3月20日は動物愛護デー。9月の動物愛護週間と違って、意外に知られていない印象です。1882年に日本で最初の動物園「上野動物園」が開園した記念日にちなんだといわれています。一つのテーマに沿って、人物などを紹介する月イチ企画 「Tochigi 人びと」、今回は動物に関係した仕事をしている人たちを紹介します。

 

救える命、一つでも多く

 

那須どうぶつ王国  獣医 原藤芽衣さん(29) 那須 
 

 哺乳類、鳥類、爬虫(はちゅう)類まで約150種、全600匹の動物たちが生活する「那須どうぶつ王国」。ここで獣医になろうと決めたのは、学生時代の実習がきっかけ。那須の大地の自然の中で、飼育員や来園者にかわいがられながら過ごす動物たちが、何よりも幸せそうに見えたから。

 現在、王国の獣医は一人。「動物たちを診る中で、毎日の食欲や動き方、体温など普段と違う様子など、各動物の飼育スタッフの日々の観察が診療の大きな助けになる」。言葉で痛みや辛さを発せない分、普段との違いは重要で、できるだけ病気にさせない予防医療を心掛けています。

 ジャガーに麻酔をかけて治療を行うことや、ライチョウなど、希少種の診察・治療を行うときには、より細心の注意を払う必要がある。もちろん、救えなかった命もあり、涙を流しながら安楽死の処置を行うことも。それでも「救える命を一つでも多く、が私の最終目標」と前を見つめます。

 獣医になって6年目を迎える春。今は「栃木県動物愛護指導センターから引き取った愛犬と過ごす時間が癒やし」と笑顔。「愛情をもって動物たちと触れ合ってほしい」

(問)那須どうぶつ王国☎0287・77・1110。

 

馬の魅力、多くの人へ

 

グランドポニークラブ 代表 福島由美さん(56) 足利 
 

 「馬たちをただぼんやり眺めたり、触るだけでもたくさん癒やされてきました。もっとたくさんの人に馬の魅力を知ってほしい」

 人材派遣会社を経営する傍ら、5年前に海外の馬を輸入し、繁殖育成を行う牧場を街なかに開設。きっかけは双子の娘が6歳の時、宮城県の乗馬クラブが開いた外乗りキャンプに参加することになり、子どもが乗る以上、親も経験しなければと馬に乗ったのが始まり。 

 馬の背中の上で味わう爽快感や馬との関係作りの面白さ。馬の育成にも興味が湧いてきました。

 その後、日本だけでなく世界各地で馬に乗るようになると、海外では子どもなら自分の体のサイズに合わせて小さい馬から乗ることができるのに対し、日本ではサラブレッドの再調教で乗馬を行うところが多いため、どうしても怖い思いをしてしまう人がいることが気になるように。

 同牧場にいるのは、北海道の道産子や海外のさまざまな種類の馬などで小さな体格の馬が中心。誰でも安心して馬に親しめることが目指すところ。障害者の雇用にも結びつけたいという思いも。

(問)グランドポニークラブ牧場☎080・3557・7123。http://grand-pony club.com

 

愛犬も飼い主も癒やす

 

ホテルフォレストヒルズ那須
 代表取締役社長・総支配人  森村晃一さん  那須・那須塩原 
 

 リゾート事業に従事して約30年。ホテルのオープンや再生に携わり、〝愛犬同伴でも宿泊できる〟だった同ホテルを、2014年に〝愛犬同伴専門〟にリニューアル。「愛犬同伴と同伴でないお客さまが一緒だとサービスが中途半端になってしまう」と目指したのは、「愛犬同伴専門でありながら飼い主も楽しめる宿」。

 その2年後に「下野の薬湯」の板室温泉に、愛犬の湯治をテーマにした和風テイストの別館「板室別邸」をオープン。リウマチに効能のある板室の温泉を使ったエクササイズや整体、姿勢チェックや歩き方矯正などの犬のリハビリプログラム「愛犬健康DAY」を開催しています(宿泊、日帰りどちらでも参加可能)。

 散歩が嫌いな犬は実は骨格異常のせいだったなど他に原因がある場合も。自然の中で専門トレーナーの指導の下、楽しく遊びながら体のゆがみを解消していくことで、愛犬のみならず飼い主もリフレッシュできます。

