年末年始に家族が集まったり、または、故郷に帰省したり旅行したりなど、にぎやかな日々を過ごした方も多いかと思います。正月料理の後は、栃木県の郷土料理はいかがでしょうか。今回は、郷土料理の総菜やお弁当などを製造販売しているお店「Cooking&Glow」の代表取締役金原恵美さんに「栃木県の郷土料理レシピ」を教えていただきました。

 
金原恵美さん COOKING&GLOW
 

 金原さんはキッズ料理研究家で、食育指導士。「子どもの笑顔はおうちのキッチンから」をモットーに、料理教室を開催しています。企業や行政主催の食育セミナーなどでも活躍。そうした活動の中、「しもつかれ」の販売を開始したことをきっかけに、栃木県の伝統食を見直すことで食育につなげようと郷土料理を見直す活動も行っています。
宇都宮市中島町613
☎028・612・8650
   午前10時~適時(都合による)
㊡不定 Ⓟ5台

 

金原さんの話

 食材は、自然からの贈り物です。山の神、川の神に感謝し、豊かな自然を味わうことで、心も体も豊かになれます。

 栃木県はおいしいものがたくさん。地元食材を上手に活用し、風土にあった食べ物として作られ、食べられてきた郷土料理を楽しみましょう。

 

 
 
しもつかれ
破魔招福祈り込め
 

 
 
しもつかれの由来

 初午(はつうま)に作る、県の代表的な郷土料理。わらを束ねて作った「わらづと」に赤飯としもつかれを入れて稲荷神社に供えて家内安全を祈願します。大豆は豆まきのものを、塩サケは正月の残りを巧みに使った料理です。

 

 

❶サケの頭(小1個、約200㌘)は縦半分に切り、水400㍉㍑とリンゴ酢大さじ2を入れて30分圧力鍋で煮る。

❷大豆80㌘をフライパンでいる。

❸ダイコン2㌔とニンジン300㌘を鬼おろしでおろす。

 
①ダイコンをある程度おろしたところに大豆を加えておくと早く柔らかくなる。
②ニンジンは固いので、鬼おろしでおろせない部分はフードプロセッサーや包丁で刻むなどして全部使う。

 

❹サケの頭3/4ぐらいと、ダイコン、大豆を1時間煮込む。

 
サケの塩分により味が変わるので、調整用に1/4ぐらい残し、味を見て加えていく。

 

❺味をみて、塩分が足りないようならサケを追加する。

❻細切りにした油揚げ2枚とおろしたニンジンを④に加えて30分煮込む。

❼酒粕を最後に入れてかき回し、出来上がり。

 

栃木の郷土料理

*分量は全て4人分

 

 
いも串
正月や儀礼で食す
 

 
いも串の由来
 昔、栃木では米、麦についで第三の主食として貴重な食品だったといわれていたサトイモ。いも串は儀礼や行事に合わせて作られていました。今でも県北では正月料理として食べられています。

 

 

❶サトイモ400㌘の皮をむき、一口大の大きさにそろえる。

❷蒸し器にクッキングペーパーを敷き、サトイモを入れ串が通るまで蒸す。

❸ざるに広げ冷まし、串に3~4個のイモを刺す。

 

❹オーブン、魚焼きロースターなどで両面に焦げ目をつける。

❺みそだれを作る。鍋にみそ100㌘、砂糖100㌘、みりん60㌘を入れ火にかけ、とろみが出るまでかき混ぜながら煮詰め、仕上げにユズのの皮をすりおろして加える。

 
みそだれの加熱中は、かき混ぜ続けないと焦げてしまうので注意。

 

 

❻焼けたいも串にみそだれを付けて、もう一度軽く焼いたら出来上がり。

 
 

 
ゆず巻き
干しダイコンでも
 

 
ゆず巻きの由来
 正月料理や秋の祭りの膳に欠かせない一品。ダイコンは、地域によりよく干したものを使ったり、生のまま使ったりします。

 

 

❶ダイコン500㌘を薄く輪切りにして塩をふり、水分を出す。

❷ユズ大1個の表面の皮をむき、大きめの千切りにして4~5本をしんなりしたダイコンで巻き、つまようじで3個ずつ刺す。

❸トウガラシ2本は小口から輪切りにする。

 

❹酢、砂糖各大さじ5、③のトウガラシを合わせておく。

❺②をふた付きの容器に並べて④を振り掛け、2~3日おく。

 
 

 
かんぴょうのたまり漬け風
県特産品の常備菜
 

 
かんぴょうのたまり漬けの由来
 たまりはみそもろみの中から澄んだ液を取り出したもので、県特産品。同じく県特産のかんぴょうと合わせた郷土料理です。

 

❶かんぴょう20㌘(戻して約120㌘)は洗って塩もみをし、10~15分水に浸し戻す。

❷戻したかんぴょうに熱湯をかけ、冷水で冷まし、よく水気を絞り、3㌢ぐらいに切る。

❸しょうゆ大さじ4、砂糖大さじ2、酒10㍉㍑、みりん大さじ1を合わせてひと煮立ちさせて、冷ます。

❹赤トウガラシ1本の種を取り、薄い輪切りにし、③に加える。

❺②のかんぴょうを③の漬け液に漬け、一晩置く。

 

 
 
新・栃木の郷土料理

 

 

 伝統的な郷土料理だけでなく、新たな栃木県の名物料理を創造しようという活動があります。2月から中禅寺金谷ホテルのフルコースメニューに登場する、県内で生息しているアメリカザリガニを使った「ザリガニスープ」です。

中禅寺金谷ホテルのザリガニスープ㊧、当時使われた二ホンザリガニは体長約4~5㌢

 

大正天皇即位礼の祝宴料理を再現

 
 
ザリガニスープ
座学協同で研究や開発も

 

 このザリガニスープは、小説やテレビドラマにもなった「天皇の料理番」秋山徳蔵さんが、京都で行われた大正天皇即位礼饗宴(きょうえん)の儀で供したメニューを再現したもの。

 当時は、北海道産のニホンザリガニを使用。京都に運ぶ前に日光田母沢御用邸に持ち込んだという記録があり、近くの大谷川にその子孫が生息していることが判明。ニホンザリガニの研究をしている那須文化研究会の堀彰一郎さん(51)が、「祝宴料理の再現をしたい」と同ホテルの増子陽(あきら)料理長に相談したのがきっかけ。しかし、ニホンザリガニは絶滅危惧種のため調理することができません。そこで茂木町漁協の協力で県内生息のアメリカザリガニを使うことに。泥の多いアメリカザリガニの泥抜きや加熱処理を馬頭高水産科の生徒が担当し同ホテルで高根沢産のジャガイモやタマネギなどと一緒に現代に合わせたオリジナルレシピで調理するという、まさに栃木県の地場食材を使った郷土料理として再現されています。

 中禅寺金谷ホテルに続き、オトワレストランやレストランチヒロなどでヤシオマスとのコラボメニューなどのザリガニ料理メニュー開発を進めていく予定。また、帝京大理工学部バイオサイエンス学科ではアメリカザリガニの泥抜きの研究を、宇都宮短大食物栄養学科で栄養的な部分の研究を進める予定です。

 (問)中禅寺金谷ホテル☎0288・54・0007。