大寒もすぎて寒さが厳しい時季、温かいお風呂にゆっくりつかると、寒さも吹き飛びます。毎月26日は東京ガスが制定したお風呂の日。また、2月6日は一般社団法人HOT JAPANが制定したお風呂の日です。一つのテーマに沿って、人物やグループを紹介する月イチ企画「Tochigi 人びと」。今回はお風呂や温泉に関係する人たちを紹介します。

 

 
 
 
伝統、技、思い… つなげる「湯もみ」
那須湯元温泉鹿の湯 湯もみ保存会  那須 


   県内で最初に発見され、今年で開湯1390年を迎える那須湯本温泉鹿の湯。那須湯もみ唄「ドッコイショ節」に合わせて木の板を左右に振りながら、まろやかな湯へと温度調節も兼ねる「湯もみ」が行われています。

 温泉街の女将さんたちによって昭和初期ごろから続けられてきた湯もみが人手不足により、継続が困難に。そこで7年前に「歴史ある素晴らしい温泉の伝統を残していきたい」と、鹿の湯を含め、那須町の歴史を知り尽くしている「那須高原湯本ガイドクラブ」のメンバーなど、有志が集まり「湯もみ保存会」を結成しました。

 

 「自分たち自身がまずは楽しむ」がモットー。〝本場〟草津の湯もみ会館で研修を受け、湯もみ唄のリズムにのせて息を合わせる練習を重ねてきました。結成当初から会長を務める斎藤留美子さんは、メンバーに向け、月に一度「湯もみ通信」を発行。全員の輪を保つ大切さを意識しています。

 湯もみのひとときは、歌声に合わせてお客さんの手拍子、掛け声と共に和気あいあい。メンバー全員の思いは、「使命感を持って大事な歴史を継続し、次世代に引き継いでいくこと」。湯もみは毎年5月から11月までの最終水曜日に開催。体験も可能(体験希望は1週間前までに要確認)。

 (問)同温泉☎0287・76・3098。

 

 
 
銭湯なくしたくないから
「宝湯」経営 稲垣佐一さん(70)  宇都宮 
 

 宇都宮で唯一の銭湯「宝湯」を経営し、県公衆浴場業生活衛生同業組合の理事長を務めます。石川県出身。高校卒業後、宇都宮で叔父が経営する銭湯「平和湯」の仕事に興味を持ち、修業・経営の経験を積みました。

 1983(昭和58)年に宝湯を創業。元々は、県福祉事業団が運営する銭湯でしたが廃業に。そのころ銭湯を開業しようと場所を探していた稲垣さんにとって、ちょうどよいタイミングだ ったため、引き継ぎました。

 93(平成5)年に行ったリニューアルから27年経ったと思えないほどピカピカの浴室や脱衣所。「掃除に始まって掃除に終わる」。銭湯の仕事で一番大変なところと言います。4人の子を育てながら創業から妻の茂子さん(67)とずっと二人で営んできました。お客さんの「いいお風呂でした」という喜びの声を聞くとうれしくなると言います。

 銭湯といえば、大きなペンキ絵が名物。男湯は男体山、女湯は富士山が描かれ、自ら手作りした竹垣が男体山の風景を引き立てています。そしてもう一つ〝裸の付き合い〟もあります。「裸になれば社長も何もない。だから銭湯をなくしたくない。続く限り頑張っていきたい」と話します。  営業は午後1時〜同11時半。毎月10日のみ休。

 (問)同銭湯☎028・624・8049。

 

 
 
どこでも楽しめる温泉、届けます
温泉屋代表  八木橋博さん(72)  佐野 
 

 「温泉屋」は安全、安心の天然温泉をタンクローリーで必要な場所へ配達します。源泉は那須塩原上大貫温泉など6カ所から仕入れます。老人福祉センターや介護施設などに届けています。

 25年前、家業の縫製業がこのままでは立ち行かなくなると感じ、転業を考えたときに温泉の配達業を思いつきました。温泉配送について調べ、同時に温泉の余湯を探すなど準備を進め、設備を整えるのに約2年。「いろいろな土地に出掛けるのは楽しかった。その先で良い出会いに恵まれたおかげで、順調にスタートできた」と振り返ります。

 中古のタンクローリー1台から始まり、個人宅への配達(現在は行っていません)をしながら法人や施設へ営業し配達先を増やしました。現在はタンクローリー7台で佐野市や埼玉県の施設など約30カ所へ源泉を届けています。約15年前からは足湯セットのレンタルも始め、イベントなどで提供し好評です。

 「温泉地に行けない人にも温泉を楽しんでほしい。利用者さんに喜んでもらえることがやりがい。自分も温泉や温泉地の名物を楽しんでいます」と笑顔。「今後は、都内のホテルなどへの販路を広げたい」と意欲的です。

 (問)温泉屋☎0283・23・1212。

 

 
 
木のぬくもり、香りで癒やしを
星野工業代表取締役 星野詠一さん(46)  鹿沼 
 

 1945年に桶(おけ)屋として創業。「木工のまち鹿沼」(鹿沼市玉田町)にある県産木材を使った木製品総合メーカーの三代目社長。

 森が元気でいられるために伐採した、県産のヒノキやスギの間伐材で作る木製風呂用品のアイテムは、100種類以上にもなります。湯の中に入れてヒノキの香りを楽しむ「湯玉」や、湯桶、風呂椅子、スノコ、せっけん置き、風呂のふた、脱衣カゴなど、風呂用品のほとんどを扱っています。

 「もともと日本は木の文化の国。だから日本人は、木製品のぬくもりになじみがあります。特に栃木県は県土の55%を森林が占める、優秀な木材の産地です。県産の木でできた風呂用品を使うと、香りも良く心も癒やされます」

 木は熱伝導が低いので、夏はひんやりと、冬は温かなぬくもりがあるといいます。また、木の良い香りが風呂場に広がり、それだけでもバスタイムが楽しみになります。

 海外にも輸出しており、湯桶をワインクーラーとして使用するなど、違った使い方で人気があります。JR東日本のヒノキ風呂付き特別寝台特急列車「四季島」でも使われています。  営業は午前8時〜午後5時。土・日曜、祝日休。

 (問)星野工業☎0289・65・5131。