鍋奉行でござる
まだ間に合う 基本と応用 鍋講座
7日は、「立冬」でした。これから寒くなりますが、そんな時に恋しくなるのが、あったかい「鍋」。体が温まるのはもちろん、消化吸収も良く、汁に溶け出した食材の栄養素もしっかり取れる万能料理です。そんな「鍋の基本」をしっかりと押さえましょう! 基本とこの時季おすすめの鍋レシピ3品を、宇都宮市の料理研究家・臼居芳美さんに教えていただきました。
和風だしの取り方
薄目の味を基本に
1リットルの水に対し昆布、かつお節共に10gが目安。昆布だしは水のうちから入れておき、弱火で10分ほど煮立て、沸騰する直前に取り出す。かつおだしは水が沸騰してから入れ、弱火で2、3分煮出して取り出す。
※お好みで昆布とかつおの合わせだしにしてもよい。食材からもだしやうま味が出るので、だし汁自体は薄味で大丈夫。洋風だしの場合、市販の固形スープの素がお勧め。
具材を入れる順番
順を知れば納得!
- 魚や鶏肉など、だしが出るもの。
※あらかじめ湯通ししておくと、うま味が閉じ込められる。 - ゴボウ、サトイモ、ニンジンなど根菜類や硬い野菜。
- シイタケ、ネギ、ハクサイの葉先など火の通りやすい野菜。
- 豆腐など煮崩れしやすいもの。
- 牛肉など硬くなりやすいもの。
※シュンギク、シラタキは肉を硬くしてしまうので、肉から離して入れる。
火加減について
一定の温度が大切
- 魚具材を入れ火が沸騰したら、うま味が逃げないよう中火にする。
- 新たに具材を加えた時は、鍋の温度が下がるので火の調節をし、再び沸騰したら中火~弱火にして温度を一定に保つようにする。
アクの取り方
まめに取らず一気
- アクがたくさん出るのは、一度鍋つゆを沸騰させ具材を入れ、再び沸騰したとき。そこで出てきたアクを手前から押し出すようにすくう。
- アクをまめに取りすぎるとうま味もなくなってしまうため、一気に取るようにする。
お勧めレシピ
材料は全て4人分

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サバのみぞれ鍋 |
- 3枚おろしにしたサバ2枚を、血合い骨を抜き2㌢のそぎ切りにし、しょうゆ大さじ2、酒大さじ1をまぶして10分ほど置く。
- 大根1/2本をすりおろし、水菜1袋は食べやすい大きさに切る。
- ペーパータオルで1.のサバの汁気を取り、小麦粉適量をまぶしたら160~170度の油で香ばしく揚げる。角餅4個も半分に切り揚げる。
- 鍋に和風だし1リットル、みりん大さじ2、砂糖大さじ2、しょうゆ大さじ4を入れ煮立てて、3.のサバを加えふたをしたら、中火で2分ほど煮る。
- 4.に大根おろしと水菜、3.の角餅を入れ温め、器に取り分けおろしショウガ適量を載せる。
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豆腐のきのこあん |
- 絹ごし豆腐2丁を4等分に、えのきだけ1パック、なめこ2パック(好みのきのこでOK)は汚れを取り、それぞれ食べやすい大きさに切っておく。
- 鍋に和風だし2カップ、塩小さじ1、みりん大さじ1、しょうゆ大さじ2を入れ味を整えたら、きのこ類を入れてひと煮立ちさせる。
- 2.に豆腐を加え約10分間弱火で煮る。
- 火を止めて三つ葉を散らし、器に盛ってユズとワサビを添える。
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洋風鍋(ブイヤベース) |
- 有頭エビ4尾の殻の隙間から楊枝で背ワタを取る。殻付きアサリ200gはかぶる程度の薄い塩水につけ砂出しをし、水洗いする。ヤリイカ1匹は内臓を取り除き、流水でよく洗い2cm幅の輪切りにする。タラ切り身2切れはひと口大に切る。
※冷凍シーフードでもよい。 - ニンニク1片、にんじん1/2本、タマネギ1個、筋を取ったセロリ1/2をすべてみじん切りにする。
- 鍋にオリーブオイル大さじ1とニンニクを入れ香りが出るまで炒めたら、2.を入れタマネギが色づくまでさらに炒める。
- 3.にアサリ以外の1.、トマト缶(カット)1缶を入れ、煮立ってきたらアクを取り、塩・こしょうを適量して弱火で15分煮る。
- 4.にアサリを加え、ふたをしたらさらに5分ほど煮て、アサリが開いたら刻んだパセリをちらす。
臼井芳美さん
料理研究家。
栃木市生まれ。
女子美術大学卒。
NHK「きょうの料理」のアシスタントを5年間務めたのち、宇都宮市の自宅で料理教室を主宰。良い食材を伝える会会員。