9月1日は防災の日です。阪神淡路大震災をはじめ東日本大震災などの大地震、各地で発生する豪雨災害など、いつ県内で自然災害が発生しても不思議ではありません。2015年の関東・東北豪雨は記憶に新しいところです。月イチ企画「Tochigi 人びと」、今回はそうした災害に備えて、県内で防災に力を尽くしている人たちを取り上げました。

災害時、命を守る一枚にも

 
風呂敷コーディネーター
佐藤 みゆきさん =那須

 

 

 風呂敷も災害時に役立つアイテムになると感じたのは、震災で訪れた避難所で目にした段ボールでの仕切り。「布で仕切りをしたら、風通しも良くなった」と被災された方からの声がきっかけでした。

 風呂敷コーディネーターの佐藤みゆきさんが、公民館や那須町のカフェで開く「風呂敷講座」では、布の大きさ、結び方の位置により、目隠しカーテン、授乳用ケープ、腰に巻きつけるポーチ、避難用バッグから羽織れる着衣としてまでなど、防災グッズに早変わり。一枚の風呂敷でできる方法を楽しみながら、実践も交えて、その活用の仕方を伝えています。

 風呂敷の役目は物を包んでしっかり持ち運びができる、その重さに耐えうる布であること。そのためには「結び方=真結び」が非常に重要と話します。

 簡易的なもので身を守れる災害用としてはもちろん、日常使いとしても重宝する風呂敷。「一枚の布が命を守るアイテムになるかもしれない。一つの結び方を覚えたら、暮らしの中で使い、慣れ親しんで、楽しんでもらうことがまずは大切」と話します。

 先人の知恵が詰まった風呂敷は世界に誇れる和文化の道具の一つ。「普段のバッグ、防災バッグ、車の中などに入れ、もっと身近な存在になればうれしい」

(問)メールmie.furoshikiwork@gmail.com

 

自助と互助、学んで実践を

 
栃木県防災士会理事長
稲葉 茂さん (67)=那須塩原

 

 

 1995年の阪神淡路大震災での自力脱出者(自助)と近隣住民による救助者(互助)の合計数は、公的機関により救助された人の3倍にも上りました。このことが日本における防災士の誕生のきっかけになったといわれています。

 当時、県の土木課に勤務していた稲葉茂理事長は、職場の先輩の勧めで防災士の資格をとり、その後県防災士会を設立しました。災害に遭ったときには、まず自分の命を確保することが第一で、人を助けるのは自分の身の安全を確保してからと強調。「自分の命を守るためには、災害に遭ったときに何をしたらいいかを知っておく必要がある。各自が防災を知り、どのように動けばいいか学んでおけば被害を最小限に抑えられる」と言います。

 例えば、家具を固定する、家の耐震強度を確認する。冠水した道路に入ってしまった場合は、マフラーに水が入らないようにアイドリングストップ機能をオフにするなど、知っているのと知らないのでは大違いと説明。

 「内閣府のホームページで『わが家の耐震診断』ができるので試してみるといい。普段から地震や災害が起きたらどうするのか、家庭内で話しておくことが大切」と呼び掛けます。

(問)栃木県防災士会☎0287・72・0114。

 

女性視点の防災活動を推進

 
とちぎ男女共同参画センター啓発支援課主査・防災士
芳村 佳子さん (45)=宇都宮

 

 

 とちぎ男女共同参画センターは、芳村佳子さんを中心に、「わたし・わが家・わがまちの防災ハンドブック」を作成しました。災害が起きたときに避難する避難所。今までこの避難所運営の責任者には女性が少なく、女性の意見が言いづらい状況で、治安の悪化による弱者への暴力など、問題が数々起こりました。災害・復旧・復興期には、男女が協力して取り組むことが大切。住みやすい避難所づくりや防災対策について分かりやすくまとめています。

 さらに、実際に避難所をつくる体験(9月12日午後1時半・パルティ、同17日午前10時・西那須野公民館)や、防災ママカフェ(11月16日午前10時・パルティ)など、防災や避難を身近に体験できたり考えたりできる場を提供し、自治体やPTA、女性団体など、女性の責任者を育成しています。

 家庭でも、防災についての話し合いや避難マップを作ることも大切と話し、「子どもたちと電気やガス、水道を使わずに過ごす、寝袋で寝てみるなどの防災ごっこを楽しみながら体験するなど普段から防災を意識して生活できるといいですね」と芳村さん。家族や子ども会などで防災館に行ってみてはと勧めます。

(問)とちぎ男女共同参画センターパルティ☎028・665・7706。

 

「パンの缶詰」で被災地支援

 
パン・アキモト 代表取締役
秋元 義彦さん (66)=那須塩原

 

 

 災害備蓄品として知られる「パンの缶詰」。各地で災害が発生するといち早く無償で現地へ届けてきました。国内のみならず、世界でこれまでに約50万個以上が提供されています。

 柔らかで長期保存が可能なパンを作ろうとコツコツと作り続け完成した「パンの缶詰」。26年前に阪神淡路大震災の被災者の方々にパンを送ったときの「焼き立てのパンが食べたい」という声から生まれました。

 国内で起こる災害にはいち早い支援を行うだけでなく、防災士の資格を持つスタッフを含め、緊急時にはすぐに対応できるように、社内全体で防災意識も高めています。

 学校や企業でも災害に備えた備蓄品として、広く普及が進む一方で、消費期限による食品ロスの課題には「球缶鳥プロジェクト」を立ち上げ、飢餓や貧困に苦しむ国に救援物資として届ける活動も行っています。

 私たちが住む地球も生き物。日本でいえば四季折々の美しさ、恵みがあると同時に台風や地震などの自然災害のリスクもある。なにより、私たちはこの地球上に生かされていることを忘れてはいけないと強調。「災害は起こることを前提に何が必要か、備えておくべきは何か、過去の事例から賢く学ぶことを意識し、日ごろから自然と仲良く、『減災』を心掛けることが大切」と話します。  

(問)同社☎0287・65・3351。