 さらに「那須ワンちゃんとお出かけマップ」を作成しているワンコネット協議会の会長も務め、那須塩原市と連携してペットツーリズムを推し進めています。

(問)ホテルフォレストヒルズ那須☎0287・78・0666。

 

ペットライフを快適に

 

ペットライフサポートRUFF・RUFF 朝香かをりさん  小山 
 

 ペットホテルやシッターサービスなど、ペットライフを快適にするお手伝いをしています。

 5年ほど前、次男の大学進学を機に、自分は何がしたいかと考えました。「大好きな動物の仕事がしたい」と気づき、会社を辞めてペットに関わる仕事をすると決めました。「家族は驚いたけど、応援してくれました」

 愛犬飼育管理士、ペットシッター士など幅広く勉強して資格を取得。自宅の一部をペット用に改装し、開業準備に約1年かけて「ペットライフサポートRUFF・RUFF」をスタート。インターネットや利用した人の紹介で徐々に依頼が増え、多くのペットや飼い主さんと出会いました。

 「お世話をしながら私が癒やされています」と笑顔。ペットの最期の場面に何か役に立ちたいと考え、昨年6月にペットの火葬車も始めました。「無理せずできる範囲で続けたい。ワンちゃん猫ちゃんと一緒にいてあげる時間を増やしたい」と話します。

 シッターは小山市内。大型犬の預かり、シッターは行っていません。火葬車は小山市と近郊。

 (問)ペットライフサポートRUFF・RUFF☎0285・32・6689。

 

保護し里親につなげる

 

保護猫活動団体 てんしんらんまんな☆ラッキー 
桑島英理佳さん (37) 宇都宮 
 

 「殺処分される命を一つでも多く救いたい」。猫の保護活動や啓発イベントを行う中で2015年、宇都宮市峰町に保護猫コミュニティーカフェをオープン。現在は、シェルターとして行政で殺処分される猫をレスキューし、これまで200匹以上を里親につないできました。  きっかけは、10年ほど前に荒川区社会教育課で働いている時、保護猫活動をしている人と出会ったこと。「動物の問題を中心に地域コミュニティーの問題を共有する場をつくりたい」と思いました。

 現在、福島市の桜の聖母生涯学習センター兼務職員の傍ら活動、9匹の保護猫たちと暮らします。初めて飼うことになり団体名の由来になった猫「ラッキー」もいます。

 「できること」はたくさんあると強調。「必要なくなったキャットフードを寄付する、動物アレルギーの方でも高齢犬猫のために人間用おむつにしっぽの穴をあける作業など、誰にでもできることを広めていきたい」と言います。「仲間と共に活動すれば大きなことを達成できる。だから仲間を大切にしたいですね」  

(問)桑島さんhttps://www.facebook.com/p.luckycafe/

 

やさしい除草を実践中

 

さのヤギ・プロジェクト 主宰 橋本良巳さん(63) 佐野 
 

 刈っても刈っても生い茂る雑草。機械や除草剤を使った対策が一般的ですが「ヤギならやっかいな雑草もエサとなり、草ぼうぼうの荒れ地もきれいにしてくれます。雑草対策にヤギを使ってみてはどうかと提案している。草退治に声が掛かるのをいつも待っています」 

  宇都宮大で畜産学を専攻。元農協職員で13年前、佐野観光農園アグリタウンに勤務当時、広い敷地の除草をヤギで試してみようと1匹のヤギを飼い始めたのがきっかけ。人懐こいヤギのかわいらしさに来場者も楽しんでくれるのではないかという思いも。その後、異動に伴い自宅にパドックを設けて飼育を始めました。現在は犬伏地区の80㌃の耕作放棄地での放牧も合わせて約14頭のヤギを育てています。声が掛かったヤギたちは県内の観光農園や太陽光施設で環境にやさしい除草を実践中。

 草退治は第一歩。ヤギはミルクや肉などの産物も生み出します。チーズやヨーグルト、せっけんなどミルクの加工やソーセージ作りなどに興味がある人など、多くの人たちと協力して魅力のあるものを作りたいという期待もあります。

 (問)橋本さん☎090・6022・6211。