のシリーズ、今回は少し趣向を変えて、桜を守る活動をしている人たちにスポットを当てました。県内には桜の名木や古木、さらに桜を地域おこしに活用している団体などたくさんあります。そのうち5団体・グループを紹介します。

 

地域の誇り…樹齢450年

孝子桜 =宇都宮

孝子桜愛護会会長・孝子桜まつり実行委員長
北條将彦さん(63)

 孝行息子の伝説がある宇都宮市指定天然記念物の孝子桜。樹齢450年のしだれ桜で、かつて寺があったと言われる場所にあります。現在その場所は市内で2校しかない小規模特認校の城山西小学校となり、校庭の真ん中で児童たちを見守っています。
 土盛りや排水管の整備など大規模な管理は宇都宮市が行い、草むしりや害虫よけなどの日々の手入れを地域の愛護会が担っています。「古賀志山と小学校、そして孝子桜は地域のシンボル」と愛護会会長の北條将彦さんはいいます。
 校庭の真ん中にある桜の木の周りでリレーをしたり、校庭で野球をする際に「桜にボールが当たったらアウト」というルールがあったりと、児童全員が桜とともにすくすくと育っています。
 2003(平成15)年から始まった地域と小学校で行う「孝子桜まつり」は多くの人でにぎわいますが、今年は新型コロナウイルス感染予防のため中止となりました。現在学校内に部外者は入れませんが、学校の東側にある「孝子桜展望台」から、孝子桜をはじめ、その周りにある桜の美しい姿が眺められます。
 (問)宇都宮市役所経済部観光交流課☎028・632・2436。

 

 

左から檀家の樋下田芳男さん、総代の柳田富司さん、久保雅之さん

自然な状態で保存心掛けて

臥竜院のエドヒガンザクラ =足利

臥竜院檀家

 足利市北部、名草の巨石群へ向かう県道沿いに目印の看板が立ちます。そこから約200㍍先にある小高い山の中腹に建つ臥龍院本堂の周りに3本のエドヒガンザクラの古木があります。
 桜では唯一、市の天然記念物に指定。樹齢は1871(明治4)年の寺の図面に大きく載せられていることから約250年と推定されています。
 臥竜院は名草上町にある臨済宗の寺院で、エドヒガンザクラは約120軒の檀家により守り継がれています。檀家総代の柳田富司さん(82)は「年2回の草刈りとときどき手を入れる程度。余計な手間をかけず、自然な状態で残すことを心掛けている」と話します。
 1997(平成9)年に県樹木病院の樹木医だった吉田光男さんによってやぐらを組んだ大掛かりな樹勢回復工事が行われました。当時の記録では本堂の西側にある一番大きな木で高さ12㍍、枝張り10㍍とありますが、現在は枝先に枯れが見られ一回り小さな姿となっています。「そろそろまた樹勢回復工事の必要を感じています。これからも大変ですが市のシンボルとしてずっと残していきたい」
 (問)名草観光協会☎0284・41・9977。

 

 

市と共に桜の保全活動に汗を流す「さくら市桜守ネットワーク」のメンバーたち

守る、育てる、学ぶ…未来へ

桜の郷づくり =さくら

さくら市桜守ネットワーク

 美しい桜並木や歴史と風情ある桜など、さくら市内には28種類の桜が約7000本あります。2006年度、桜守養成講座がスタート。17年度に各地区の桜守として活動する団体や個人をネットワークし、設立されました。現在、40~80代のメンバー37人が市と協働で桜の保全活動を行い、「桜の郷づくり」を推進しています。
 「守る」「育てる」「学ぶ+次世代人材の育成」の三つを活動目標に、健康診断や桜の冬眠時期の12月上旬に行う施肥、桜の保全活動、市内小学校での出張講座など、美しい桜を咲かせるための〝裏方〟として地道な活動を続けています。本年度は、早乙女の桜を残すための芽接ぎや「ジンダイアケボノ」の1年生の苗木200本の植栽などを行ってきました。
 「子どもたちが桜に興味を持って大切にできるよう、さくら市の桜と共に育ってほしい」と話す桜マイスターの福島徹会長(74)。〝桜のまち〟の未来にメンバーたちの夢が大きく膨らんでいます。
 (問)同ネットワーク事務局☎028・616・3557。

 

 

桜光会の代表メンバーたち。前列右の伊藤紀美雄会長をはじめ、渡辺隆一副会長、後列左の鮎沢周一副会長、広報の菊池修さんら

地域のシンボル多くの人に

磯上のヤマザクラ =大田原

桜光会(磯上ヤマザクラ保存会)

 咲くまでが長く、散るのが早い。見頃は短いけれど、そのはかなさがまた魅力的。八溝山頂に鎮座する八溝嶺神社「一の鳥居」にあるのが、樹齢約360年と推定される「磯上のヤマザクラ」です。傘上に広がる枝に咲く花々だけでなく、ねじれるような幹の部分も含め見応えのある名木。
 このヤマザクラを保存する活動を行うのが地元有志で集まった17人で組織する「桜光会」。発足はちょうど20年前。長い年月を経た桜の木が少しずつ折れはじめ、弱っていく姿を目の当たりにして、「幼い頃からずっとここで楽しませてもらった桜をなくしてはならない」と決意。周辺の清掃や草刈り、土壌改良や取り囲む森林の伐採などが主な活動。10年前からはライトアップを実施し、名木百選にも選ばれ、その幻想的な美しさに多くの見物客が魅了されるまでに。ライトアップ期間は連日警備にあたり、見守りを行います。
 会長の伊藤紀美雄さんは「年にこの時期だけのお楽しみ。多くの方がこの桜を愛でてくれて、私たちもうれしい。できる限りこの桜の状態を維持していきたい」。今年の見頃予想は3月の下旬から4月の上旬ごろです。

 

 

里親制度で故郷にぎやかに

オモイガワザクラ =小山

小山市桜の里親連絡協議会会長
増子健一さん

 小山市では市原産のオモイガワザクラを生かしたまちづくり、思川周辺の景観向上を目的として、「小山市桜の里親制度」を実施しています。市民が桜の木の里親となり、市内に植樹した木の育成を行っています。
 増子健一さんは2001年に制度が発足した際に里親になり、同里親連絡協議会の会長に就任しました。制度ができる前はあまり知られていなかったオモイガワザクラの認知度が高まり、年々里親が増えています。現在の里親は1920人、市内47カ所、2147本が植えられています。
 苗木は市内の高校生が育成、植樹は小山市造園建設業協会がボランティアで協力。里親は下草除去や清掃を行い、木の消毒や増し土など管理は市が行っています。関わる皆さんの「ふるさとをにぎやかにしたい」という心、小山にしかないオモイガワザクラへの愛着を感じます。里親さんから手紙が届くこともあります。
 「小さな苗木が成長し、数年かかって10枚の花弁の美しい花が咲いたときは感動しました。毎年開花が楽しみです。桜の里親制度が長く続くことを願っています」