しもつけ21フォーラム(下野新聞社主催)の10月例会が27日、宇都宮市内で開かれ、古河機械金属の宮川尚久(みやかわなおひさ)会長が「足尾銅山記念館~鉱山からはじまった『熱』を感じる場~」と題して講演した。かつて足尾銅山が稼働し、古河グループの礎となった日光市足尾地域に、創業150周年の今春完成した記念館への思いを語った。
記念館は、1912年に完成して銅山を統括した「足尾鉱業所」を同所跡地に復元する形で整備された。創業者古河市兵衛(ふるかわいちべえ)の足跡や、銅山の繁栄、公害問題の歴史などを伝える資料を展示している。
宮川氏は社長就任以降、足尾の歴史を後世に引き継ぐために活動する地域住民らと交流し「古河グループの礎を築いた地への恩返しを考え、市兵衛の思いや熱を将来に残したいという夢が膨らんでいった」と建設の経緯を語った。
鉱業所は1921年に足利市へ売却され、同市に移築された。宮川氏は当時の資料から移築の背景として、銅山の労働争議に端を発した騒動で焼き打ちに遭う可能性があったことを指摘。「苦渋の選択をしてまで先達が守り抜こうとした建物を復元する意義も見いだせた」と強調した。
質疑応答では、記念館へ子どもたちを呼び込む計画を問われ「県内の中学生を対象として検討している」と明かした。
宮川氏は東京都出身。立教大卒業後の75年に古河鉱業(現古河機械金属)入社。執行役員、社長を歴任し2025年6月から取締役会長。

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