Interview テキスタイルデザイナー 平岩順子さん

2015/12/2
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平岩順子さん
平岩順子(ひらいわ・じゅんこ)
1951年、足利市生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科テキスタイル専攻卒業後、都内のインテリア関連の会社に勤務。結婚後、夫の実家の群馬県桐生市で株式会社「耕工房」を設立し代表取締役。2013年、足利市伊勢町の実家にアトリエ「JUNKOテキスタイル」を構える。

 大正から昭和初期にかけておしゃれな普段着として人気を集めた着物「足利銘仙」を家業とする家に生まれたテキスタイルデザイナーの平岩順子さん。2年前に足利市伊勢町の実家にアトリエ「JUNKO テキスタイル」を構え、祖父の残した「銘仙帳」をもとにデザインしたバッグや布小物「足利銘仙クラシココレクション」の製作を始めました。コレクションを始めたきっかけや思いについてお聞きしました。

“用と美”大切に
布をデザイン

「足利銘仙クラシココレクション」について教えてください。
   足利銘仙の仕事に携わっていた祖父が残した大正14年の銘仙帳から色や柄、配色のデザインを取り入れ、ジャガード織のバッグや銘仙をアクセントに一部使用したブックカバーや巾着袋、伝統色で染めたショールなど、毎日の生活で気軽に使えるものにした布コレクションです。

 足利の土産品に布物があってもいいんじゃないかと思っていたので、商品名には「学校さまブックカバー」や「渡良瀬ショール」など、足利の観光名所や地名をつけています。足利に来てくれた人に布がきっかけとなって、まちの歴史や文化に関心を持ってもらえたら、そんな広がりも期待しています。

コレクションを始めたきっかけは。
  2年前に父の33回忌の法要の後で、母から父が残した遺品を託されました。祖父の代から伝わる銘仙帳や織物関連の仕事の資料、足利銘仙が全盛期の街の様子を写した写真などがありました。ここで生まれ育って、今でも職人さんたちと一緒に織物の仕事をしている私の原点がここにある。ここから何か発信しようと考えました。

なぜテキスタイルデザイナーに。
  祖父が工場を営み、足利銘仙の生産に携わっていました。そのため、生まれた時から布の真ん中で育ったというか、居間に並べられた蒸し上がったばかりの色とりどりの反物の真ん中で昼寝して、絵本代わりに銘仙帳を眺めてという環境だったので、自然にこの道に進んだという感じです。

テキスタイルデザイナーとしての仕事で大切にされていることは。
   機能性と美しさ「用と美」をコンセプトに、使う人が楽しくなるようなものづくりをしていきたい。大学では「人にとっての着心地の良さ」という、機能を考えてデザインすることを学びました。手織りを学ぶために50日間滞在したスウェーデンでは、デザインが人間の生活のために役立つことを実感。この二つの経験から受けたことを大切にしています。

大正14(1925)年に生産された銘仙の端切れが張られた銘仙帳大正14(1925)年に生産された銘仙の端切れが張られた銘仙帳

仕事の楽しさややりがいを感じるのは。
   私は作家ではなくデザイナーなので試作は作りますが、織りや染め、縫いなどの仕立てまで、すべて職人さんたちの分業で行っています。糸や布からオリジナルの製品が作れるのはこうした職人さんがいる繊維産地だからこそ。今は職人の仕事のほとんどは海外へ移っていますが、それでも残っているのは、好きで仕事を続けている人たちです。デザインを持っていくと、「ここから何センチぼかした方がいい」「濃い色をどの辺にもっていくか」などアドバイスをもらえるので、職人さんと一緒にものづくりをする楽しさを味わえることにやりがいを感じます。

今後の抱負は何でしょうか。
   現在2カ月に1回のペースで市内各所や東京を中心に個展を開催しています。来年2月には通5丁目の乾ギャラリーで、父が撮影した足利銘仙全盛期の街の様子が分かる写真展示と併せた個展の開催も企画しています。

 日本人は毎日を快適に楽しく過ごすために布の素材や色にさまざまな工夫を凝らしてきました。こうした日本の古くからの布の魅力を少しでも知ってもらいたい。作り手が直接訴えることによって相手に伝えていく。時間はかかるけど、結局はそれが一番早くて確実だと思っています。


(問)ホームページ
 http://www.junko-h.com
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