災害対応の心構え指南 国土技術研究センター・徳山日出男理事長 直下型地震の備えも強調

 下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」の8月例会が22日、宇都宮市内で開かれた。一般財団法人国土技術研究センター理事長の徳山日出男(とくやまひでお)氏(67)が「防災・危機管理の要諦」と題し、災害対応の心構えなどを講演した。

 徳山氏は、国土交通省東北地方整備局長に着任して53日目に発生した東日本大震災の初動対応の指揮を執った。集まった情報から「主な被災地は海岸線沿いだろう」と判断。岩手県や宮城県などを南北に通る東北自動車道と国道4号から、太平洋側へ東西に延びる道路を通れるようにするよう指示した経験などを紹介した。

 約1年後、当時の経験を基に発災から1週間を乗り切る方法などを「災害初動期指揮心得」としてまとめたことに触れた上で、「被災地の状況を把握するには2~3日はかかる。最悪の事態を想定して初動は早く、大きく構えてほしい」と訴えた。

 今月上旬には、日向灘を震源とする地震を受けて南海トラフ地震臨時情報が初めて発表された。活断層がある本県でも直下型地震が起こる可能性がある。「直下型地震は最初の20秒を生き延びられるかにかかっている。家具を固定するなど、行動すれば助かる命がある」と日頃の備えの必要性を強調した。

 徳山氏は岡山県出身。1979年、建設省(現在の国土交通省)に入省し、主に道路行政を担当。2016年に同省事務次官で退官した。