うれしい…母の顔
実家の90歳の母は、秋になって「虫の音が無いね」と言う。私は、がっかりしさみしくなった。私にはしっかり虫の音が聞こえるのに。
母は、耳が遠くなっており、虫の音が聞こえていないのだ。補聴器を望まないので付けてもいない。
ならばと、私は、母が10年以上習った民謡をスマホで耳元に近づけて聞かせてあげた。母は、うれしそうに聞き入った。
スマホのいいところのひとつに、昔の歌謡曲でも民謡でも何でも好きな曲を簡単に聞けるところだ。
私は、母がうれしそうな顔を見せてくれたので安心して帰宅した。
宇都宮市・中沢智子