身近なのに知らなかった「ひと」「もの」「こと」。そんな再発見や新発見を求め月1回、アスポリポーターが独自の視点と興味を持って県内を巡ります。(第5回目)

初夏のすがすがしい空の下で開催された「大日向マルシェ」を訪れました。木漏れ日が心地良い那須街道をドライブ。田代交差点を山梨子方面へ3分ほど進み、ナチュラルレストラン・アワーズダイニングを目指します。
会場は同レストラン前の庭。5~11月の毎月第2・4土曜日、午前9時~午後0時半に行われています。
始まりは2011年。発起人の小山博子さんが「少しだけ意識して周りを見回してみると、私が欲しいものが身近にあることに気付いた」ことがきっかけ。今では「環境に負荷をかけない暮らし」を目指す、農家さんや作り手さんが軒を連ね、野菜やパン、農産物の加工品、日用雑貨などを販売しています。
「暮らしのそばにいつもある、みんなの小さなマルシェへようこそ!」。
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車から出た瞬間、空気の鮮度の高さが伝わってきます。那須の豊かな自然を感じながら会場へ。
最初に向かったのは、環境学習プログラム「エコレンジャー」(今回の出店者リスト1)。子どもから大人まで一緒になって楽しめるワークショップです。那須野が原生きものネットワーク代表の飯沼靖博さん(41)が隊長となり、プログラムをナビゲート。この日のテーマは「池の生きもの調査」(参加費500円)。会場内に造成したビオトープ池で生きものを捕り、「体のつくり・くらし・すみか」を観察しました。
ヤゴが下あごを人の手のように使うのを見てびっくり。気付いたことや発見をみんなで共有しているうちに、だんだん「生きものの気持ち」に。
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家庭菜園をしようと思って(原藤芽衣さん・左)


マルシェの魅力の一つは、新鮮な上に珍しい野菜も買えること。最小限の資材と生物の多様性のある土づくりで、環境保全型農業に取り組む成澤菜園(今回の出店者リスト2)をのぞいてみました。
「この野菜は知らないんじゃないかな」。遊び心で「変わった野菜を出すようにしています」と生産者の成澤増雄さん(51)。生物の多様性のある土づくりができると、おのずといい野菜ができるそうです。
ちょうど端境期に当たり、野菜は少なめでしたが、この時季にしか味わえない山ウドと葉タマネギがありました。さらにハーブ類も。「ペパーミントを水に入れて1晩おくと、ミント水になりますよ」。販売担当のはるかさん(30)が、おいしい食べ方を丁寧に紹介してくれるので、どれを買っても大丈夫。他に、ホワイトチェリートマトやパセリの苗も。プロならではの視点で、育て方のポイントを教えてくれるから心強い。畑の見学や手伝いなどの体験もできるそうで、詳細を確認の上、足を運んでみては。
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風にたなびくエプロンに導かれて向かったのは、アイヌ語で「小さい森」を意味するポンニタイ(今回の出店者リスト3)。洋服も作っていますが、マルシェでは無漂白のネルとカーゼを組み合わせた布ナプキン(400円から)やベビー小物(1000円から)を販売しています。布ナプキンは「干すとハンカチみたいなんですよ」と作り手の野村良子さん(40)。使ってみて「手放せなくなった」と、洗う手間よりも、使用感の心地良さを優先するお客さんも増えているそうです。9月には洋服メーンの展示会があるとか。こちらも行ってみたくなりました。

天然酵母のパンにテンペに…買ってきたものを手に取ると、話や笑顔が浮かんできて、また訪れたくなりました。(N)

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買い物はマイバッグか
マルシェカゴで
(問)大日向マルシェ
ohinatamarche@gmail.com
- ❶那須野が原生きものネットワーク
〈生きものポストカード、環境学習プログラム「エコレンジャー」〉 - アジア学院〈豚肉、フェアトレードコーヒー、調味料など〉
- ちっちゃなおやまの農場〈5月の野菜、大豆加工品〉
- 金子君の野菜畑〈5月の野菜〉
- ❷成澤菜園〈5月の野菜、苗、ひまわり油〉
- ひまり菜園〈5月の野菜〉
- 樽のポタジェ〈5月の野菜〉
- 江連農園〈いちご〉
- 那須高原HERB's 〈ハーブミックス、ハーブティ〉
- ジャムおばさん〈手づくりジャム〉
- RAKUDA〈天然酵母パン〉
- GET WELL SOON〈天然酵母パン、焼き菓子〉
- Ours Dining〈スペシャルスイーツ、米コーヒー〉
- JARDIN BLANC 〈草花ブーケ、アレンジメント〉
- けむじん〈燻製加工品〉
- わんちゃんリフレ〈愛犬おやつ〉
- とちぎe-net〈真空管太陽熱温水〉
- cheerful heart〈手作りせっけん〉
- ❸Pon-nitay〈布ナプキン、布モノ、フェアトレード雑貨〉
- 月とカヌー
(特別出店)〈はからめ月のカレンダー、熊本震災募金〉

この日は出店していませんでしたが、ルバーブの島田農園(福島・西郷村)も注目の気になるお店。
地元の牧師さんが分けてくれた一株のルバーブを、40年の月日をかけて増やし続けて、今ではルバーブ農園に。「毎日食べないと気がすまない」と、赤いルバーブへの思いが尽きない島田弘美さん(52)=写真。「ルバーブ本来のおいしさを伝えたい」からと、オリジナルジャムや焼き菓子の販売も始めました。7月から出店を予定しています。