2月9日は「フグの日」。フグの本場、下関ふく連盟が1981(昭和56)年に制定しました。下関では「フク」と発音し、「福」と同音のため縁起の良い魚とされています。
海のない栃木県で、地域資源でもある豊富な温泉水を利用して海の高級魚「トラフグ」の養殖に取り組み10年。苦労の末に、今では那珂川町のブランドとして全国から注目を集める「温泉トラフグ」の養殖に成功した那須烏山市、「夢創造」社長の野口勝明さん(62)にきっかけや苦労、おいしさの秘密などを聞きました。


〝フク〟分かち合い 町おこしの夢実現

「夢創造」の温泉トラフグ 那珂川

 

2010年に2000匹を初出荷した温泉トラフグ。今では、年間2万5000匹を出荷し、販売協力店の温泉トラフグ共販会は町内16店を含む県内128店に。温泉トラフグの養殖のきっかけは、過疎化が進む那珂川町の「町おこし」でした。
 公害系の環境分析を行う環境生物化学研究所を経営していた野口社長が注目したのが、小川地区から湧出する温泉が生理食塩水に近い塩化物泉であること。そこに「栃木でも海の魚が養殖できるのでは」と可能性を見いだしました。
 2008年に試験養殖をスタート、地元の企業関係者と里山温泉トラフグ研究会を設立しました。大学や研究機関などと連携し、味にもこだわった養殖法を確立。東京大学との共同研究で生まれたのが出荷する12時間前に行う「味上げ」。「海水と同じ塩分濃度の水に入れると、うま味成分のアミノ酸が20%増す」と言います。
全国初の温泉水を活用した養殖は数々の賞を受賞。「温泉水を用いた閉鎖循環型トラフグ養殖システムの開発」は、日本水産学会の2016年度水産学技術賞を受賞しました。
また、養殖施設のフランチャイズを展開。現在、全国15カ所で商標登録した温泉トラフグを養殖しています。
会社名は「夢は見るものでなく、創るもの。現実にするために自分で経験しながら、創りあげていくこと」と野口社長は話します。町おこしの夢を仲間たちと〝創りあげた〟野口社長。那珂川町生まれの温泉トラフグによる地域活性化の波は全国に広がっています。


 ●夢創造
那須烏山市大桶1929の7
☎0287・82・7466
http://www.ganso-onsentorahugu.com/

 

温泉トラフグの店 3店舗pick up  海なし県の自慢料理

那珂川町の温泉トラフグを食材にした料理は、町内では飲食店やホテルなど16店で味わえます。町外にも直営店などがありますがそのうち3店の自慢のトラフグ料理を紹介します。

 

御前岩物産センター  【那珂川】

那珂川町自慢の食材が盛りだくさんの「ふぐ御膳」

秋の紅葉、春の新緑と桜。御前岩の美しい景色と共に多くの観光客に親しまれ30年。自慢の八溝そばに温泉トラフグ、ウナギなど那珂川町のA級食材を提供、本物の味を伝えています。
 温泉トラフグ料理の中で一番人気は、多彩で華やかな「ふぐ御膳」(4000円)と「とらふぐの唐揚セット」(2210円)です。セットメニューには八溝そばが付き、両方を味わえるのが魅力。武茂川の静かな流れを見つめながらいただく里山の恵みにおなかも心も満たされます。

「ここの景色を見てほしい」と塩澤孝子社長

「温泉トラフグのおかげで町も有名になり、これを目当てに全国からお客さんが来てくれる。素晴らしいこと。フグと一緒になってほかの食材も盛り上げていければ」と塩澤孝子社長は笑顔を見せます。

 

  古民家風にリニューアル

那珂川町大山田下郷2766
☎0287・93・0680
午前9時~午後4時
1月1~3日休
Ⓟ大型バス2台、一般車20台

 


