身近なのに知らなかった「ひと」「もの」「こと」。そんな再発見や新発見を求め月1回、アスポリポーターが独自の視点と興味を持って県内を巡ります。(第14回目)





寒い時季、なおさら恋しくなる私の三大大好物が「温泉」「日本酒」「あったかくておいしいもの」です。そうとなったら、今回のプチ旅の目的地は、日帰り温泉が楽しめる場所! そこで、日本三大美肌の湯として知られるさくら市の「喜連川温泉」へ。
「体のしんからあったまって、つるつるの美肌に!?」と、期待と妄想が先行する気持ちを抑え、温泉を満喫する前に喜連川のまちなかを歩きます。取材で訪れてはいるけれど、何度見ても味わいがあるレトロな建築や風景がそこに溶け込むようにあります。
喜連川をのんびり散策とドライブ。すると、以前聞いていた「小さな大大名」のこと、時代を超えて今も姿を残すもの、それを大切に生かしながら喜連川の魅力アップのために活動を続けている人たちのことが分かってきました。歴史あり、風情あり、食いしん坊のおなかを満たしてくれるものあり。早春の城下町が教えてくれました。
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和い話い広場
■さくら市喜連川4355
■028・666・8370
■午前9時~午後5時
■月曜休
■P18台
「大手門」があるさくら市役所喜連川支所に車を止め、まちなかへ。商店街を南へ歩き始めると間もなく、西洋風のモダンな建物が。喜連川の観光情報の発信と交流の拠点、和い話い広場(map1)です。1913(大正2)年建築の旧喜連川興業銀行で魅力的な特産物の販売や作品展、プチ・カフェも営業。「イロハ文字」のダイヤルの大金庫も必見です。
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そこからすぐ、喜連川足利家歴代藩主の墓所がある龍光寺(map2)があります。初代国朝、2代頼氏の父である足利頼純の法名「龍光院殿」が寺の名前に。60基ほどの石塔などが並ぶ墓所を見学。静寂の中で貴重な歴史の一端に触れたようでした。
龍光寺
■さくら市喜連川4317
■028・686・7017
■見学自由
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和菓子処 紙屋
■さくら市喜連川4379
■028・686・2008
■午前8時~午後6時
■月曜休
■P2台

城下町の風情を感じる御用堀を散策。膨らみ始めた梅のつぼみに春の訪れを感じます。雰囲気のある喜連川神社の前を通り、今度は喜連川支所からメインストリートを北へ。城下町のイメージにぴったりな和菓子処 紙屋(map3)には、おいしそうな和菓子がずらり。大正天皇に献上した打ち菓子「樺山錦」や自家製あんが光る手作りの味の数々。現在、5代目の佐藤亮太さん(27)も腕を振るいます。
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map4
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おなかもすき、ここからはドライブ。以前から気になっていたフィオーレ喜連川にあるNO NAME CAF`E(map4)を目指します。おしゃれな雰囲気もそのはず。オーナーの酒井理さん(39)、さつきさん(39)夫妻は、建築家とデザイナーというカップル。日替わりで2種類あるランチ(ドリンク、デザート付き1000円)から「ポークのオニオンジンジャーソースワンプレート」をオーダー。コーヒーとデザートをいただきながら酒井さん夫妻と談笑。心地よい時間につい長居してしまいました。
NO NAME CAFÉ
■さくら市フィオーレ喜連川5の2の1の106(フィオーレガーデン内)
■028・612・8132
■午前11時半~午後5時
■月・火曜休
■P7台
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いよいよ、心待ちにしていた喜連川早乙女温泉(map5)へ。硫黄の香りとやわらかな透明泉。「あ~、この時この瞬間」。まさに至福のひととき!! ゆっくり、じんわりとお湯が全身にしみてきます。
泉温74度の含硫黄—ナトリウム・カルシウム—塩化物泉(硫黄泉)は、かけ流しで毎朝新湯を入れます。「とにかくお湯がいい」と支配人の手塚実さん(49)。83、90… とても年齢には見えない美魔女たちと出会い、「私もまだ」と勘違いしてしまいそうな名湯に体も心もホット!(K)
喜連川早乙女温泉
■さくら市早乙女2114
■028・686・4126
■午前10時~午後9時(入場は午後8時まで)
■中学生以上1050円(午後5時以降650円)、小学生500円(同250円)
■木曜休(祝日の場合は営業)
■P80台
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とちじゅう交流館
明治5年、栃木県で10番目に開設された旧喜連川郵便局
街の駅本陣 カフェ・レストラン蔵ヶ﨑
明治15年以降に建てられた旧喜連川警察署
笹屋別邸
大正10年ごろの和洋折衷建築
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防水と農業用水のたまに造られた御用堀
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「小さな大大名」の誕生は江戸時代。領地が1万石以上あると大名、10万石以上あると大大名と呼ばれますが、喜連川藩は5千石。それでも、
一、参勤交代はなし
一、正室は喜連川に
一、正室は御三家と同じ朱傘を使用
など、特例が多数あり、徳川将軍家と同じ源氏の流れをくむ家だったことから、こうした特別待遇を受けていたそうですよ。