しもつけ21フォーラム(下野新聞社主催)の9月例会が26日、宇都宮市内で開かれ、音羽山清水寺(京都市)の森清範貫主(もりせいはんかんす)(85)が「命によせて」と題して講演した。仏教における心の在り方や命の尊厳について語った。
森氏は「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」とする国連教育科学文化機関(ユネスコ)憲章の前文を紹介した。
仏教における「心」は蔵のようなものであり、過去からの全ての経験や業などが蓄積されていると説明。「人知れぬ心の奥底には鬼や仏、我執が潜む。心のありようで、価値観や人生観が変わる」と話した。
森氏は毎年、公募で選ばれた世相を1字で表す「今年の漢字」を「清水の舞台」で揮毫(きごう)する。2006年は「命」だったことに触れ、「仏教の根本思想は『命』。命ほど尊く、かけがえのないものはない」と力を込めた。
今年は戦後80年。「日本は不戦の誓いをしたはずだが、今は少し緩んでいるように思えてならない。心の中に平和のとりでを築くべきだ」と警鐘を鳴らした。
森氏は京都市出身。1955年に得度(とくど)、入寺。花園大卒業後、88年、清水寺貫主、北法相宗(きたほっそうしゅう)管長に就任。全国清水寺ネットワーク会議代表などを務める。

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