Interview 藤沼藤彩さん

2014/2/5
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女の子の健やかな成長を願って飾られるひな人形。人形の町として知られる佐野市にある藤沼人形本店の人形師、藤沼ともえさんは県内で唯一の女性節句人形工芸士として活躍しています。最盛期を迎えた工房で、人形師になったきっかけや人形作りについての思いなどをお聞きしました。

●節句人形工芸士になったきっかけを教えてください。
 家業が人形店なので、人形作りを見ながら育ちました。細かな作業が好きで、子どものころから仕事を手伝っていました。そのころからもう将来は人形師になりたいと思っていました。

●師との出会いや思い出のエピソードは。
短大卒業後すぐに人形の専門誌に掲載されていた小松康城先生の作品を見て、先生が開いていた人形教室を訪ねました。
先生は、衣装人形の人間国宝だった故平田郷陽氏の弟子で、次の人間国宝として注目されていた人でした。物腰が柔らかでとても優しい先生でした。弟子入りというより塾に通うような感覚に近かったと思います。
短大を卒業したばかりで若くて情熱もあったので、佐野から東京の湯島天神まで毎日通い、教室で学びながら、お茶入れから膠(にかわ)液作り、胡粉練りや顔料の色調合までなんでもお手伝いしました。
先生が亡くなる前に「お嬢さんどうか続けて」と、言っていたと先生の妹さんから伝えられたことが強く印象に残っています。

●人形作りについて教えてください。
 ひな人形の製作工程は手や頭(かしら)など、それぞれ分業で作られていますが、私はおもに胴柄(どうがら)作りと衣装デザイン、着付けなどを行っています。普通の雛人形は胴の部分を藁(わら)で束ねたものを使用しますが、うちの工房では木目込み人形でも使われる桐の粉を練ったものを型抜きして制作しています。
衣装はオーダーメードで製作しているので、お客さまが選んだ十二単(ひとえ)の着物の生地を一枚一枚仕立てていきます。この色合わせがとても難しいのですが、お客さまの好みにかなった重ね色目が完成した時はやはりとてもうれしいですね。
また、衣装はふっくらと優しく見えるように工夫しています。そのために一般的にはのりで仕上げる作業をすべて縫いで行っています。生地は手芸店や洋服店、骨董(こっとう)店などいろいろな店を回って探し求めます。

●どんな時に楽しさややりがいを感じましか。
 お客さまとのやりとりの中で衣装の色やイメージをお聞きしたり、飾る場所のスペースを確認したり、だいたいの予算を把握して、おすすめする人形を選んでいきます。
人形の制作は、飾る日の一週間前に注文が入ることなどもよくあって、いつも必死で、やりがいや楽しさを感じる余裕もありません。
でも、赤ちゃんのお祝い事に携わる仕事なので、ご自宅に飾りに伺うと、どのご家族からもとても喜んでいただけます。本当に幸せな仕事だと感じます。

●今後の抱負をお聞かせください。
ひな人形は、子どもにとって一生の物。次世代の人の人形と並べて飾ってもいいくらい末永く残るもので、これだけ長い間大切にされるものも少ないと思います。それだけに高価にもなりますが、だからこそ価格以上の出来栄えになるように、そしてご家族のみなさんに喜んでいただけるように一つ一つ丁寧に作り続けていきたいと思います。

藤沼藤彩(ふじぬま・とうさい 本名・藤沼ともえ)。1956年、佐野市藤沼人形本店三代目の二女として生まれる。1972年桐丘女子短期大学デザイン科卒業と同時に伝統工芸人形士の故小松康城氏に師事。結婚後も人形制作師として生家に勤務。2004年一般社団法人日本人形協会「節句人形工芸士」に認定。

節句人形工芸士  (一社)日本人形協会が、日本の長い伝統と歴史によって培われた産業である正月用品、三月節句用品、五月節句用品、日本人形等の製作に従事する者のなかで優秀な伝統技術、技能を保持する者を「節句人形工芸士」として認定する。

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