
子どもが1人でも利用でき、地域の人たちが少額または無料で食事や学習の場を提供する「こども食堂」。親の就労のため独りで食事せざるをえない子どもなどを支援するのが目的。県内でも各地に増えつつある中、上三川町でいち早く活動を始めたMAKANAこども食堂の皆川紘子さんと菊地敦子さんに、取り組みへの思いなどをお聞きしました。
●子ども食堂を始めるきっかけは?
皆川 子どもが笑顔でいるためには、お母さんのゆとりも必要です。子どもの預りとか、居場所作り、学びの場など、放課後の時間を有意義に過ごせる空間作りをしたいと話していました。共働きだと食事作りも大変だから、迎えに来た時に食べられると帰ってからも楽ちんだよねって。目指すところは学童と食堂との一体化です。
菊地 いきなり預りだとハードルが高過ぎちゃう。そんな話をしている時に、「子ども食堂」について知りました。低料金でみんなでごはんが食べられるらしいと。この場所は元旅館でスペースもあり、何かできるようにと飲食の営業許可も先に取ってありました。ごはんに限らず作ることが好きだったので、やってみようと思いました。
●反応はいかがでしたか。
皆川 チラシやネットを見て知る方はどんどん増えています。ただ、「来たことがなかった」という声が多いのが現状です。ネーミングのイメージから、大人は入れないと勘違いしている方もいるようです。
菊地 オープン当初は友達だけとか誰も来ないこともありました。3カ月後くらいから、新聞記事を見た方やイベントで話した方などが来てくれたりして、口コミで広がってるのを感じています。
遊びにきた小学生のなーちゃん(左)とのんちゃん(右)と一緒にテーブルを囲む皆川さんと菊地さん

1978年生まれ。宇都宮出身。宇都宮大学大学院教育学研究科修了。参加型の場づくりを通した人材育成が専門。地域づくり活動に携わり、2013年コミュニケーションハウス上三川の家を設置。翌年コミュニティ・カフェ かみcafe オープン。
●MAKANAはハワイ語で「プレゼント」の意味なんですね。
菊地 子どもがご飯を食べられる状況を作っておけば、例えばお母さんは献立を考えて買い物に行って、作って食べさせて片付ける時間から解放されます。心にゆとりができれば「今日は学校で何があったの」とか、ゆっくり話もできるようになって、お母さんやお父さんにとってはそういった時間がプレゼントになるかなって。
皆川 子どもも笑顔になれたりとか、ここでの経験がプレゼントになるかなって。ご飯が作れるとか、お掃除ができるとか、コミュニケーション力など、1人でも生きていける力が身につくようにしています。まずはお母さん支援を通して子どもをサポートするのがメーンになっていますが、共働きの両親のサポートもしたい思いもあります。

1977年生まれ。宇都宮出身。ワーク・ライフ・バランスの視点で企業コンサルティング・講演・イベント運営・キャリアコンサルティングを行う。また、アドラー心理学をベースとした子育て講座、子育て支援活動・子どもの居場所づくりの活動も行う。
●毎週オープンしている「子ども食堂」は珍しいですね。
皆川 水曜・金曜の午後5時から同8時まで営業しています。子ども300円、大人500円、未就学児はお気持ちいただいています。食も体づくりの一つなので、料理に化学調味料や添加物は使いません。
菊地 10~20食を作っていて、アレルギー対応もしています。飲食店としてイベントにも出店しています。
●苦労していることは。
菊地 一つは資金面です。足りない分は持ち出しになってしまうので、そこをどうやって減らしていくかが課題です。
皆川 食堂を支えるために、継続性のあることを事業化して法人化するための準備を計画中です。
●3月からはイベントを開催しているそうですね。
皆川 奇数月に1回、フードバンクから協力をいただいて「MAKANAのコラボDAY」を開催しています。
菊地 一部の食事を無料で提供したり、ワンコインのワークショップを行ったりしています。
●読者へのメッセージを。
皆川 子どもからお年寄りまで、誰でもみんなで楽しく食べられます。
菊地 来て体験してみてください。ボランティアスタッフも募集しています。