一つのテーマに沿って、人物などを紹介する月イチ企画「Tochigi 人びと」、今回は県内に住んで活動している外国人の方を紹介します。伝統芸能や日本の文化を学ぶ人、農業に携わる人、地域の活動を支える人など、輝いている人たちに登場してもらいました。

 

自分が食べたい野菜作りを

 

 
 
アン エリザベス ファーム
アン・エリザベス・シーバーさん(59) 益子 
 

 8種類のトマトなど有機野菜やブラックベリー、食用ホオズキといった果樹を栽培し、ピクルスやジャム、ドライフルーツなどの加工品を道の駅ましこなどで販売しています。地元の薄羽養鶏場の卵を使った「ピクルドエッグス(たまごピクルス)」が昨年、フード・アクション・ニッポンアワードで全国1500品の中から100選に入賞。故郷のカナダではごく普通に食べている〝おふくろの味〟です。

 カナダ・トロントの出身でプロゴルファーとして1989年に栃木市に来日しました。父は「エリック兄弟」で知られた有名プロレスラーのワルドー・フォン・エリックさん。自身もスポーツが大好きで子どもの頃からいろいろなスポーツに取り組みましたが、プロになるために選んだのがゴルフでした。

 42歳で引退。有機農家に転身するきっかけとなったのは「自分が食べたい野菜がない。それなら」と、アーティチョークを栽培したのが始まりです。畑仕事、商品の調理・加工やパッケージなど、全て女手一人で行う中で「手伝ってくれる友達がいることがうれしい」と話します。

 また、英語教師の仕事もしており「子どもたちとサマーキャンプをして、英語を教えながら野菜を作って料理をしたり、自然と触れ合う体験をさせたい」。

 
「和」の音で出会いを演出

 

 
 
田町囃子会
ミニャーノ・ジョーさん、エリック・アーバンさん  大田原 

 

 

 上付け、中付け、大胴、笛、鐘、この五つのパートの組み合わせで成り立つお囃子(はやし)。お囃子との出会いは大田原市で毎年開催されている屋台まつりでした。「和」の音と、リズムに乗せて体を使うことに興味があったことから、田町囃子会のメンバーとして練習に参加したアメリカ出身のジョーさん=写真左=とエリックさん。

 来日から10年、ほぼ全てのパートをこなせるようになりましたが、息の吹き方、指の動き、曲によって抑揚のつけ方が日本人にとっても難しい「笛」には共に苦戦中。それでも、お祭り好きな2人にとって、日本文化を知る上でお囃子は大切なツール。

 「一日でも早く日本になじみたかった。それができるのが『お祭り』だと思う」とエリックさん。また、ジョーさんも同じく「祭りを通して、たくさんの人たちに出会い、音楽で同じ時間を共有できるのが最高にうれしい」と笑顔。

 1人で奏でるのではなく、5人の息がピタッと合い、気持ちとリズムが重なって初めて、素晴らしい響きが出せるお囃子の魅力に引き込まれた2人。「10年続けていても飽きない。楽しい!」。今年もお祭りに向け、練習に励みます。

 
 
優しい人のいる田舎で創作

 

 
 
陶芸家
ティミィ・ラントスさん(34) 益子 
 

 益子の土と飴釉(ゆう)など伝統釉、自作の釉薬を使って焼く陶器の多くは、自然や風景からのインスピレーション。ハンガリー・ケチケメートの生まれ。子どもの頃はアニメ「セーラームーン」が大好きで、その後日本の建物に興味を持ち、日本が好きになりました。

 16歳から陶芸を始め、美術大学と大学院で勉強しました。2015年に陶芸・照明分野における創作・研究活動の助成事業を行っている神戸(かんべ)財団のスカラシップを受け来日。福島や京都、日本各地で研修しましたが、ろくろを学ぶため選んだのは、自然のある田舎の風景、人の優しさ、初めて訪れた時のまちの雰囲気が気に入った益子でした。

 益子に来て4年。古民家の宿泊施設がある陶芸教室「益子陶芸倶楽部」で作陶に励む日々。「ろくろや釉薬のことをもっと学び、磁器にも挑戦したい」と話します。師匠や応援してくれる周囲の人たちの声を大切に、これからも思い描く作品の制作に情熱を注ぎます。

 
 
美しさを探して花を生ける

 

 
 
いけばな山月師範
行本(ゆくもと)リジアさん(58) 宇都宮 
 

 祖父母がブラジルに移住した日系ブラジル人。サンパウロで生まれ育ったリジアさんが、ブラジル人の夫と2人、宇都宮の介護施設に出稼ぎにきたのが28年前。その後子どもを授かり、そのまま日本に暮らすことに。

 母親が「いけばな山月」の師範だったため、花のある生活を送っていたリジアさん。13歳から華道を始め、サンパウロで師範を取得。宇都宮に来てからも華道を続け華道歴35年のベテランです。

 ポルトガル語、英語、スペイン語、日本語と4カ国語を話すリジアさんは現在、鹿沼市国際交流協会の外国人相談員として外国人の相談や通訳、病院からの問い合わせなどに対応しています。「宇都宮も鹿沼も人が優しくとても住みやすい。子育てがしやすいいいところです」とリジアさん。

 「できるだけ自然のままに個性を生かし、周囲との調和の美を求め、一番美しい姿を探して生けています。人間も同じこと。いいところをみつけて、ほめて伸ばすことが大切です」

 
3年間 笑顔で足利をPR

 

 
 
ミス織姫
楊暁芸(やん・しゃおいん)さん(27) 足利 
 

 ミス織姫は足利商工会議所が2017年に開催したミスコンテスト。ミス織姫に選ばれたメンバー5人の中で唯一の外国人で、式典のサポートやPRイベント、観光用パンフレットの写真モデル、織姫神社例大祭の巫女(みこ)役など幅広く活動してきました。

 中国安徽(あんき)省出身。吉林農業大学を卒業後、東京の語学学校に留学。その後、足利大大学院に進学し、建築を学びました。

 コンテストの応募は、大学教職員からの強い薦め。

 「メンバー同士とても仲が良く、分からないことがあっても優しく丁寧に教えてもらえて、とてもありがたかった」と笑顔を見せます。

 今春、大学院の卒業と共に3年弱務めたミス織姫を引退。母が待つ故郷へ帰る予定です。「中国の日本企業に就職して、中国と日本を行き来できる仕事に就きたい」と、新たな目標に向かっています。