大八寿司  【那珂川】

コラーゲンたっぷりの「とらふぐ釜めし」。炊き上がりの香りもごちそう
地元で愛され開店40年を迎えた大八寿司

温泉トラフグ共販会会長を務める店主の佐藤薫さん(70)が「珍しいから」といち押しするのは、炊き上がりをいただける「とらふぐ釜めし」(1620円)です。
温泉トラフグの初出荷当初から料理の提供に取り組んできた中で「試作を重ね半年かけて作
った」というアイデアメニュー。味付けをした温泉トラフグの身とマイタケ、かまぼこ、ぎんなんが入った釜飯はふっくら、上品なだしの風味が広がります。 

「食べたら肌がつるつるになりますよ」と店主の佐藤薫さん

「週末ともなると県外からトラフグを目当てに来る人もいますよ」と話す佐藤さん。茶わん蒸しやてっさなど5品が堪能できる「温泉とらふぐコース」(1人前5400円。2人から)や人気の「骨付きからあげ」(1620円)などの単品も楽しめます。当日対応可。

那珂川町馬頭2172の2
☎0287・92・5108
午前11時~午後2時、午後5時~同10時
木曜休 Ⓟ30台

 

 

那珂川アンテナショップ 里の香  【宇都宮】

「河豚尽くしコース」。温泉トラフグの甘みとうま味を満喫

「夢創造」の直営店として2016年に県庁の東、県立図書館入り口にオープン。「温泉とらふぐ&仲間たち」をコンセプトに同店自慢の温泉トラフグをはじめ八溝ししまるや里山ほんもろこなど那珂川町の特産品と四季折々の食材を満喫することができます。
笑顔で出迎えるのは、同社の野口社長の妻で同店支配人の野口利恵さん。温泉トラフグを中心とした充実のコースは「なかちゃん晩酌コース」(4212円)や「河豚(ふぐ)尽くしコース」(9180円)の7種類です。ほかに約15種類のトラフグ料理(単品)があります。

支配人の野口利恵さんと料理長の齋藤竜次さん

中でも「白子湯霜ポン酢」「虎河豚白子焼」「白子天ぷら」(各3186円)がお薦め。「うちのメニューには時価がないので、安心して味わってください」と野口支配人。「ひれ酒」(864円)も楽しめます。

 

  直営店ならではの味を

宇都宮市塙田1の3の19
☎028・688・0011
午後5時~同11時(OS午後10時半)
日曜・月曜、祝日休
Ⓟ近隣のパーキングを利用


 

ふぐ料理の店 2店舗pick up  専門店で磨いた味堪能

那珂川町の温泉トラフグ以外にも、ふぐ料理を味わえる店があります。専門店で、またちょっと違ったフグを楽しんでみては。


小料理 ふくのすけ  【那須塩原】

   丸ごと楽しめる「ふぐコース」の一部

地元に店を構えて7年。「料理人として早く一人前になりたかった」と、高校卒業後、山口県内の旅館や飲食店などで12年間、ふぐ料理の腕を磨いてきた店主。
提供するフグは山口県南風泊(はえどまり)漁港から直送。新鮮かつ、低価格で提供できるのも長年のつながりから生まれたたまもの。希少な「ふぐ 白子の天ぷら」が人気の一品ですが「刺し身、鍋…火を入れるものと入れないもの、それぞれの食感や風味の違いを楽しんでもらいたい」ひと通り味わえる「ふぐコース」(1人前5400円)もお薦めです。

 

那須塩原市松浦町121の74
☎0287・62・6611
午後5時~同11時(OS同10時半)
火曜休 Ⓟ15台


 

割烹きよみ  【佐野】 

ランチのお勧め「とらふぐ刺堪能コース」(3000円

東京向島のふぐ料理の老舗で修業を積んだ店主の清水信雄さん(63)が、38年前に開いた店。
ランチのお薦めは「とらふぐ刺堪能コース」(3000円)。少し厚めに引かれた刺し身は独特の食感とうま味を楽しめます。唐揚げと雑炊はショウサイフグを使用。デザート付き。驚きの価格で提供しているショウサイフグの「ふぐ刺定食」(1200円)は、4~11月限定。とらふぐコース(要予約)は、1人前4000円~1万5000円。 

 

佐野市富士町235   
☎0283・24・6933
正午~午後2時半、午後6時~同10時
月・火曜休(予約は対応) Ⓟ30台