
秋も真っ盛りですが、暦の上では8日の立冬をすぎて冬。温かいものが恋しい季節がすぐそこまで。そんな食べ物の定番の一つが「おでん」。最近はB級グルメブームも相まって、全国各地のご当地おでんが人気です。今回は、ブームの先駆けと言われる静岡おでんをはじめ、県外出身の方に自慢の郷土おでんを紹介していただきました。
長崎おでん
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海の産物すり身にして
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那珂川町で無農薬野菜を生産する「小砂綿部農園」の綿部隆太さん(39)は、長崎県の出身。「海が近く、地元の家庭では新鮮なアジやイワシ、タチウオのすり身を板に載せて蒸し、かんぼこ(かまぼこ)を作ります」と話します。
また、そのすり身でゆで卵を包んで油で揚げたものを「竜の眼」を意味する「りゅうがん」、すり身にゴボウやニンジン、インゲン、ネギなどの野菜を加えて揚げたかんぼこもあります。こんにゃくとゆで卵は必須です。
「だしは昆布と焼き煮干しでとりましたが、トビウオを焼いて天日干しした焼きあごでとれば最高。でも、高価なので一般家庭では使いません」
塩と薄口しょうゆで味付けするつゆは、薄い黄色だそうで、からしはもちろん、好みでゆずこしょうを付けて食べるのが長崎流です。
青森おでん
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ツブ貝の食感とともに
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佐野市相生町にある洋食店「AJISAI(あじさい)」のオーナーシェフの高橋淳子さんの故郷は青森県。おでんに欠かせない具といえばツブ貝で「青森のものは特に大粒で食べごたえも十分。コリコリした食感も楽します」
地元のスーパーでは、数個にまとめられて串に刺したツブ貝が冷凍で販売されていて気軽に購入できるそうです。
おでんの煮汁は酒としょうゆ、塩で味付け。ツブ貝は、ようじやフォークで身を刺してゆっくり殻を回しながら引っ張ると肝まできれいに取って食べることができます。
「子供の頃は、空いた殻におでんの汁を入れて飲んでいました」と、笑顔で思い出を振り返ります。
静岡おでん
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深い味わい“黒い”煮汁
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黒はんぺんと牛すじや豚モツが入り、黒いつゆが特徴の静岡おでん。常連客から「お母さん」と親しまれる静岡市出身の渡辺祐子さん(62)が作る本場のおでんです。オープンして4年半になり、すっかりファンも定着しました。
「静岡から取り寄せている黒はんぺんは、イワシ、サバ、タチウオ、アジの4種類が入っていて、骨も内臓も抜いてあるので滑らか」と渡辺さん。
黒いつゆのだしは、牛すじで取ったもの。そこに牛すじを入れて4、5時間かけて煮込むこと、さらに継ぎ足ししていることで真っ黒になっていきます。
食べる際に「だし粉」と呼ばれるイワシの煮干しの粉と青のりを混ぜたものをつけて食べるのが静岡流です。冬場は15種類が楽しめるというおでん種の中で、牛すじ(200円)がお母さんのお薦めです。
しずおかおでん じゃんか
宇都宮市東宿郷2の9の3
090・5101・0930
午後6時半~午前2時、日曜休
練り物
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おでんの必需品
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種類豊富、手軽に
おでんに欠かせない練り物。40年近く親しまれている手作りのかまぼこ、さつま揚げの専門店です。
ショーケースには、ゴボウやレンコン、ニラなどの野菜やエビやイカ、チーズなどのさまざまな具材が練り込まれたさつま揚げが種類も豊富に並びます。人気のある「チーズ巻」や「野菜ボール」「京がんも」(各54円)。「特上はんぺん」(140円)やエビが丸ごと入った「海老巻」(216円)もお薦めです。
11種類の具材とおでんつゆが入った「煮込みおでん」(605円)は、鍋に移し替えて温めるだけで手軽におでんが味わえます。贈答向けやお取り寄せも可。
かまぼこの高橋
佐野市伊賀町62
0283・23・2204
午前9時~午前6時、日曜休