
1991年佐野市葛生生まれ。文星芸術大学卒業。2014年から現職。
近代の日本画や木彫の名品はじめアジア各国約2000点に及ぶコレクションを誇る佐野東石美術館。4月29日~6月29日まで市出身の陶芸家田村耕一の作品を紹介する企画展「人間国宝 田村耕一~美に捧げた生涯~」が開かれます。今回、初めて企画展を担当することになった同美術館学芸員の初山京生さんに仕事への思いややりがいについてお聞きしました。
●佐野東石美術館の学芸員として、どんな仕事をされているのでしょうか。
年間スケジュールに合わせて、作品の調査や保存、資料収集を中心に年4回開催している企画展とその準備を行っています。場所も佐野の街中ということで、より気軽に立ち寄って芸術に触れられるような環境づくりを大切にしています。また、近くの美術館と連携することで街の活性化に役立てたらと思っています。
●学芸員になろうと思ったきっかけは。どんな勉強をすれば学芸員になれるのでしょうか。
「将来自分が熱心に取り組んでいけると思えるものは何か」と、進路で悩むたびに美術に関わる仕事しか考えられませんでした。小さい頃から絵を描くことが好きで、小中学生の頃にはポスターなどで賞を頂くようになりました。高校まで明確な進路は定まらず好きな絵を描く日々でした。大学で日本画を専攻したことがきっかけで、貴重な美術品を取り扱ってみたいと思うようになり学芸員という仕事に興味を持ちました。在学中に資格習得のための専門的な実習を幅広い視点から学べたことも大きいです。一番は多くの美術館、博物館を精力的に回り、実際に見ることでより多くの知識を蓄えたことが今に生きていると思います。

●仕事のやりがいは。
通常、一定の距離からしか見ることのできない貴重な美術品をより近くで堪能できるのは学芸員の特権だと感じています。
美術品は念入りな調査を行い、多くの情報とともに大切に管理されます。こうした歴史ある美術品の現状を維持していくことにやりがいを感じています。
●初めて担当される企画展について。
今回私が担当するのは、佐野市が誇る人間国宝の田村耕一を特集した企画展になります。身近な作家を紹介することで、佐野の文化や教養の向上に少しでも貢献できればと考えています。
また、職員の中で一番若い私の視点で選んだ展示になります。若い世代の方にも来ていただいて何かを感じとってもらえたらうれしいですね。

●では、人間国宝・田村耕一の魅力とは。
田村さんは絵を描くことがお好きだったということもあり、形としてだけでなく作品を絵画のように見る楽しみ方もあるということをここで新たに知りました。絵がやわらかいので陶器という冷たいものなのに温かみがあるというか。美術館では一定の距離からしか見ることができないので目で見て分かるような温かさが少しでも伝わったらな、と思っています。
●今後の抱負を。
美術館へはるばる足を運んでくださる昔なじみのお客さまや地元の方を中心に、さまざまな縁によって当美術館は支えられています。私自身多くの人に支えられて学芸員という仕事を担っていることをとても誇りに思います。これからも少しでも多くの方に親しまれ、数多くの作品と身近に接することのできる場所でありたいと思います。
(問)佐野東石美術館
■佐野市本町2892
■TEL:0283・23・8111
■開館時間:午前10時~午後5時
■休館日:木曜
■駐車場:市営万町駐車場を利用(2時間無料)
■入館料:700円、ペアチケット1000円、高・中・小学生300円