
1973年。宇都宮市生まれ。県立石橋高校家政科卒業後、通信機器メーカーに就職。その後、派遣社員となる。2011年大型第二種免許取得。東京のバス会社で3年間勤務した後、2014年11月関東自動車バス入社。
地域の人たちや観光客の大切な交通手段として親しまれる路線バス。県内を中心に展開する関東自動車バスの簗瀬営業所には100人の運転士がおり、女性も6人在籍しています。9月27日は「女性ドライバーの日」。女性運転士の一人、三森順子さんに運転士になるきっかけややりがいなどをお聞きしました。
お客さまを目的地へ…●運転士になったきっかけは。
派遣社員として長い間いろいろな職場で働いてきましたが、40歳を目前にして独身だったこともあり正社員として安定した仕事に就きたいと思い始めました。車の運転が好きだったので、真っ先に思い浮かんだのが運転士の仕事。実は最初はタクシーの運転手になろうと思っていたんです。

●ではなぜ大型バスの運転士に。
タクシーの運転手になるには、第二種免許の所得が必要になります。教習所に行ってチラシを見たら、せっかく取るならバスの運転もできる大型第二種免許もいいなと気持ちが動きました。しばらく悩みましたが、教習所で乗り越し料金の掛からない安心パック付きのキャンペーンが始まって、これが決め手となって「取るしかない」と。
教習のはじめは脱輪ばかりしていましたが、しだいにコツがつかめるようになりました。やっと路上教習に出られるようになった時、関東バスとすれ違って「女の人が運転したらかっこいいだろうな。やっぱりバスに乗りたい」。そこで目標が固まりました。
●免許取得後、すぐに今の仕事についたのですか。
すぐに大型バスの運転士になる自信がなかったので、まずはマイクロバス(小型バス)の求人を探しました。県北にある観光施設の送迎バスの仕事が決まりましたが、研修が始まる日の前日に東日本大震災が起きてしまいました。施設の再開のめどが立たないということで、県内での就職は一旦あきらめて東京で仕事に就くことにしました。吉祥寺で3年、路線バスの運転士の経験を積み、その後、関東バスに入社しました。

出勤すると、まず点呼執行者に体調の申告をしてアルコールチェックを受け、免許証の確認を行います。バスの点検を行い報告、その日のスケジュールと目標を確認します。時計を正確に合わせることや車内で販売するバスカードなどの携帯品の確認も欠かせません。
毎日走る路線は異なりますが、だいたい平均100㎞以上を走行します。終了後は、乗務報告と次の日の仕事の確認をして、アルコールチェックを受けて退社します
勤務はシフト制で一番早い出勤時間は朝の5時10分、一番遅い退社は夜の11時です。退社時間から次の勤務まで8時間の休息時間が確保されています。これは法律で決められています。

運転が楽しい」と三森さん
やりがいを感じるのは、まだまだ女性運転士が珍しいようで、お客さまから「初めて見た」と驚かれたり、「気をつけて、がんばってね」と声を掛けていただいた時です。
つらいと感じるのは運行時間に余裕がない時。日光方面で渋滞すると大通りを抜けるだけで20分くらいかかってしまうことがあります。お客さまの急がれている様子も肌でひしひしと感じますが、そうした場面でも安全を第一に運転に集中しています
●読者へのメッセージをお願いします。
「独身のままでいいや」と覚悟を決めて、バスの運転士になりました。正社員の仕事を目指している人や運転が好きな人が私のことを見て「自分も目指してみようかな」と思ってもらえたらうれしいです。