STOP! the フードロス
県内企業、商店の挑戦
最近、ニュースでよく目にする「フードロス」問題。フードロスとは、飲食店や家庭での食べ残しなど、本来食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと。もったいないだけでなく、ごみが増え環境にも影響が出ています。フードロスを削減するには、まずはちょっとした心がけと工夫から。フードロス対策で生まれたアイデア商品などを紹介します。



バウムクーヘン工房はちや 日光
「端」を使ってラスクに!

日光御養卵、カルピスバター、北関東でとれた小麦粉を使ったバウムクーヘン専門店。カフェを併設しており、バウムクーヘンを使ったメニューを提供しています。

「はちやバウムラスク」(535円)と「ろっくバウムラスク」(653円)は、商品に使用しないバウムクーヘンの端の部分を活用。コロナ禍で店舗での試食やカフェメニューでの提供が難しくなった際のアイデアで、代表の八木澤正則さん(54)は「ラスクとして生まれ変わり、バウムクーヘンとは違った食感や風味が楽しめます」と話

します。常にあるわけではなく、端の部分をカフェメニューで使用し、その後余ったときのみラスクを製造します。購入は店舗のみ。予約不可。賞味期限は約1カ月。

日光市鬼怒川温泉大原
1396の10
☎0288・77・1453
午前9時~午後5時半
不定休 Ⓟ10台
☆新しい商品へ
OrangeClaire(オランジュクレール) 真岡

ひと手間かけて廃棄ゼロ
素材にこだわったベーカリーで人気の「パンケーキ」(長方形259円、三角形184円)。売れ残った甘いパン数種類を使用したアイデア商品です。

4年ほど前、店長の飯村孝一さん(42)が「残った甘いパンをどうにかしたい」と試行錯誤して開発。ちぎったパンをバッドに敷き詰め、しっとり感を出すためにダマンドやリンゴの甘煮、ラム酒を使用し、オーブンで焼き上げています。

オーナーの飯村昌代さん(66)は「ひと手間かけることで、甘いパンは廃棄ゼロです。売れ残りを心配せずにパンを焼けるようになり、『夕方までいろいろなパンがある』とお客さんに喜ばれています」と話します。
オール半額のSDGsコーナーもあり、オープンと同時に売れています。

真岡市上高間木2の17の1
☎0285・80・8155
午前8時~午後6時
火曜休 Ⓟ13台
☆自販機で
オリジナルあい OCEAN&TERRE(オーシャンテール)北関東工場 那須塩原

規格外品など半額以下で
焼き菓子工場(旧愛月堂本舗)の敷地内にある、ラッピングデザインがおしゃれなロッカー式のフードロス自販機。人気のバームクーヘンやタルト、クッキーなど約50品目の中から規格外品や賞味期限が近くなってしまったB級品を300~800円のセットにして販売しています。
ブライダルや百貨店などのギフト菓子、ΟEM商品を製造しており、自動販売機の直売は2023年4月から。「コロナ禍で結婚式が大幅に減った時、お菓子のセールを開催しました。その時の反響の大きさとお客さまの声がきっかけになりました」と話す同工場ゼネラルマネジャーの石射崇さん(57)。


自販機に並ぶ商品は半額以下。開けた瞬間に「わっ」と思う「?ボックス」(1000円)も人気です。

那須塩原市大原間155の2
☎0287・73・8160
(平日午前10時~午後5時)
自販機は24時間販売。土・日曜、祝日は工場が休みのため商品の補充はなし
Ⓟ4台
シェレンバウム 宇都宮店 宇都宮

閉店後、お得なセットに



こだわりの生地と旬の素材を使い、約100種のパンが並びます。
昨年5月、「ロッカーブレッド」としてパンの自動販売機を設置。閉店後、売れ残ってしまったパンを3~4割引きで販売しフードロス削減を目指しています。温度管理ができるロッカーが20個あり、閉店後の午後6時半~翌朝午前7時まで稼働。3~4個の菓子パンや惣菜パンがセットになり700円から。また、食パンをフレンチトーストにしたりするなど「再生パン」の取り組みもしています。店長の阿久津公康さん(37)は「売れずに残ってしまったパンを、少しでも救いたい。フードロス対策に協力していただければうれしい」と話します。

宇都宮市鶴田町591
☎028・612・5888
午前7時~午後6時半
月曜休 Ⓟ19台
フードロス防止、社会貢献にも
消費しきれない食品や頂き物の飲料、調味料などが自宅にあったら、近くの店で実施されているフードドライブなどへの寄贈がおすすめ。食品ロスを減らすだけでなく、社会貢献にもなります。
フードドライブで協力を
認定NPO法人「フードバンクうつのみや」 宇都宮
寄贈や回収箱 子ども食堂などへ橋渡し

フードバンクうつのみやは、企業や家庭などから、品質に問題はないもののさまざまな理由で廃棄される食品の寄贈を受け付け、子ども食堂や福祉施設などに無償で提供しています。また年3回実施する子育て世帯向けの食品配布会や、緊急的に窓口を訪れた生活困窮者の相談を聞き、食品を直接手渡す対応もしています。
食品の寄贈は事務所の窓口で受け付けるほか、より身近に寄贈ができる場所として市内の公共施設や事業所、コンビニ、スーパーなどに協力を仰ぎ食品回収箱「きずなBOX」を設置するフードドライブを実施。また宇都宮ブレックスの試合会場などいろいろなイベントでも、特設ブースでのフードドライブも積極的に行っています。
受け付けている食品は、常温保存ができ、賞味期限が1カ月以上あるもの。事務所窓口では生鮮食品や冷蔵、冷凍食品も受け付けています。 「昨年は市の補助金を活用して事務所に冷凍冷蔵庫を設置。肉や牛乳、卵なども配布できるよう
になった」と牧岡健事務局長(46)。「倉庫スペースや資金不足などいろいろ課題はあるが、これからも行政や地域と連携しながら、食品ロスを受け入れ、生活困窮者の支援へとつなげていきたい」と話します。
(問)フードバンクうつのみや☎028・678・2089。
とちぎコープ 宇都宮
県内4店舗で受け付け

県内にある4店舗(越戸店、鶴田店、おもちゃのまち店、栃木店)のサービスカウンターで常時、食品の寄贈を受け付けています。越戸店の担当者によると「月1回、大きな紙袋三、四つ分の食品をまとめて寄贈する人や、店でカップラーメンや米を買って寄贈してくれる人もいる」とのこと。各店舗とも年1回、店頭でフードドライブのイベントも実施しています。

店舗や宅配センターなど同コープ計16拠点に寄せられた食品の数量は、2023年度は1万5157点で約5367㌔、24年度(1月20日現在)は9729点、約3057㌔。物価高の影響からか減少したものの、多数の〝善意〟がフードバンクうつのみやに贈られました。
23年10月からはフード&ライフドライブの取り組みとして日用品も受け付け。社会福祉協議会を通じて生活に不安を抱える子育て世帯へと届けられています。

(問)とちぎコープ生活協同組合https://tochigi.coopnet.or.jp/