6月も目前になり、草木の緑も色濃くなってきました。まさに「山滴る」時季です。一つのテーマに沿って、人物や団体を紹介する月イチ企画「Tochigi 人びと」、今回はそんな山の緑を育て、守る活動をしている女性たちにスポットを当ててみました。

 

 

育った〝行く末〟を見届けたい

 

林業家・Forester K代表 金子裕美さん(47)=鹿沼

 

 

 家の山の木々が苗木の時から人の手で育つ姿を見て育ちました。本格的に林業に取り組もうとしたのも「兄弟姉妹のように一緒に育ち大きくなったこの子たちの行く末をきちんと見届けたい」という思いからです。 その頃知り合った仲間たちと「日光地区木材流通研究会」を立ち上げ、「育てる人」「製材する人」「建てる人」「住む人」をつなぐ〝顔の見える家造り〟の取り組みを始めました。しかし当時は、伐採搬出手段を持たない自分にジレンマを感じていたと言います。 そんな時、自家伐採で環境保全し多様な森林経営を進める「自伐型林業推進協会」と出会いました。山の環境をできるだけ壊さないよう、〝小さい機械で小さな道を作り、小さいトラックで運ぶ〟山を傷めない施業を自ら実践したいと決意。先輩たちに実践で伐採搬出を教えてもらいました。

 かつて鹿沼の木が活躍していた電信柱はコンクリートとなり、住宅も外国産材や新建材が主流となってしまった今、植樹当時と状況が変わり、多くの山で成長した木が手入れされずに危険な状態となっています。「木の良さを広く再認識してもらい、生活の中で使ってもらえるよう、山からユーザーの手元まで見守る流通を目指し活動をし続けたい」

鹿沼市加園885 ☎090・1035・6576

 

 

 

女性目線で県産材魅力発信

 

とちぎの木を活かす女子の会~木輪(もくりん)~ 会長
 
豊島香折さん(39)=那須烏山

 

 

 女性の生活者レベルの視点を生かし、県産材の良さを多くの人に知ってもらい需要拡大につなげたいという県の呼び掛けにより2016年に発足。県産材に関わる職業や木に興味がある女性たちが会員となり、現在44人のメンバーが県産材の魅力を発信しています。

 これまで、ラジオ番組「もくりん森日記」の制作や勉強会、林業・木材産業界内外のイベント参加、山での活動に取り組んできました。特に、長期的な山の活動では、昨年春に1回目の植樹を行い、その後トチノキ、クリ、モミノキ、ヤマザクラを補植しました。

 2級建築士として実家の「けんちくや前長」に勤務。2児の母として子育てをしつつ活動する中でうれしいのは、建築士の仕事では得られなかった出会いや横のつながりが広がったことです。

 「林業体験ができればもっと山が身近になり、荒れている状況に気付いてもらえるのでは。近くの山の木を使うことに意味があり、山が整っていることが自分たちの住環境や豊かな栃木県を形づくっていくことになる」が思いです。

事務局・県環境森林部林業木材産業課内 ☎028・623・3277

 

 

 

森林破壊危惧し木育広める

 

えがおをつなぐとちぎ木育の会 会長、副会長
 
大類智枝さん(45)中村吉野さん(47)=日光

 

 

 始まりは、普通の主婦、大類さん=写真左=と中村さんがボランティア活動で出会い、日光市と一緒に地域おこしプロジェクト「三世代マルシェ」を開催したこと。ここでの大和木材(日光市)との出会いが大きな一歩となりました。「日本の森は木が密集し森林破壊を起こしている。成熟した木を伐採し木材として活用しないと温暖化など地球規模で大変なことになる」

 ヒノキ生息地の最北端である栃木県は、雪も少なく良質でしまりがいい木材の産地。「外国産材ではなく、とちぎ材を使おう」と主婦ならではの目線で「木育」をツールとした活動を始め、県との連携をとるため奔走しました。

 2015年6月、県木材業協同組合連合会内に同会を設立。現在は全国のイベントなどでのとちぎ材のPR、障害者就労施設に製作依頼したとちぎ材の「木のおもちゃ」の販売などを中心に活動しています。

 「今後は、県内に数カ所、とちぎ材製の『木育カフェを併設した木育ひろば』をつくり、木のぬくもりを感じながら森づくりを考える場にしたい」

宇都宮市新里町丁277の1県木材業協同組合連合会内 
☎028・652・3687

 

 

 

日々鍛錬 林業のプロ目指す

 

高原林産企業組合
 
早乙女愛海さん(24)上村七海さん(24)=宇都宮

 

 

 1日の大半を約5㌔あるチェーンソーを持ち、木を切る作業が続く毎日。長時間現場に入り、できるだけ傷を付けぬよう、定めた方向に木を倒す技術や知識、体力も必要な林業。矢板市にある高原林産企業組合では2人の女性が、活躍の場を広げています。

 高校生の頃から林業に就きたいと夢を抱き、「チェーンソーから草刈り、重機の扱いまで、どの作業も効率よくこなせるようになりたい。いわば、林業のプロフェッショナルになるのが夢」と目標に向かう早乙女さん=写真左。「『木を切ることが何より楽しい』と思えるのが一番の魅力。性別問わず、興味をもってくれる若い人たちがもっと増えたらうれしい」と、4年目となる今はさらなる技術の向上に加え、後輩に教える立場に。

 これまで山に携わる仕事を続け、8カ月ぶりに林業の現場に復帰した上村さんは「これからがスタート。今までの経験や知識を生かしながら、先輩からの『数をこなすことが一番の近道』の言葉を信じ前に進んでいきたい」と話します。

 

矢板市長井2046  ☎0287・43・3791

 

 

 

ハープ作り森林の循環図る

 

国産材ハープ製作者・奏者・講師
 
阿久津瞳さん(31)=宇都宮

 

 

 子どもの頃、ジブリ作品が好きで、木々や草花をよく知るナウシカのようになりたくて森に興味を持ちました。中学生のころから森林の分野から環境問題に寄与する人になりたいと考え、大学で森林科学を学び、卒業後はホテル専属の自然ガイドになりました。

 「趣味のハープと自然ガイドを組み合わせたら面白そう」。3年間ホテルで経験を積んだ後に、アイルランドに渡り、1年間ハープを学びました。帰国して数年後、ハープ教室を開き、ハープを奏で森を案内する〝森のハープ弾き〟としての活動もスタートしました。

 「既製のハープの素材は、ほぼ外国産材。国産材で作ったら日本の林業や木材産業の発展に寄与できるかもしれない」と考え、国産材ハープ作りにも挑戦。木工教室で講習を受け、協力者のサポートのもと、今年、自分で設計した国産材ハープが完成しました。「和を感じる素朴な音色が魅力」。今後、継続的に製作することを 目指します。「国産材ハープを作り奏でることで、国産材に興味を持つ人が増え、日本の森が豊かになることにつながればうれしい」

 

☎090・6955・8809 http://moriharp.wixsite.com/moriharp