
1965年、壬生町生まれ。東京写真専門学校卒業。都内で会社勤務。結婚を機に退職、新潟へ。夫の誠一さんの養蜂業転身を機に壬生へ移住。2013年3月から「島田養蜂園」を夫婦二人三脚で営んでいる。
8月3日はハチミツの日。県内では、約100軒の養蜂家(県養蜂組合登録)が蜂を育て、良質なハチミツ作りに取り組んでいます。壬生町の島田養蜂園の島田弘子さんは、夫の誠一さんとともに養蜂の現場に携わる数少ない女性です。二人三脚で養蜂業を営む島田さんご夫婦に養蜂のお仕事やハチミツについてお聞きしました。
●養蜂家になったきっかけは。
弘子さん 私の実家が養蜂家なので、子どものころから養蜂の仕事を間近に見ていましたが、自分がやるとは思っていませんでした。
もともと養蜂に興味があった主人が、ときどき父の仕事を手伝っているうちにやりがいを感じ、養蜂業に転身を決意。壬生に移住し、主人は約13年間父のもとで技術を学びました。2013(平成25)年に独立、「島田養蜂園」を始めるにあたり、私も養蜂の現場に入って主人を手伝うようになりました。

●養蜂のお仕事、1年の流れを教えて下さい。
誠一さん 当社は壬生、小山、下野の5カ所に蜂箱を設置して採蜜とポリネーション(花粉交配)の養蜂を行っています。県南は蜜源が豊富で養蜂に向いています。
花が豊富な4月後半から6月中旬が、採蜜のシーズン。サクラ、フジ、菜の花、アカシア、エゴノキ、クリなどの花の蜜を蜂が集めてきます。蜂箱の中の板にできた巣の中のハチミツの状態を見極めて蜜蓋を切り除いて遠心分離器にかけ、タンクにハチミツを集めます。網に通してゴミなどを取り除いたら一斗缶に移して保存します。
夏から冬はポリネーションの蜂を育て、イチゴ農家などにハチを貸し出します。2~3月には、採蜜用の蜂作りに切り替えて、ハチの状態、数をチェックし、足りない場合は買い足します。
●県内の養蜂家の現状は。
誠一さん 後継者不足が懸念されますが、協力し合って元気な蜂を育て、県産のおいしいハチミツを作っています。今年は6年ぶりに「県庁みつばちプロジェクト」が復活。4月~5月に県庁の屋上でミツバチの巣箱を設置してハチミツを採取しました。


●仕事のやりがいやご苦労は。
誠一さん 独立の際は、蜂箱を置く場所探しやハチ、道具の確保に苦労しました。幸い、長いお付き合いのあるイチゴ農家さんや養蜂組合の仲間に助けられて開業できました。本当に感謝しています。自然相手の仕事なので、ハチの状態やハチミツの出来は、毎年一様ではない…そこが難しくて、おもしろいところですね。
弘子さん 肉体労働なので大変ですが、採蜜のときには達成感があり「ハチってすごいな」と感動します。うちのハチミツを「おいしい」と手に取っていただけることは最高にうれしいです。
苦労というか危険なのは、ミツバチの天敵オオスズメバチの駆除。お盆前から10月は、ほぼ毎日駆除に行きます。命の危険を感じる作業ですね。


●ハチミツの魅力とは。
弘子さん 栄養豊富で、健康、美容にも効果が期待されています。同じ花でも採取した年によって味、色が異なるのも魅力。当社の「さとのはちみつ」は自然の恵みそのものの生ハチミツ。甘さが切れる(口の残らない)純粋なハチミツの味を楽しんでほしいです。
●今後の抱負を。
誠一さん 昨年、「六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画」の農業者として国の認定を受けることができました。「さとのはちみつ」は、みぶブランドにも認定されています。これからも、元気なハチを育て、自家採集にこだわり、丁寧に心を込めてハチミツを作り続けたいです。
弘子さん 昨年発売を始めた、旬の果物をハチミツに漬けた「さとの果実」などハチミツ加工品やミツロウを活かした商品の開発にも力を入れたいです。
■下都賀郡壬生町表町11の33
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