特集 県内出身作家 お薦めの一冊

2013/10/16
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秋の夜長—パソコン、スマートフォンを閉じて豊かに広がる本の世界で時間を過ごしてみてはいかがでしょう。作家の水樹涼子さん、方言作家の嶋均三さん、絵本画家の山中桃子さんに読書の楽しさ、心に残るとっておきの1冊を紹介していただきました。

嶋 均三さん
「タカのすとり」(千葉省三著)

尊敬する「千葉省三」先生には多くの著作がありそれぞれ味があり名作です。しかし、そのなかでも私は「タカのすとり」という作品が好きでこの短編を何度も読み返しました。
地元に密着した内容で大自然とともに生きる当時の素朴な生活と子供たちの健康的な姿がイキイキと描かれています。
また当時の時代背景が色濃く映され、モノが少ない時代に助け合いの心で明るく生活する子供たち、その心の動きを細かくとらえ喜怒哀楽が表現されています。
とくに子供たちの話し言葉に興味をもちました。それまで「本」というものは共通語で書かれたもの、と思っていた私にとって衝撃でした。かなりの影響を受けました。
年を経るにしたがい登場する少年たちの姿が、その場の情景がいっそう身近に蘇るのです。自分たちが自然のなかで経験したからでしょうか。
懐かしさと温もりが私の身体の中にほのぼのとした灯をともすのです。
この本によって私の一ページが開かれた思いです。

しま・きんぞう 1948年大田原市(旧黒羽町)生まれ。方言作家。栃木放送「ラジっちゃう?」火曜レギュラー。「だいすきなおづる婆っぱ」など著書多数。


水樹涼子さん
「137億年の物語」(クリストファー・ロイド著)

私の読書は、ひどい「遅読で乱読」です。ジャンルを問わず何でも読みますが、一冊にかかる時間が相当長いので、半世紀近い読書生活(?)の中でも読破した冊数自体は、そんなに多い方ではないかもしれません。
今読んでいるのはクリストファー・ロイドの『一三七億年の物語』という地球の歴史を描いた科学系の本です。「理系と文系が出会った初めての歴史書」と帯にもうたってあるように、科学的なことを非科学的に考えるのが大好きな私には、ぴったりな予感がして手にとったものです。ただし、総ページ数506、厚さ4㌢近い本書の最初の数㍉しか、まだ読み終えてはいません。一ページ一ページ、じっくり妄想しながら読むのが楽しいのです。
因みに今までの歴史物で感動したのは、高橋克彦の『火怨』と帚木蓬生の『日御子』などです。科学物ではカール・セーガンの『コスモス』や『コンタクト』、SF系ならレイ・ブラッドベリの作品等々…。
そんなふうに文系・理系関係なく知識と情報を融合させ、大きなスケールで世の中を見るきっかけにできたなら、私の読書は大成功! などと、まだ読み終えぬうちから期待ばかりがふくらむ秋の夜長は、私の大好きな季節です。

みずき・りょうこ 作家、日本ペンクラブ会員。創作講座講師、獨協医大非常勤講師。


山中桃子さん
『子どもへのまなざし』(佐々木正美著)
私は今現在、6歳と3歳になる二人の息子がいます。
今回ご紹介させていただくのは、児童精神科医の佐々木正美先生の書かれた『子どもへのまなざし』という本です。
子育て真っ最中の私にとって、心から出会えてよかった一冊です。内容もさることながら『ぐりとぐら』でお馴染みの山脇百合子さんのあたたかなイラストが、表紙や本文の所々に描かれていて、それだけでも和まされます。
この本との出会いは、息子の通う幼稚園の先生が、子育て中のお母様方に是非読んで欲しいと薦めて下さったのがきっかけでした。
子供がいる毎日の生活は、楽しく可愛らしいエピーソードに事欠かず、笑いも絶えないのですが、また同時に衝突やうまくいかないことも同じように沢山あります。
私は、子供とのことで何か壁にぶち当たると、実際には子供の取扱説明書などないのですが、何かヒントになるものや今の自分や子供を導いてくれる言葉を探して、救いを求めるように子育ての本を読み漁ります。この本を読んで、甘えさせること、甘やかすこと。叱ること、褒めること。しつけ…育児の思い込みや焦りの気持ちから解放されたのを覚えています。私は、この本を読み終わった後に、子供にもそして周りの人にも、少し優しくなれる気がしました。

やまなか・ももこ 1977年生まれ。故立松和平氏の長女。女子美術大学卒。イラストレーター、絵本画家。
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