Interview 下野しぼり伝承者 諏訪ちひろさん

2015/7/1
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諏訪ちひろさん
諏訪ちひろ(すわ・ちひろ)
1959年、小山市生まれ。女子美大芸術学部芸術学科造形学専攻を卒業。幼少のころから、下野しぼりの技術保持者、市の無形文化財の父・重雄氏に技術を学ぶ。父の死去で、全国唯一の伝承者となる。96(平成8)年に市無形文化財技術保持者に認定される。日本紙人形会会長も務める。現在は、下野しぼり、下野人形の制作のほか、小山市の伝統文化の伝承、普及活動にも力を入れる。

  県の伝統工芸品の「下野しぼり」。和紙に独特の風合いを施す伝統の技法です。小山市の諏訪ちひろさん(55)は、その技法を守り、制作を続ける全国唯一の伝承者です。また、下野しぼり和紙で作る下野人形(ひとがた)に願いを託して流す「思川の流しびな」を主催しています。郷土の伝統技術を守り、行事の継承にも力を入れている諏訪さんに、下野しぼりの魅力や流しびなについて伺いました。

 和紙に醸す
  伝統の風合い

下野しぼりについて教えてください。
   和紙を加工する技法で、奈良時代の僧・弓削道鏡(ゆげのどうきょう)によって下野国(栃木県)に伝えられたと言われます。江戸時代には盛んにしぼり紙が作られ、紙衣や髢(かもじ)の材料として使われていましたが、時代とともに需要が減り、技術保持者も減りました。現在は、私が全国唯一の伝承者です。

 工程は、色、模様を付けた和紙を「型紙にはさむ」、「巻く」、「締める」、「しぼる」を数回繰り返します。一度に10~20枚の和紙をしぼります。仕上げまで1週間くらいかかります。

伝統技術を守る諏訪さん
伝統技術を守る諏訪さん

下野しぼり和紙と下野人形

下野しぼり和紙と下野人形

下野しぼりを受け継ぐきっかけは。
   現在の私があるのは、下野しぼりの技術保持者だった父(故重雄さん)、下野人形の家元の母(志津子さん)のおかげですが、この世界に進むきっかけは、千葉でタウン誌の記者をしていた20代のころ、同僚に「小山には下野人形という、すてきな人形があるね」と言われたことです。下野人形は下野しぼりの和紙で作る人形です。「『小山と言えば、下野人形』と思ってくれる人がいるなら、私が伝統を守ろう」と思いました。

下野しぼりの和紙の魅力はどんなところですか。
   手仕事によって生まれる独特な風合いが魅力。しぼり目が布のような手触りや、木や革のような質感を醸し出します。その特長を生かして母が作った下野人形は、かつての簡素なものとは異なり、紙でありながら多彩な表現ができる、と評価され工芸品として認められました。全国に愛好者が広まり、海外でも高い評価を得ています。

伝承者としてのご苦労は。
   下野しぼりは一子相伝の技術のため、父が65歳で急逝してからは、苦労しました。父の残したしぼり紙を手本に、より良い紙作りに試行錯誤しました。悩んだ時に、夢の中で父が助言をくれたこともありました。

 「男社会」と言われる伝統工芸の世界ですが、周囲の皆さんには好意的に受け入れていただき、助けられながら活動しています。

母・志津子さん(右)と、ひとつひとつ心を込めて作る流しびな
母・志津子さん(右)と、ひとつひとつ心を込めて作る流しびな

思川の流しびなについて教えてください。
   思川では、古くから人形に願いを託して流すと思いがかなうと言われ、「流しびな」の風習があったそうです。戦後、途絶えていたその行事を、57年前に父と母が復活させました。父のしぼった和紙で母が作った下野人形を二人でひっそり流していましたが、次第に参加者が増え、現在では、市観光協会の協力もあって、小山の夏の風物詩として知られるほどになりました。

今後の抱負や読者へのメッセージをお願いします。
   郷土に伝わる素晴らしい技術や文化を広く知ってもらい、次世代にも継承していきたいです。20年前から、市内の小学校で続けている、流しびな作りなど、子どもを対象にした伝統工芸教室などを通して、魅力を伝えていきたいです。


「下野人形」のイベント
思川の流しびな

 7月5日(日)午前10時、思川左岸・観晃橋下。小山児童合唱団による「下野人形の歌」のあと、浴衣姿の子どもや大人たちが、諏訪さん母娘と愛好者が作った下野人形の流しびなを思川に流す。1体1000円。浴衣で参加の先着50人に観光協会から流しびなをプレゼントします。

(問)小山市観光協会 電話番号 0285・30・4772

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