県内の市町で、最近見られる新たな流行や活動をはじめ、その土地ならではの〝旬の動き〟を紹介する「わが街トレンディー」。9回目の今回は、「霧降」の名で知られる日光市の所野地区を紹介します。
「世界遺産の街」と呼ばれて久しい日光市ですが、寒さの厳しい冬期は、訪れる人の数が減ることも。しかし、「冬日光」だからできる、日光天然氷やアイスクライミング、アイスホッケーなどを通して、地域を盛り上げていく動きがあります。

これぞ日光の「冬」、「自然」そのもの

世界遺産のある市街地を離れ、日光連山のひとつ「赤薙山(あかなぎさん)」の麓から中腹にある所野地区。山ならでは高い標高と深い自然の中には「霧降隠れ三滝」や「霧降高原」などがあり、避暑地のリゾート地としても人気です。
 最近、日光の天然氷で作るふわふわのかき氷が広く知られていますが、「日光霧降チロリン村」のオーナーで天然氷生産者の山本雄一郎さん(四代目徳次郎)が持つ所野近くの採氷池には、毎冬、多くの有志が集まります。
 霧降高原にある滝の岩盤を凍らせ、アクティビティーとしてのアイスクライミングを提供する店舗ができたほか、スケートリンク「県立日光霧降アイスアリーナ」で繰り広げられるアイスホッケーチーム「H.C.栃木日光アイスバックス」の試合など、寒さをものともしない「熱さ」が見られます。

 

日光 天然の氷 四代目徳次郎 山本雄一郎さん(68)

 

生まれも育ちも所野で、山の自然はいつも身近なものでした。祖父は秋口になると木の葉をさらって腐葉土を作り、小枝を切って山の風通しを図り、春には山菜を採りに行きました。森は美しく保たれ、土には芝が生え、清水が流れました。
今もなお、こうした森との関わり合いを大切にしていますが、時代の流れと共に関わる人が減っているのも確かです。
4年前、「ワンプレイト」のオーナー室町直さんが代表を務める「日光森林警備隊」が発足。私の息子を含む隊員らにより、ハイキングコースの整備、橋の管理、希少植物の保護、ゴミ拾い、避難小屋の設置などが行われています。
 こうした若い世代に森を守るアドバイスをしつつ、今後も、森が与える恵みをうまく活用したさまざまな冬の日光を発信していきたいです。

 

四代目徳次郎の天然氷切り出し

昔からの方法で氷を引き上げる様子

澄んだ川の岩肌から湧き出る清水を2週間かけて凍らせる天然氷。山の麓、日の当たらない場所で作られています。
 13年前、後継ぎのいない先代の天然氷生産者のもとに、後継者として名乗りをあげた四代目徳次郎さん。「天然氷は日光を代表する貴重な文化。絶やせない」と語ります。
 四代目徳次郎さんの採氷池は60年前から続くもので、初代から数えて4番目の池。池は2面あり、11月半ばから土を耕し初氷は捨て、夜通し管理しながら2週間で14㌢の厚さにまで凍らせます。
 今年も1月15日に、毎年恒例の天然氷切り出し作業を実施。35人の有志や関係者が集まり、氷を切り、竹のラインに乗せ、氷室(ひむろ)と呼ばれる貯蔵庫に並べる作業を行いました。

山田シェフ(左から3番目)と仲間に囲まれる四代目徳次郎さん

作業をした都内に店を構えるイタリア料理のシェフ、山田宏巳さん(66)は「硬くて溶けにくい氷は絶品」とコメント。自身をアイスファーマー(氷の農夫)と名乗る四代目徳次郎さんは「ここまで一緒にやってきてくれた仲間に感謝しながら、今後も全力を尽くす」と話します。


 

 

One Play-it(ワンプレイト)

真横に流れる丁子滝の迫力を感じながら、初心者コースを登る女性参加者

霧降大橋から車で1分。今年でオープン4年目を迎える、アウトドア体験を提供する施設です。
所野出身でオーナーガイドの室町直さん(41)が案内する「遊び場」は、霧降界隈の自然を主体にしたものばかり。冬は、霧降隠れ三滝のひとつ「丁字滝」の岩盤に水を流して氷を作り、そこを登るアイスクライミングツアーに力を入れています。
「厳しい寒さは、守られた環境では味わえないもの。駅から近いこの場所で、圧倒的な氷壁に挑んでほしい」と室町さん。
同ツアーは、初級者用の15㍍と中上級者用の25㍍の氷壁を完備。アイゼンなどの道具一式と講習がついて1万3000円。3月10日まで(予定)。午前9時集合、午後3時半解散。高校生以上。木曜休。
 

霧降の自然を愛する室町さん。丁寧な指導で人気
  ワンプレイトの外観

(問)同店☎0288・53・3379
 日光市所野1550の73




 

 

 

H.C.栃木日光アイスバックス 応援団 植木花恵さん 木村結愛ちゃん

毎試合ほぼ欠かさず応援に来ている植木さん(右)と結愛ちゃん

国内唯一のプロアイスホッケークラブ「H.C.栃木日光アイスバックス」。日光霧降アイスアリーナを本拠地にアイスホッケーアジアリーグ戦を戦っていて、冬の日光・霧降に欠かせない存在です。
 観客席でひと際熱い声援を送るのは、日光市の植木花恵さんと宇都宮市の木村結愛ちゃん。応援がきっかけで友達になりました。
 植木さんは「とにかく、ルールは分からなくてもこの迫力を見て欲しい」と話した上で、「この20年、チームは地元のために私たち市民はチームのためにお互いが支え合って活動してきました。日光の誇りです」。
 

ゴールが決まると、特製の旗で喜びを表現

 

結愛ちゃんは「試合はハラハラドキドキの連続。旗やボンボンを振るのも楽しい」と笑顔。
 今シーズンのホームゲームは終了してしまいましたが、2人は「興味がある人はぜひ、ファン感謝デー(日程未定)に参加して、一緒に盛り上がりましょう」と呼び掛けます。

 

 

大笹牧場日光直営売店

    東武日光駅前にある店舗

寒い冬こそ、冷たいソフトクリームをどうぞ。霧降高原道路の終点、標高1300㍍にある大笹牧場。362㌶と広大な広さに、乳用育成牛を放牧しています。冬に訪れるのはちょっとという人にも、東武日光駅にほど近い場所で、大笹牧場レストハウスの名物の味が楽しめるのが、この直売所です。
 「1日で最高1000個売れたことがあるんですよ」と冨山由美店長が紹介する、ブラウンスイス牛の牛乳で作ったソフトクリーム(400円)。
ほかにも牛乳やチーズ、バターなどがあります。

コクがあるのに、さらりとした後味のソフトクリーム

日光市松原町6の4
☎0288・54・0033
午前9時~午後5時
水・木曜休(冬期)
カフェスペースあり